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日本を代表する不動産会社の一つである三菱地所株式会社が、株主へのIR情報として、同社のホームページに、三菱地所のビル事業の全国平均賃料と全国全用途(全用途とは事務所、店舗、倉庫を云う)の空室率を公表している。
2001年1月から2004年9月までの各月の平均賃料、空室率を発表している。
そのうち各年の1月、4月、7月、10月の数値を抜粋して記す。
平均賃料は坪当たり円である。空室率は%である。
数字の羅列を見ると頭が痛くなり、読む気がしなくなると言う人もいるかもしれないが、さっと目を通して下に行ってください。
平均賃料 空室率
2001年1月 23,406円 5.63%
2001年4月 23,127円 4.76%
2001年7月 23,236円 4.26%
2001年10月 23,410円 4.44%
2002年1月 23,215円 4.61%
2002年4月 22,750円 4.80%
2002年7月 22,676円 5.49%
2002年10月 22,821円 5.81%
2003年1月 22,863円 5.78%
2003年4月 22,448円 5.13%
2003年7月 22,432円 6.00%
2003年10月 22,603円 6.10%
2004年1月 22,433円 5.69%
2004年4月 21,878円 5.07%
2004年7月 21,875円 4.25%
2004年9月(注) 21,603円 4.25%
(注)2004年10月のデータは発表されていない為、2004年9月の数値を記す。
2001年1月から2004年9月までの賃料、空室率の推移を見ると、賃料は確実に下がっている。
2001年1月 23,406円、2001年10月 23,410円の賃料を最高値として、その後一貫して2004年9月まで下がっている。
2004年9月の21,603円が最低値である。
このことは何を意味するかと云えば、賃料の底値はまだ見えないということである。即ち、賃料はまだ下がっている過程にあると言える。
2001年1月から2004年9月までの45ヶ月の間の賃料下落率は、
21,603円÷23,406円=0.923
7.7%である。
年率に換算すると、
(1+X)の(45/12)乗=0.923
X=0.978−1
≒−0.021
年率2.1%の下落である。
これは事務所ビルの賃料変動率として、継続賃料評価のスライド法のスライドの指標のデータとして使用出来るのでは無かろうか。消費者物価指数よりも比較にならない、ぐっと優れたスライド指標データと私は思う。
空室率は4.25%〜6.1%であるが、前記一覧表には挙がっていないが、2001年1月以降の最高の空室率は7.53%である。
特に2003年7月〜12月までの空室率は、6%以上の数値となっている。
その部分を記すと下記の通りである。
空室率
2003年7月 6.00%
2003年8月 7.08%
2003年9月 7.53%
2003年10月 6.10%
2003年11月 6.18%
2003年12月 6.02%
空室率は2001年1月より、数値は上下を繰り返しながらも上昇し、2003年9月に7.53%の最高の空室率を附けると、それ以降、数値は小さくなり、2004年9月は最小の4.25%の値となっている。
2003年9月に最高の空室率の7.53%を記録したことは、何を意味するのか。
2003年以前の2000年頃より、賃貸ビルの「2003年問題」と称して、2003年は不動産業界の危機だと叫ばれていた。
それは、2003年に大型開発の事務所ビルが竣工し、事務所床面積の大量供給がなされることにより、空事務所の大量発生、入居者の争奪戦、ビル賃料の玉突き下落現象が発生することが予測されることを指し、不動産業界はこれらの予測を「2003年問題」と称していた。
三菱地所の賃貸ビルの空室率の最大が、2003年9月であり、2003年7月〜12月までの間には、空室率が6%以上であったことは、「2003年問題」が予測通り現実に生じたことを物語っている。それが具体的数値として残されたのである。
2003年9月の最高の空室率7.53%は、「2003年問題」を実証する証拠となるものであろう。
2001年1月〜2004年9月までの各月の三菱地所の平均賃料、空室率を詳しく知りたい人は、三菱地所のホームページを閲覧されたい。
三菱地所の賃貸建物の空室率の2004年10月以後については、下記の鑑定コラムに記載してあります。
鑑定コラム247「空室率が急激に下がっている」
その他空室率のコラム
鑑定コラム922「都心5区空室率9.4%と過去10年で最高」
鑑定コラム5「空室率4%」
鑑定コラム924)「ビル空室率は不動産業株価と逆比例の関係」
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