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2020年11月17日に、日本銀行が国内銀行の2020年7月〜9月の期間(2020年第3四半期)の貸出先貸出額を発表した。
国内銀行の不動産業への設備投資新規貸出額は、2兆4897億円である。
1年前の2019年9月末は、2兆9896億円(発表時)であったから、
2兆4897億円
────────= 0.832
2兆9896億円
前年同期比で約17%減である。対前年比で17%の貸出減は、不動産業にとって大きな出来事である。
2019年10月〜2020年9月末までの1年間の国内銀行による不動産業への設備投資新規貸出額は、10兆8391億円(各発表時の金額の数値による合計)である。
直近1年間(2019年10月〜2020年9月)の国内銀行の不動産業新規貸出額は、
2019年10月〜12月 2兆6028億円
2020年1月〜3月 3兆5294億円
2020年4月〜6月 2兆2172億円
2020年7月〜9月 2兆4897億円
計 10兆8391億円
である。
不動産業への新規貸出額は再び11兆円を切り、10兆円台になった。
国内銀行総貸出額に占める不動産業への新規貸出額の割合は23.9%である。
依然として不動産業への異常な貸出額割合である。
日本の国内銀行は、まだ不動産業に積極的に新規貸出を行っている。不動産業以外に貸出先が無いのか。
不動産業に貸出額の23.9%を注ぎ込むほど、不動産業は国内総生産を産み出しているのであろうか。
不動産業の国内総生産に占める生産額は、どれ程であろうか。
20%の生産を産み出しているならば文句は云わない。国内総生産の2割を占める産業であれば、それだけの貢献している産業といえることから。
鑑定コラム1556)「帰属家賃を控除した不動産業の国内総生産はどれ程か」で、それは分析されている。
平成26年の国内総生産に基づく私の分析であるが、内閣府発表の平成26年の確定した国内総生産(GDP)は、486兆9388億円である。
その内、不動産業の総生産は、56兆3068億円である。
この数値を見れば、
56兆3068億円÷486兆9388億円≒0.116
不動産業の総生産額は国内総生産の11.6%を占めるから、23%の貸出額があってもよいでは無いかと思われる。
しかし、この不動産業の総生産額56兆3068億円の内訳は、
住宅賃貸業 49兆2554億円
その他不動産業 7兆0514億円
となっており、住宅賃貸業の数値の中に、帰属家賃が含まれている。
帰属家賃とはなんぞやと云うことになるが、それは別のところで調べて知ってもらうとして、住宅賃貸業49兆2554億円のうち帰属家賃は35兆9035億円を占める。
不動産業の国内総生産の住宅賃貸業は、
49兆2554億円−35兆9035億円=13兆3519億円
である。
帰属家賃を除いた不動産業の総生産は
住宅賃貸業 13兆3519億円
その他不動産業 7兆0514億円
計 20兆4033億円
20兆4033億円と求められる。
国内総生産に占める不動産業の総生産の割合は、
20兆4033億円
───────── = 0.04190≒0.042
486兆9388億円
4.2%である。
帰属家賃を含まない不動産業の総生産の国内総生産に占める割合は、4.2%(20兆4033億円)でしかない。
国内総生産の寄与総生産率が4.2%である産業が、国内銀行の総貸出額の23%を使うと云うことは、経済合理性にそぐわなく、異常ではないのか。
鑑定コラム1556)「帰属家賃を控除した不動産業の国内総生産はどれ程か」
鑑定コラム1964)「不動産業への国内銀行年間貸出額10.7兆円 対前年比▲5.0%減」
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