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267)すかいらーくがファミリーレストランを買収

 2006年3月15日の日本経済新聞の夕刊は、すかいらーくが関西のファミリーレストラン112店舗を経営するトマトアンドアソシエイツを買収することを報じた。

 同新聞夕刊は、買収価格は約17億円で、トマトアンドアソシエイツ社の売上高は150億円と報じる。

 17億円で年間売上高150億円のレストランを買収するとは、随分と安い買い物では無いのかと私は思った。
 投下資本に対する売上高の倍率は、
        150億円÷17億円≒8.8倍
である。

 こんなに安く買収出来るのかといぶかった。
 そしてこれは売上高では企業価値の評価は出来ないと判断し、取得価格約17億円からトマトアンドアソシエイツ社の営業利益を推定し、取得価格の妥当性を考えて見ることにした。

 レストランの投下資本の回収を7年とする。
 すかいらーくの経営者は、レストランという業種を考えれば、投下資本の回収期間を10年という長い回収期間を考えて買収はしないであろう。5年でも良いが、そうすると売却する方が拒否する可能性が高い。中をとって7年位では無かろうかと私は推定した。

 年間の投下資本回収額、即ち営業利益は、投下資本は17億円であるから、
        17億円÷7≒2.43億円
である。トマトアンドアソシエイツ社の営業利益を2.43億円と推定する。

 営業利益率は、
        2.43億円÷150億円≒0.016
1.6%である。いささか利益率は低い。低すぎる。

 日経夕刊は、すかいらーくのトマトアンドアソシエイツ社の買収の正式発表は3月15日の夕方と報じるから、夕刊の記事は正式発表前の数値であるから変動があるかもしれないと思い、翌日の16日になって、すかいらーくのホームページを開きプレスリリース記事を見た。

 すかいらーくのホームページのプレスリリース記事は次のごとくであった。

 トマトアンドアソシエイツ社の全株式購入価格は1,663百万円であった。
 トマトアンドアソシエイツ社の売上高等は下記の通りであった。

                  平成16年9月期            平成17年9月期
    売上高     8,018百万円       8,245百万円
    売上総利益      4,880百万円              5,014百万円
    営業利益          227百万円                224百万円
    総資産          6,022百万円              5,390百万円

 平成17年9月期の営業利益は、224百万円である。
 15日夕刊の記事から、私が分析推定した営業利益と大差無い金額であった。

 投下資本利益率は、
        224百万円÷1,663百万円≒0.135
である。

 投下資本の回収期間は、
        1/0.135=7.4年
で、投下資本の回収を7年と推定した予測と見事に一致した。

 営業利益率は、売上高が大幅に下がっているため、
        224百万円÷8,245百万円=0.027
2.7%である。

 営業利益が224百万円のレストランを、投下資本を7年で回収すると、還元利回りは、
        1/7=0.143
である。

 適正な買収企業価格は、
        224百万円÷0.143=1,566百万円
15.7億円と推定出来る。

 実際の買収価格は16.63億円である。
 開差率は、
        15.7億円÷16.63億円=0.944
5.6%である。この程度の開差は許容の範囲であろう。

 すかいらーくのトマトアンドアソシエイツ社の買収価格は、営業利益と投下資本の回収年でほぼ説明されることになる。

 但し、これは私が勝手に価格分析・推定したものであり、当事者からはそんなに簡単に買収価格が決定されるものではないという言い分とおしかりを受けるかもしれない。私は「ものごと簡単こそベスト」と思っているが。

 いずれにしろ、買収価格は私の分析で見ると、合理的な価格であると言える。


 すかいらーくについては下記の鑑定コラムの記事があります。

 鑑定コラム237)「すかいらーくの小僧寿し本部の30%株式の買収価格」

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