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2445) Jリートのエスコンジャパンリート投資法人の金融庁への業務改善報告

 Jリートの銘柄として上場しているエスコンジャパンリート投資法人の運営会社である株式会社エスコンアセットマネジメントが、利益相反の行為を行い、2022年7月15日から3ヶ月の業務停止命令を受けた。

 このことについては、鑑定コラム2429)「エスコンアセットジャパンに関係する不動産鑑定会社 しっかりしないのか」で述べた。

 エスコンジャパンリート投資法人に対しては、その事に関して、2022年8月15日迄に、業務改善報告提出するように金融庁は行政指導した。

 エスコンジャパンリート投資法人が、金融庁に提出した業務改善報告書が、同法人のホームページに2022年8月15日付で記載されている。下記である。

****

   
資産運用会社における業務改善報告提出に関するお知らせ


 エスコンジャパンリート投資法人(以下「本投資法人」といいます。)が資産の運用を委託する株式会社エスコンアセットマネジメント(以下「本資産運用会社」といいます。)は、2022 年7 月15 日、同日付で公表しました「資産運用会社に対する行政処分に関するお知らせ」のとおり業務停止命令及び業務改善命令を受け、監督官庁との協議及び指導のもと、業務改善に取り組んでおります。

 上記業務改善命令では、8 月15 日までに、対応状況の報告を求められており、業務改善策の現状についてとりまとめた報告書(以下「業務改善報告」といいます。)を本日、金融庁長官宛に提出し、受理されましたのでお知らせいたします。

 投資主の皆様をはじめとする関係者の皆様に、多大なご心配とご迷惑をおかけしましたことを深くお詫び申し上げます。

 本日、提出した業務改善報告の概要は別紙のとおりですが、現在、対応策を検討中の事項や今後さらに調査を行う事項もあるため、本資産運用会社の親会社である株式会社日本エスコン(以下「親会社」といいます。)や最終親会社である中部電力株式会社(以下「中部電力」といいます。)とも協議のうえ、早急に取り組んでまいります。

 業務改善を通じ、本資産運用会社及び親会社は今後も引き続き、業務改善報告のとおり、法令等遵守態勢及び内部管理態勢を一層強化し、皆様からの信頼を回復できるよう、公正かつ適切な業務運営の実現に努めてまいります。

以上

****


 不動産鑑定評価に対する業務改善については、別紙「業務改善報告の概要」の「(3)本件発生原因を究明したうえで、投資運用業に係る意思決定の妥当性を検証するための社内プロセスの明確化など、利益相反管理について十分な態勢を構築することを含め、具体的な再発防止策を策定すること。」の中で述べられている。

 (3-1)として「発生原因」が簡単に述べられている。そのことを転載すれば、下記である。

 「本件の直接の原因は、これまで、本資産運用会社及び親会社において投資者の利益を最優先するために忠実義務を尽くす意識が極めて低かったためであり、そのため、親会社の影響力を排除できず、親会社の購入希望価格での物件取得を最優先し不適切な行為を行ってしまいました。

 また、本資産運用会社の組織としてもガバナンスが十分に機能しておらず、利害関係人取引への監視監督体制が不十分であったこと、本資産運用会社の経営陣含む役職員においても法令遵守意識が欠けていたこと、人的リソースが不足していたことにあると認識しています。

 本件発生原因を踏まえ、以下の通り再発防止策を講じます。」

 Jリート投資家の利益を最優先するべき者であるにも係わらず、その意識が低く、かつ法令遵守意識が欠けていたと反省の弁を述べる。

 投資家への利益保護の意識が低かったと云うが、意識が低いとあたかも意識はあったごとくの姿勢を主張するが、それは虚言であろう。

 投資家への利益保護の考えなど皆無であり、自分達・親会社さえ儲ければ良いと云う考えしか無かったのでは無かろうか。

 運営会社の親会社である日本エスコンが持ち込んだリート物件を、ジャパンリート投資法人に高い価格で買わして、たっぷりと売買利益を親会社にもうけさしていた。売買価格は適正な価格であるがごとく装う為に、出入りの不動産鑑定会社に高い鑑定金額の鑑定書を証拠として発行させていたのであろう。

 運営会社の明らかな利益相反行為である。

 こうした行為は、Jリート発足時から懸念されていた。起こるべきして起きた事件である。

 不動産鑑定評価への業務改善は、「(3-2)再発防止策」で2項目記されている。下記である。

 「(3-2)再発防止策

ア.不動産鑑定評価の発注業務ルールの変更

 不動産鑑定評価の発注業務を直接に担う部門において、業務ルールを物件取得業務マニュアルとして整備し更なる追加規定を行う予定です。

イ.コンプライアンス部による不動産鑑定発注業務モニタリングの強化

 不動産鑑定発注業務を行う部署に対するコンプライアンス部の牽制及び管理監督の機能を強化するため、コンプライアンス部によるモニタリングを社内規程(物件取得業務マニュアル)に定める予定です。」

 不動産鑑定評価への業務改善としての2項目は、

    @ 物件取得業務マニュアルを整備する。

    A コンプライアンス部のモニタリングの社内規定を作る。

である。

 これが不動産鑑定評価への業務改善である。これで不動産鑑定評価額が適正であると判断することが出来るの?という疑問が甚だ湧く。

 どういう取得業務マニュアルなのか、内容がさっぱり記してないから分からない。

 モニタリングの社内規定を作ると云うが、モニタリングで不動産鑑定評価額が適正な価格であると判断出来るの?

 金融庁が、その様な業務改善で了承するかどうか。


  鑑定コラム2429)
「エスコンアセットジャパンに関係する不動産鑑定会社 しっかりしないのか」

  鑑定コラム2431)「Jリートの不動産鑑定評価は大丈夫か」

  鑑定コラム2517)「エスコンジャパンリート投資法人に、資産運用会社が6億66百万円の損害賠償支払を約束」



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