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前の鑑定コラム1928)で、百貨店の従業員の減少が激しすぎるというコラム記事を書いた。
従業員の人数が減少していることは、それは百貨店にそれだけの従業員を抱える力が無いために生じた現象である。
売上高が毎年増加し、利益も共に増えているのであれば、従業員を首切り、解雇する必要性は無い。
日本百貨店協会の発表のここ10年間の百貨店の売上高と店舗数、そして1店舗当りの売上高の推移を下記に記す。1店舗当りの売上高は田原の計算である。
全国百貨店売上高
|
|
|
単位千円
|
|
売上高 千円
|
店舗数
|
1店舗当り売上高
|
2008
|
7381364215
|
280
|
26362015
|
2009
|
6584224721
|
271
|
24296032
|
2010
|
6292121866
|
261
|
24107747
|
2011
|
6152565690
|
254
|
24222700
|
2012
|
6145317967
|
249
|
24679992
|
2013
|
6217140173
|
242
|
25690662
|
2014
|
6212458419
|
240
|
25885243
|
2015
|
6174278636
|
238
|
25942347
|
2016
|
5978013630
|
234
|
25547067
|
2017
|
5953256495
|
226
|
26341843
|
2018
|
5887002591
|
219
|
26881290
|
売上高が対前年比でプラスになったのは、2013年のみである。それ以外の年は、全て対前年比マイナスである。
店舗数は10年間減少である。
1店舗当り売上高は、2010年の241億円を底にして上向き、2018年は268億円の売上高である。2008年が263億円であるから、2008年の水準に戻っている。
売上高、店舗数が10年で21%程度減少しているのに、1店舗当りの売上高は、268億円と2008年の水準に戻ったということは、どういうことであろうか。
縮小均衡ということか。
同協会が発表している売場面積、従業員数を下記に記す。u当り月間売上高、従業員1人当たり月間売上高は、田原の計算による。
全国百貨店売上高
|
|
単位 千円
|
|
|
|
|
総店舗面積u
|
1u当り月間売上高
|
総従業員数
|
1店舗当り人
|
1人当たり月間売上高
|
2008
|
6818712
|
90.2
|
101466
|
362
|
6062
|
2009
|
6631992
|
82.7
|
99151
|
366
|
5534
|
2010
|
6468941
|
81.1
|
93179
|
357
|
5627
|
2011
|
6408844
|
80.0
|
87631
|
345
|
5851
|
2012
|
6324398
|
81.0
|
82927
|
333
|
6175
|
2013
|
6237379
|
83.1
|
80714
|
334
|
6419
|
2014
|
6091744
|
85.0
|
78282
|
326
|
6613
|
2015
|
6035271
|
85.3
|
77098
|
324
|
6674
|
2016
|
5903199
|
84.4
|
74189
|
317
|
6715
|
2017
|
5672902
|
87.5
|
70973
|
314
|
6990
|
2018
|
5490568
|
89.4
|
67902
|
310
|
7225
|
百貨店の1u当り月間売上高は、89,400円である。
1店舗当りの従業員数は310人である。
従業員1人当たりの月間売上高は、7,225,000円である。
百貨店の1u当り月間売上高は9万円程度で落ち着きつつある。この辺りが百貨店の売上高の居場所であろうか。
2012年4月29日発表の鑑定コラム889)で、百貨店高島屋の鈴木弘治社長が、2012年4月6日の同社決算発表の席で、百貨店の市場について、
「5年間で1兆円減り、2016年には5兆2000億円まで縮む」
「2014年2月期に6兆円を目指す小売大手イオン一社の売上高を下回ることになる。」
と述べたことを記す。
そして鑑定コラム1329)では、そのことが現実になったことを記している。
百貨店が衰退の道を歩むかどうかは、百貨店の先進国であるアメリカの百貨店のメイシーズ、シアーズ、JCペニーがどうなっているかを知れば、推定することができる。
アメリカの百貨店の現在の姿が、日本の10年後の日本の百貨店の姿と云えるのであろうか。
メイシーズは、長い売上高減より、やっと新しい方策を見出して、売上高が上昇し始めたと聞く。
私は、百貨店の家賃の増減額訴訟の家賃評価で、百貨店側と争ってきたこともあり、百貨店とは全くの無関係にあるとは云えない。
百貨店にビルを貸しているビル所有者も、百貨店側の売上高減による賃料の度重なる値下げ要求には、いささかおかんむりである。裁判官は、どうした理由か知らないが、大手百貨店側に立って賃料裁判を行ってしまう。こうしたこともあり、百貨店にビルを貸しているビル所有者は、百貨店側に業績のアップを強く望む。百貨店側もそれに応じて、売上高のアップにもっともっと努力することを望む。
雇用の確保と云う観点からも、日本の百貨店に頑張ってもらいたい。
鑑定コラム889)「イオン一社の売上高は、全百貨店の売上高をしのぐ。5年後に」
鑑定コラム1329)「イオン一社が日本の全百貨店の売上高を超えた」
鑑定コラム1928)「百貨店従業員10年間で3万3564人減、▲33.1%減」
鑑定コラム1992)「伊勢丹府中店が閉店した」
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