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2661) 著書『考論 不動産鑑定評価』P311の算式のプリントミスのお詫び

 著書『考論 不動産鑑定評価』P311(プログレス)の算式F式に大きなプリントミスがあり、算式になっていない。正式な算式は下記である。

                     年間賃料総収入−年間賃料総収入×必要諸経費率
   還元利回り =───────────────────────   
                               土地価格+建物価格

年間賃料総収入   年間賃料総収入  必要諸経費率×(土地価格+建物価格)   =─────── − ──────── ×  ────────────── 土地価格+建物価格 土地価格+建物価格 土地価格+建物価格         ・・・F式

 校正していないのでは無いのかという強いお叱りを受けそうであるが、誠に申し訳ない。

 『考論 不動産鑑定評価』P310〜312の適正な記述は下記である。

****


B 還元利回りの求め方
 還元利回りの求め方については、考論8と考論10で詳しく述べた。
 求め方を要約すると以下である。

 還元利回りを求める算式は、下記である。
       還元利回り=標準粗利回り×(1−必要諸経費率) 
 上記算式は、どの様にして算出されるのか。その証明を行う。

(1)粗利回り・標準粗利回り
 年間賃料収入を、その収入を生み出す土地・建物の不動産の価格で除した利回りを粗利回りと呼ぶ。必要諸経費を含んだ賃料を土地・建物の価格で除した利回りである。
 土地に建つ建物が、その土地に許容される容積の建築面積を持つ建物の場合の粗利回りを「標準粗利回り」と呼ぶこととする。
 下記算式である。
                             年間賃料総収入
     標準粗利回り=────────────      ・・・@式  
                           土地価格+建物価格

(2)必要諸経費率
 必要諸経費率とは、年間賃料総収入に占める必要諸経費の割合である。
                               必要諸経費
            必要諸経費率=─────────            ・・・A式  
                              年間賃料総収入

(3)純収益
 純収益とは、年間賃料総収入から必要諸経費を差し引いた金額を云う。
             年間賃料総収入−必要諸経費=純収益     ・・・B式

(4)還元利回り
 還元利回りとは、純収益を土地建物価格で除した割合をいう。

                                  純収益
      還元利回り = ──────────       ・・・C式  
                           土地価格+建物価格

(5)還元利回りと標準粗利回り、必要諸経費率の関係
 C式にB式を代入する。

                           年間賃料総収入−必要諸経費
      還元利回り  ──────────────   ・・・D式  
                               土地価格+建物価格
 A式を変型する。
必要諸経費= 年間賃料総収入×必要諸経費率 ・・・E式
 D式にE式を代入する。
                     年間賃料総収入−年間賃料総収入×必要諸経費率
   還元利回り =───────────────────────   
                               土地価格+建物価格

年間賃料総収入    年間賃料総収入  必要諸経費率×(土地価格+建物価格)   =───────  − ──────── ×   ────────────── 土地価格+建物価格 土地価格+建物価格 土地価格+建物価格        ・・・F式

       年間賃料総収入
     ─────────                                         
     土地価格+建物価格
は、標準粗利回りであることから、F式は、
    還元利回り=標準粗利回り−標準粗利回り×必要諸経費率 ・・・G式
となる。

 G式を変型する
         還元利回り=標準粗利回り×(1−必要諸経費率)      ・・・H式
となる。

 還元利回りは、
         還元利回り=標準粗利回り×(1−必要諸経費率)
の算式で求められる。

 そして、標準粗利回りの求め方の算式は下記である。

  標準粗利回り
  u当り賃料×12×共益費修正率×運用償却額修正率×空室率修正×経年賃料修正率×容積率×賃貸面積率
=  ──────────────────────────────────
                土地単価+建物工事費単価×容積率×償却修正率

 上記算式を手計算で行うのは大変である。上記式をパソコンのエクセルに覚え込ませておき、数値のみを打ち込めば、貸ビル、アパート、賃貸マンション、賃貸店舗、貸倉庫等の賃貸不動産の還元利回りは、たちどころに求められる。

 上記式に土地価格等の数値を代入し、必要諸経費率を代入すれば、下記の通りである。


土地単価(円/u) 330000  
建物工事費(円/u) 177200  
建物価格(円/u) 177200  
建物償却率 1.00  
u当り賃料円/u) 2500  
共益費率 1.00  
運用償却額修正率 1.0004  
空室率修正率 0.95  
経年賃料修正率 1.00  
容積率 0.8  
賃貸面積率 1.00  
必要諸経費率 0.21  
     
標準粗利回り 0.048349  
還元利回り(総合) 0.038196 0.038

 この求められた還元利回りを期待利回りとして採用して使用する。
 (注)著書では上記表には枠線は入っていません。

****


 最後の方の標準粗利回りの複雑そうに見える算式は、@式より求められたものである。

 その算式証明は、『考論 不動産鑑定評価』のP136〜137に記述してある。


  鑑定コラム2409)
「新著『[考論]不動産鑑定評価』P240の符号の印刷間違いを謝る」


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