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266)ホテルの稼働率77.4%

 東京都内主要15ホテルの客室稼働率が、平成17年は77.4%になったと、国土交通省のホームページの「国土交通産業の概況」報告は伝える。

 過去の東京都内主要15ホテルの客室稼働率を記すと、下記の通りである。

          平成14年    76.7%
          平成15年    74.4%
          平成16年    75.6%
          平成17年    77.4%

 平成15年を底にしてホテルの客室稼働率は増加傾向にある。景気が良くなっていることの証拠の一つでは無かろうか。

 平成17年1年間の客室稼働率を見ると、ホテルが最も忙しく稼ぐ時期は、10月と11月であることが分かる。

 下記に同ホームページが公表している東京都内主要15ホテルの月別客室稼働率を記す。括弧内の数値は平均稼働率を100とした場合の指数である。筆者が計算したものである。

      平成17年1月    64.0  (82.7)
      平成17年2月    77.1  (99.6)
      平成17年3月    80.3  (103.7)
      平成17年4月    81.7  (105.6)
      平成17年5月    74.6  (96.4)
      平成17年6月    73.9  (95.5)
      
      平成17年7月    79.3  (102.5)
      平成17年8月    75.1  (97.0)
      平成17年9月    77.8  (100.5)
      平成17年10月    85.0  (109.8)
      平成17年11月    84.5  (109.2)
      平成17年12月    75.8  (97.9)

 ホテルの鑑定評価する時には、上記年間の平均客室稼働率を知っておくと役に立つのでは無かろうか。

 年間の平均客室稼働率から各月の稼働率を推定するには、括弧内の指数を利用すれば、各月の稼働率が求められる。それから各月のホテルの客室収入も把握出来ることになる。

 稼働率の反対は空室率ということになる。
     1−稼働率=空室率

 この空室率は貸ビルの空室率と同じものである。

  ホテルの客室料金に空室率、
     1−0.774=0.226
22.6%が必要諸経費に組み込まれ、客室料金が決定されているのであろうか。
 ホテルの空室率が必要諸経費に勘定されるのであろうか。

 不動産鑑定評価の鑑定評価基準は、空室率の姿を変えた「空室損失」とした語句で、空室率を必要諸経費(固定資産税、修繕費等)に計上することにしている。
 つまり空室率が加算されて賃料が形成されるという理論構成である。

 その結果、空室率が高ければ高いほど、賃料が高くなるということになる。なんともおかしな理論である。

 ホテルの客室料金に置き換えて云えば、空室率が高ければ高い程、客室料金は高いということになる。
 10月の客室料金より1月の客室料金が高いと云うことになる。
 そんなことはあり得るであろうか。

 ホテルの経営者は、1月は空室率が高いから客室料金を下げて稼働率を高めて収入を多く得ようとするのでは無かろうか。

 こうして見ると、不動産鑑定評価基準の積算賃料の必要諸経費に、空室損失を入れるのはおかしいのでは無いだろうか。空室損失を固定資産税と同じ類の経費と扱い、必要諸経費に入れることは、誤りであると私は思う。空室損失は収入のリスクの要因で考えるべきものであろう。


 賃料の空室損失については、次の鑑定コラムの記事があります。
  鑑定コラム 184)「空室損失は家賃の必要諸経費なのか」
 
 ホテルの稼働率については、下記の鑑定コラムがあります。
  鑑定コラム427)「神戸市内の2007年ホテル客室稼働率は75.2%」

  鑑定コラム428)「東京の2007年ホテルの客室稼働率75.3%」

  鑑定コラム432)「那覇市の2007年ホテル客室稼働率74.2%」

  鑑定コラム450)「京都のホテルの客室稼働率82.2%(2008年5月直前1ヶ年)」

  鑑定コラム638)「ホテル客室稼働率(東京・大阪・京都)」

  鑑定コラム864)「2011年の東京の主要ホテルの客室稼働率」


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