2429) エスコンアセットジャパンに関係する不動産鑑定会社 しっかりしないのか
2022年7月15日の日本経済新聞が、「中部電系に業務停止命令 金融庁が方針 3ヶ月間 REITの運用で違反」の見出しで、次のごとくのニュースを伝える。
Jリートのエスコンジャパン投資法人という会社がある。同投資法人を運用するのはエスコンアセットマネジメントという会社である。エスコンアセットマネジメントという会社は、日本エスコンという会社の子会社である。
エスコンアセットマネジメントという会社は、親会社(日本エスコン)が所有不動産を、Jリートのエスコンジャパン投資法人に売る時に、親会社の利益を得るために高い価格で売ろうとして、エスコンアセットジャパンに関係する不動産鑑定会社に希望価格を伝え、「より高い価格になるように働きかけていた」という。
金融庁は、「リートに親会社の持つ不動産を高値で買わせるために鑑定会社に高い価格を提示するよう働き掛けた」という運用違反ということで、エスコンアセットマネジメントに3ヶ月間の業務停止命令をだした。
エスコンアセットジャパンに関係する不動産鑑定会社は、その高い希望価格に沿う鑑定評価額の鑑定書を提出していたのであろう。
金融庁が処罰するごとくの市場価格を乖離する高い価格など出す事は出来ませんとどうして鑑定評価を拒否しないのか。
不動産の価格を、金融庁が処罰しなければならない程の市場価格と乖離する高い価格で評価し、その価格が適正な市場価格ですと云って鑑定書を提出し、Jリート投資法人に購入させる事は、Jリート投資法人に損失を与えるばかりでなく、そのJリート投資法人が発行しているリート証券を購入している投資家に、最終的には損失を転嫁させることになる。
そうした行為に、エスコンアセットジャパンに関係する不動産鑑定会社は加担したことになる。
金融庁が、アセットマネジメント会社に業務3ヶ月の停止命令を出したことは、高い鑑定価格の不動産鑑定評価書が発行された事実があったことになる。
Jリートの不動産鑑定評価は、小さい規模の鑑定会社・個人経営の鑑定事務所には評価依頼は無い。
大手の不動産鑑定会社に限られている。
エスコンアセットジャパンに関係する不動産鑑定会社も、大手の不動産鑑定会社であろう。
不動産鑑定業及び不動産鑑定士の信用を大きく貶め、信用に泥を塗ったことになる。それについて、当該不動産鑑定会社はどういう責任の取り方をするのであろうか。
一方、不動産鑑定業者及び不動産鑑定士の団体である公益社団法人日本不動産鑑定士協会連合会は、会員のこの様な不祥事が発覚し、その鑑定書を発行した鑑定業者及び鑑定評価をおこなった不動産鑑定士をどの様に対処するのか。
まさか不問に付すと云うことは無かろう。不動産鑑定士の信用を貶めたのである。何もしない、出来ない会長であったら、職を辞された方が良い。会長の存在の必要性が無い。
他方、監督官庁の国土交通省の地価調査課は、当該不動産鑑定会社及び関係した不動産鑑定士にどの様に対応するのであろうか。
悪いのはエスコンアセットジャパンであり、不動産鑑定業者・不動産鑑定士は適正な鑑定評価を行っており処罰の必要性が無いと云って、無処罰であったならば、金融庁は烈火のごとく怒るであろう。
役所関係の力関係で云えば、国交省は金融庁の力にはとても適わない。早急にそれなりの対処をしないと、Jリート関係の不動産鑑定の所管は金融庁が持つと云いだし、その通りになりかねない。
国交省から見れば、「なんてことをしてくれたのだ。腹立たしい大手鑑定会社ょ。」では無かろうか。
当該不動産鑑定会社の代表と担当した不動産鑑定士は、国交省の地価調査課に呼ばれ、課長からこっぴどく叱られるであろう。当事者は覚悟していた方が良いではなかろうか。否(いや)、もう既に叱られているかもしれない?。日経に記事になっている位であるから。
それぞれどういう対応をするかじっと見ていよう。
鑑定コラム2445)「Jリートのエスコンジャパンリート投資法人の金融庁への業務改善報告」
鑑定コラム2517)「エスコンジャパンリート投資法人に、資産運用会社が6億66百万円の損害賠償支払を約束」
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