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2819) 大学卒業生の初任給が月額30万円超えに


 2025年1月7日のNHKウエブが、三井住友銀行が来年(2026年)4月に入社する大学生の初任給を月額30万円にすると報じた。

 これまで、即ち2024年4月は25.5万円であったが、来春は4.5万円上げて30万円の初任給にするというのである。

 初任給の上昇率は、
    30.0万円÷25.5万円=1.176
17.6%アップである。

 この給与アップ率には私は驚いた。

 過去2011年から2022年まで、メガバンクの3銀行の大卒の初任給は20.5万円で同一水準で来ていた。2023年に3メガバンクの同一歩調が打ち破られた。

 2023年4月に三井住友銀行が4万円上げて25.5万円とした。2024年も25.5万円であった。

 その水準が、今後しばらくは、日本の大学新卒の新しい初任給水準になるのでは無かろうかと、私は思っていたが、来年は一気に30万円になるという。

 みずほ銀行、三菱UFJ銀行も同一水準に、恐らくなるのでは無かろうか。

 この三井住友銀行の大卒初任給の30万円台の報道に触発されたのか、2025年1月12日の時事通信は、保険会社の東京海上日動火災保険が、転勤・転居の条件付であるが、来年(2026年)の大卒の給与を41万円に増やすと伝える。

 銀行初任給の金額の比で無い。大卒初任給41万円という金額の出現である。

 一方不動産業の大卒の初任給はどれ程か。

 不動産業の雄の会社の一つである三井不動産は、今年(2025年)4月入社の大卒の初任給は32万円である。
(https://recruit.mitsuifudosan.co.jp/shinsotsu/recruit/requirements/)

 もう一方の雄の会社の三菱地所の、2025年4月入社の大卒の初任給はどれ程か私には分からないが、2024年4月入社の大卒の初任給は、26万円である。
(https://career.mec.co.jp/sougou/recruit/application.html)

 厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」によると、令和2年〜5年までの金融業・保険業、不動産業・物品賃貸業、全産業の大卒の初任給は下記である。単位は千円。

                 金融業・            不動産業・           全産業
         保険業            物品賃貸業

令和2年 220.5 223.7 226.0 令和3年 218.5 227.5 225.4    令和4年 220.5       234.4        228.5 令和5年 226.7 236.9 237.3

 上記大卒初任給を見て、初任給が30万円、32万円、41万円だという話を聞くと、上記一覧表の大卒の初任給は、ひと昔、ふた昔前の初任給では無いのかと思われてくる。

 それ等よりも遠い、遠い昔の、私が大学を卒業する頃の大卒の初任給を、GNP(現在のGDPに相等)と比較して、鑑定コラム2086)に記している。

 この鑑定コラム2086)は、2020年5月の或る日の桐蔭横浜大学での不動産鑑定の講義のレジュメを記したものであるが、その記述部分を以下に転載する。何かの参考になるであろう。

 「私が大学生の時の日本の国民総生産(GNP、その頃は国内総生産の数値は無かった)は、30兆円であった。道路は舗装されていない。下水道はない。井戸水である。

 学食の素うどん一杯20円である。大学生の初任給は1万6000円である。

 桐蔭横浜大学の学食のかけうどん一杯の値段は今どれ程だろうか。大卒の初任給はどれ程か。

 30兆円と554兆円の差は、GDP金額で比較すれば、社会、経済、所得水準がどういう状態であるかがすぐ分かることになる。」(鑑定コラム2086転載)


  鑑定コラム2086)
「現在はどういう時期なのか(地価と国内総生産)」


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