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2688) 『改訂増補 賃料<地代・家賃>評価の実際』の増刷 プログレス社

 2017年2月に発行した『改訂増補 賃料<地代・家賃>評価の実際』の出版社であるプログレス(電話03-3341-6573)の編集長から、2023年11月頃、「裁判所から著書改訂増補の購入の注文が入りましたが、在庫が僅少になり、増刷しなければならなくなりました。どうしましようか。」という電話があった。

 部厚く、販売価格も安くない『改訂増補 賃料<地代・家賃>評価の実際』の著書がそんなに売れるものでは無かろうと思っていたが、出版社の在庫が無くなると言うことは、それなりに売れたと云うことになる。

 時々、初めて会う弁護士と名刺交換する際に、上記改訂増補の著書を持っていますと初対面の弁護士から挨拶される。

 そして、「具体的で、大変分かり易く書かれた本で、実務で重宝しています。」と云われる。

 著書がある程度行き渡っていることを、その時知る。

 再度の全面改訂は大変であり、誤字訂正、計算間違いの修正のみに留めた増刷とするということになり、その増刷が終わり、出版社から贈呈として本日(2024年1月25日)1冊送られてきた。

 Amazonの売れ筋ランキングによれば、2024年1月25日現在では、 599,882位本のうち部門別の売れ筋ランキングは、

   不動産ビジネスの法律部門で262位、
   産業研究の不動産投資部門では388位
である。

 カスタマーレビューという著書購入者による評価では、 5つ星のうち3.3の評価のようである。

 内容について、良かったというコメントもあるが、辛辣なコメントもある。

 例えば、下記の様なものである。

 「全宅連のHPで無料公開されていた賃料相場データ(しかも古い)で40頁も費やすのは水増しの誹りを免れない。」

 そういう見方もする人もいるであろうが、私から云えば、知識・経験不足からの大きな勘違いをされているのではなかろうかと思われる。

 平成24年4月時点の日本全国市区町村の2DKの家賃データが掲載されていることについての批判であるが、この掲載データ利用によって、賃料裁判で大変役だったという裁判事案が必ず生じてくると私は考えて、掲載したのである。

 家賃の裁判は、新規賃料で争うことはまず無い。

 継続賃料での適正賃料の争いである。継続賃料は賃貸借期間が20年、30年と長く続いている場合が多い。そうした場合ほど、新規賃料との賃料差が大きくなり、現行支払賃料は安すぎると賃貸人が不服となり、裁判になる。

 そうした時、当該継続賃料のある時点の新規賃料との賃料の開差がどれ程であったかが分かれば、価格時点の新規賃料との適正開差をどの程度にすればよいかという判断の大きな指針になる。

 日本の全国市区町村ほぼ全部の過去のある時点の新規賃料が、統一的に記録として残されて居るものは無い。国会図書館に行っても無い。

 平成24年(2012年)4月時点の全国市区町村の2DK(面積12坪、40u 、木造平家建て都道府県市町村営住宅の標準規模)の新規家賃が、手許にある書物に記載されていると分かれば、それを利用することによって、平成24年時での当該継続賃料と新規賃料との賃料関係割合がわかる。その時点の賃料関係割合では賃貸人、賃借人は双方不満無い賃貸借関係であった。

 そのことが、平成24年時の賃料を知ることによって分かる。このことは、継続賃料の適正賃料を判断するためには非常に重要なことである。

 その重要判断出来る証拠となるものが、手許の書籍にあるというのは大変便利なものではなかろうか。日本全国どこの市区町村の賃料訴訟にも使えるのである。

 「全宅連のHPで無料公開されていた賃料相場データ(しかも古い)で40頁も費やすのは水増しの誹りを免れない。」と批判するが、これから年月が経てば経つ程、40頁を費やしたデータの貴重性が分かって来るであろう。

 このデータが、長期間の継続賃料の争いの適正賃料の判断に利用され、争訟解決の重要な証拠として、訴訟の解決に利用されて来ることになるであろう。

 それは居宅賃料だけでなく、事務所賃料、店舗賃料等全ての賃料訴訟にも使え、証拠となる。

 裁判において、統一的に客観的にしっかりした証拠というものが、どれ程重要であるか、一度30年程賃貸借契約が続いている継続賃料の家賃訴訟を経験すれば分かる。

 地代評価においても、平成24年(2012年)の家賃に対する、その時点の支払地代との割合関係を知ることによって、価格時点の新規支払家賃を知れば、価格時点の適正な地代をおおよそ推定することが出来、それは地代の適正評価に大きく寄与することになる。

 もう一つ、不動産鑑定士には不動産鑑定士としての大切な役目がある。それは、不動産鑑定士は、その時代のその場所のその時点の適正な不動産の価格、賃料を後世に伝える為に記録として残しておく役目を担う。

 ネットを見ていたら、『賃料<地代・家賃>評価の実際』の著書について、下記の様なネット記事があった。出所を記して転載する。

1.「職業ちゃんねる」(http://somanyjobs.doorblog.jp/)というホームペーに下記のスレッドがあった。
  「(都内在住)大学生なんだけど家賃14万3000円そんなに高いの?」

 このスレッドに対して、下記のごとく書き込みがなされている。

 「103: 20/07/27(月)19:21:47 ID:c1n
 地方なら3万
 東京なら5万ってとこやろワンルームなら
 賃料地代・家賃評価の実際改訂増補 [ 田原拓治 ] 」

2.「ローリスク不動産」(https://fudousantousinavi.com/)のホームページの不動産鑑定士カテゴリーで、(合格者が話す)の課題の中で、下記のごとくの記事があった。

 「 1 実務修習中に役に立った鑑定の本ベスト3
   1.1 特殊な画地と鑑定評価
   1.2 賃料[地代・家賃]評価の実際
   1.3 土地価格比準表」


  鑑定コラム1553)
「脱稿・改訂増補『賃料<地代・家賃>評価の実際』」

  鑑定コラム1554)「改定増補『賃料<地代・家賃>評価の実際』のはしがき」

  鑑定コラム2689)「令和6年能登半島地震の家賃への影響」

  鑑定コラム2696)「『改訂増補 賃料<地代・家賃>評価の実際』のアマゾンランキング37位」


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