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2695) 不動産鑑定士太田謁八氏亡くなる

 悲しい訃報が入った。

 不動産鑑定士の太田謁八氏が亡くなったという訃報が入った。

 田原塾に顔を出されており、時々、明渡立退料、賃料について、自分の考えを述べてから、
   「田原さんどう考える?」
とアドバイスを求められたことも幾度かあった。

 又、「田原さんの考え方利用させてもらっています。」とよく言われた。

 争訟の不動産鑑定で良く勉強されており、弁護士と堂々と渡り合って、適正な不動産鑑定評価を主張されていた。

 しっかりした考えを持った、志の高い、立派な不動産鑑定士であった。

 1週間後の2024年2月20日午後6時半から、新型コロナウイルスで開催を止めていた田原塾が3年振りで、赤坂のホテルニューオータニの小さな部屋で開かれる。

 私の講演は無く、懇親会ということで開かれ、久しぶりに太田謁八氏に会え、酒を酌み交わせると楽しみにしていたのであるが、亡くなられて、お会い出来ないことになってしまった。残念である。

 太田謁八氏は、「Y.A.P」というブログを主催して、意見を述べておられた。

 借家権について、当鑑定コラム2124)「差額賃料の3年分は借家権価格ではない」に、氏の意見を転載させてもらった。

 太田氏の記事の部分のみ転載すると下記である。

****


14.補償基準の曲解(あるブログより)

 「Y.A.P」という不動産鑑定士が主宰するブログ(http://yamatokantei.blog54.fc2.com/blog-entry-56.html)が、「立退料と借家権価格」の表題で論じている。

 「Y.A.P」ブログ氏(以下「ブログ氏」と呼ぶ)は、不動産鑑定評価で求める借家権価格というものはどういうものか下記のごとく述べられる。

 「旧借家法又は借地借家法により保護されていることにより生ずる法的保護利益、建物の維持、地域の発展、元本価値の上昇等に対する借家人の寄与・貢献分の配分利益からなる借家人に帰属すべき経済的利益を貨幣額をもって表示したものなのである。

 したがって、借家権価格は、借家権という権利の消失対価と位置づけられるものである。」

 借家権価格は、「借家権という権利の消失対価」と述べられる。

 そして、損失補償基準細則の借家人補償は、

 「借家権という権利の消失対価を意味するものではなく、「借家人に対する移転補償」と位置づけられるものである。」

と述べられる。

 不動産鑑定評価の借家権価格と損失補償基準細則の借家人補償とは、本質が異なるものと説明する。

 そして次のごとくの例え話を述べられる。

 「例えば、建物の新築当初より賃貸借を30年以上も継続して現在に至っている借家人の場合で、当該店舗がテナントの入替わりの激しい商店街にあって、看板を守ってきた老舗店舗のひとつだとしたらどうだろうか。

 このような場合にまで、「損失補償基準細則」に従って、2年〜4年(最長で5年)ということでいいものだろうか。これではあまりにも公平乃至衡平に欠けるのではないかと考える。

 このような場合、借家人の意思を合理的に解釈すれば、対象建物が使用可能な限り(必ずしも「対象建物の経済的残存耐用年数」にとどまらず、「物理的残存耐用年数」までということもあり得る)は、当該店舗で営業を継続したいと考えるということではないだろうか。」

 そして損失補償基準細則の借家人補償額が借家権価格であるとして鑑定評価する不動産鑑定士に対して、

 「これをそのまま適用する鑑定士がいるのには驚かされる。

 両者の本質的な違いを無視して、「お上」の決めたことだから妥当なのだ!という態度で・・・・。

 ただ「お上」も権利の消失対価と考えて定めているわけではないので、曲解?している方が問題なのだが・・・・。」

と痛烈に批判する。

 そして最後にまとめて次の様に述べられる。

 「既述のとおり、「損失補償基準」の「借家人補償」と不動産鑑定評価で求める「借家権価格」ではその本質が異なるわけであるから、その点を十分踏まえた上で「損失補償基準」及び「損失補償基準細則」の数値を参考にすべきなのである。

 繰り返しになるが、これを金科玉条のごとく採用して鑑定評価を行うことは、極めて妥当性に欠ける結論を招く場合があるということである。

 さる高名な鑑定士でさえ、さもそれが当たり前の如く鑑定を行っていることに接し、閉口した次第です。」

 「Y.A.P」のブログは、東京の中堅の不動産鑑定士4人のグループのブログである。4人の不動産鑑定士の名前は、
          太田謁八

          田村直之

          進藤俊二

          小石秀幸
の方々である。

 ブログ氏によれば、差額賃料の2年分或いは3年分が借家権価格であるというごとくの不動産鑑定書を書いたら、こっぴどく批判されることになろう。

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 まだ若かった太田謁八不動産鑑定士の死を悼む。


  鑑定コラム2124)
「差額賃料の3年分は借家権価格ではない」


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