2001年11月に『賃料<家賃>評価の実際』(清文社)を発行した。
その著書は、半分が基礎価格である土地建物の価格の評価の記述に費やされていた。
数年で売り切れ絶版となった。
絶版になったが要望が多くあったため、4年後、家賃評価の部分を抜き出し、地代評価を加筆して、2005年12月に、プログレス社から、初版・『賃料<地代・家賃>評価の実際』という著書を発行した。
それから11年経ち、賃料評価理論も進歩した。
そして平成26年5月に不動産鑑定評価基準が改定され、賃料評価の基準も部分的に改定された。
今回の鑑定基準の改定においては、私が主張していた幾つかが取り入れられている。
そうしたこともあり、今回前著に筆を入れ、多くを書き直し加筆することにした。
前著は、「初版」と呼び、前著に大幅に筆をいれ多くを書き直した版を「改定増補」版と呼ぶことにした。
大幅に書き直した内容の一部の幾つかは、鑑定コラムに発表されている。
その具体の一つは、2016年10月13日に発表した鑑定コラム1552)「賃貸事業分析法の具体的な求め方」である。その他幾つかが鑑定コラムに発表されている。
鑑定コラムに発表されているならば、改定増補の著書を買う必要は無いと思われる人もおられるかもしれないが、断片的に書かれているコラム記事よりか、系統的にまとめられて書かれている著書の方が、理解がし易い。
賃料が問題になるのは殆どが裁判であり、代理人弁護士による厳しく激しい鑑定書批判、それに対する反論、再批判、再反論によって得られ学んだ賃料評価理論を具体的に数値を示して書かれた賃料鑑定評価実務書である。
裁判は証拠、証拠の世界である。
賃料の鑑定評価も証拠、証拠が要求される。
判断だ意見だと云って、それがそうですかと云って通る世界では無い。
判断・意見を担保する証拠はありますか。出して下さいの世界である。
期待利回り5%、その証拠、データを出して下さい。
地価公示価格で採用しているから適正ですと云っても、そうですか、それが適正であるということを実証して下さいの世界である。
その5%は、土地価格がいかほどで、家賃がいかほどの場合の何処の場所の利回りですか。それらを具体的に示して下さい。
証拠が出せなかったら、その主張に信頼性は無い。
日本で最も信頼出来る不動産価格の研究機関が発表している利回りですから適正ですと云っても、それはアンケートによるものでしょう。場所も特定されないアンケートで得られた利回り数値を元にして求められた賃料が適正と云えるのですか。
銀座は、1丁目から8丁目まであり、道路幅員が異なり、繁華性も異なる。その広い銀座の土地価格をアンケートで求めて、アンケートの平均価格を、例えば銀座2丁目の中央通りの土地価格であるというつもりなのですか。それと同じでしょう。それが適正な鑑定評価と云えますか。
その様に法廷で代理人弁護士より詰問されたらどうする。
私の40年に及ぶ賃料鑑定の実践経験によって得られた知識が凝縮して、具体的に分かり易く記述してある。
地代家賃の評価が主であるが、借地権価格、明渡立退料についても論及している。
前著の初版は、本文371頁であったが、改定増補版は700頁近くの部厚い著書になりそうである。頒価も高くなりそうであるが、それだけの価値はあると私は勝手に思っている。しかしそれは読者が判断することである。
頁数700頁に及ぶ改訂増補『賃料<地代・家賃>評価の実際』の原稿を、2016年10月初めにやっと書き上げた。脱稿した。
校正、再校正、印刷、製本という行程にこれから入る。
来年2017年早々には書店の店頭に並ぶ様にしたいと、出版社の編集長は云う。
前著も多くの人に購入していただいた。弁護士等法曹界の方々が買って下さった。初めて会った弁護士から、購入して参考にしていますと初対面の名刺交換の時に云われて面食らったことが多々あった。
改定増補版も多くの人に購入され、利用されることを願う。
鑑定コラム1552)「賃貸事業分析法の具体的な求め方」
鑑定コラム249)「著書『賃料(地代・家賃)評価の実際』の発行」
鑑定コラム14)「著書 『賃料<家賃>評価の実際』」
鑑定コラム1554)「改定増補『賃料<地代・家賃>評価の実際』のはしがき」
鑑定コラム2688)「『改訂増補 賃料<地代・家賃>評価の実際』の増刷 プログレス社」
▲