○鑑定コラム
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2019年(暦年)の卸売業・小売業の総額は、460兆0690億円となった。前年の2018年(暦年)より▲2.4%の減少である。
この事について、鑑定コラム2041)で、「卸売業・小売業の対前年比2.4%の売上高減は、2019年(暦年)の国内総生産にどれだけの影響を与えるであろうか。」と述べた。
そのことも有り、卸売業・小売業の2019年(暦年)名目国内総生産への影響度がどれ程か分析して見る。
付加価値は、次の算式で求められる。
付加価値=営業利益+給与総額+減価償却費+複利厚生費+動産・不動産賃貸料+租税公課
そして付加価値率は、次の算式で求められる。
付加価値率=付加価値÷売上高×100
経済産業書の『企業活動基本調査速報 2018年度調査』(経済産業省大臣官房企業統計室 2020年1月30日)によれば、平成30年度(2018年度)卸売業、小売業の付加価値率は、下記である。
卸売業 7.1%
小売業 18.9%
年度の割合を暦年に使用することは、対象期間が違うという反論・お叱りがあるかもしれないが、年度と暦年の付加価値率は同じであるとそこは大目に見て、上記付加価値率を使用して、2018年暦年、2019年暦年の付加価値を求める。
卸売業、小売業の2018年(暦年)の売上高は、下記である。単位10億円(以下同じ)。
卸売業 326,585
小売業 144,965
2018年(暦年)の卸売業、小売業の付加価値は、下記のごとく求められる。
卸売業 326,585×0.071=23,188
小売業 144,965×0.189=27,398
計 50,586
2019年(暦年)の卸売業、小売業の売上高は、鑑定コラム2041)で記述されている。
卸売業 315,027
小売業 145,042
付加価値率は同じとして、2019年(暦年)の付加価値を推定する。
卸売業 315,027×0.071=22,367
小売業 145,042×0.189=27,413
計 49,780
まとめると、卸売業、小売業の付加価値は、
2018年(暦年) 50,586(50兆5860億円)
2019年(暦年) 49,780(49兆7800億円)
である。
2018年(暦年)名目国内総生産(生産側)の卸売業・小売業の国内総生産は、内閣府の発表によれば、74兆7797億円である。
私は、国内総生産は付加価値の合計であるから、上記で求められた50兆5860億円が、2018年(暦年)の卸売業・小売業の国内総生産と思っていたが、計算してつきあわせると数値が異なることから、そうではないようである。
国内総生産(生産側)は、産業連関表によって求められた産出額から中間投入額を差し引いて求める。
もう1つ別の求め方がある。下記の算式による求め方である。
雇用者報酬+営業余剰・混合所得+純間接税+固定資本減耗
産業連関表の産出額、中間投入額、雇用者報酬、固定資本減耗の金額等は、素人には分からない。
それ故、違う方法で、2019年(暦年)の卸売業・小売業の国内総生産への影響度を推定する。
平成30年(2018年)暦年の産業別名目国内総生産において、卸売業・小売業の占める割合は13.7%である。
74兆7797億円
──────── = 0.137
545兆0733億円
但し、上記算式の分母の名目国内総生産(生産側)は、税を含まない金額である。
前記売上高より求めた2019年(暦年)の付加価値は、2018年(暦年)の付加価値より、
49兆7800億円
─────── =0.984
50兆5860億円
▲1.6%減少している。
名目国内総生産も計算の求め方は違うけれども、付加価値の総計である。このことから、上記売上高から求められた付加価値の変動は、全く関係が無いとは云えないであろう。むしろ深く関係していると思われる。
名目国内総生産全体に対する割合を求めると、
0.137×0.984=0.1348
0.137−0.1348=0.0022
▲0.22%の減少となる。
卸売業・小売業の2019年(暦年)の売上高▲2.4%の減少は、名目国内総生産に▲0.22%の影響を与えるということになる。
分析結果から見ると、卸売業・小売業の場合、売上高の年間増減率の約1/10が、名目国内総生産に影響を与える割合ということか。これは覚えていて良さそうな略算方法だ。
鑑定コラム2041)「2019年の卸売業・小売業の売上高は460兆円 対前年比▲2.4%減」
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