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2855) 不特法の商品の契約財産は分別管理しなければならない  国交省大臣が国会答弁


 2025年3月19日に衆議院国土交通委員会が開かれ、尾辻かな子衆議院議員が、2025年2月27日の衆議院予算委員会に引き続き、再びみんなで大家さんに付いて、国会質問に立った。

 その国土交通委員会での議事録が公開された。

 議事録のアドレスは、

https://kokkai.ndl.go.jp/#/detail?minId=121704319X00320250319¤t=1

である。

 尾辻かな子議員の質問に対して、応答した政府委員等は、

   国土交通大臣   中野 洋昌
   政府参考人  国土交通省不動産・建設経済局長 平田  研
   参考人    (成田国際空港株式会社代表取締役社長)田村明比古

の各氏である。

 答弁の多くは、成田国際空港株式会社代表取締役社長の田村明比古氏が行ったが、不動産特定共同事業法(以下「不特法」と呼ぶ。) に関する質問に対しては、国土交通省不動産・建設経済局長の平田 研氏及び中野洋昌国土交通大臣が答弁した。

 その答弁の中で、尾辻かな子議員が、不特法はポンジスキームを規制しているのかという質問に対して、中野洋昌国土交通大臣が、下記のごとく答弁した。

 「委員御指摘の不動産特定共同事業につきまして、これは、特定の不動産ごとに投資を募り、運用を行うものであるということでありますので、商品ごとに収支を区別をする、商品間の資金流用を防ぐという目的から、契約に係る財産については、自己の財産や他の契約に係る財産と分別して管理しなければならない、これは分別管理を求めているということであります。」

 不特法の商品は、商品ごとに収支を区分し、契約の財産は他の財産と分別管理しなければならないと答弁する。

 分別管理は、商品間の資金流用を防ぐ為であると答弁する。

 Aの商品で集めた投資資金を、Bの商品の資金に回す事はダメだと云うことである。

 Bの商品の資金に回す事と言うことの中には、Bの商品の配当に使用すると云うことは勿論含まれる。

 つまり、不特法におけるポンジシステム(ポンジスキーム)をはっきりと否定した答弁である。

 不特法での投資家を保護に付いては、次のごとく答弁した。

 「不動産特定共同事業法において、契約を締結する際に、例えば、対象不動産の価格やその算定方法、利害関係取引の有無あるいはその内容、損失の発生要因などについて、投資家に説明をするということを事業者に義務づけるということでありまして、違反があった場合には監督処分の対象とする、こういうスキームでございます」

 不特法の商品契約する際には、商品の対象の不動産の価格とその算定方法を投資家に説明しなければならないと答弁する。それは事業者に義務づけていると答弁する。

 これに違反した場合は、監督処分の対象になると国会で答弁した。

 商品の対象である不動産の価格は不適正な価格であっては、それは商品を購入する投資家を騙す行為に成ることから、不動産の価格は適正な価格で無ければならない事は云うまでも無いことである。

 下記に、2025年3月19日の衆議院国土交通委員会における尾辻かな子衆議院議員の質問と政府の答弁の公開された国会議事録を転載する。

****


000 会議録情報
令和七年三月十九日(水曜日)
    午前九時四十五分開議
 出席委員
   委員長 井上 貴博君
   国土交通大臣       中野 洋昌君
   政府参考人
   (国土交通省不動産・建設経済局長)平田  研君
   参考人
   (成田国際空港株式会社代表取締役社長)田村明比古君

    …………………………………
 国土交通行政の基本施策に関する件
     ――――◇―――――

018 尾辻かな子
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○尾辻委員 それでは、引き続きまして、不動産特定共同事業法についてお伺いをしてまいりたいと思います。
 先日、予算委員会の分科会の方でも、るる議論をさせていただきました。詳しくは、お手元、配付資料をお配りをさせていただいております。  そして、今日も、お忙しい中ではございますけれども、成田国際空港株式会社より田村代表取締役社長にお越しをいただきました。お忙しい中、本当にありがとうございます。
 それでは、田村社長の方にお聞かせをいただきたいと思います。成田市小菅地区においての成田国際空港株式会社が所有する土地の賃貸借契約のことについてであります。
 まず、確認をさせていただきたいと思います。この小菅地区の地区計画決定については、都市計画法第十六条三項による申出制度を利用した地区計画であるということでよろしいでしょうか。

019 田村明比古
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○田村参考人 お答え申し上げます。
 委員御指摘のとおりと承知をいたしております。

020 尾辻かな子
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○尾辻委員 この申出制度というのは、事業地籍の三分の二以上の所有者の同意を得るということになっております。としますと、この事業の四割の土地を持つ成田国際空港株式会社として、申出制度による地区計画決定をする際、地権者として同意をされたということでよろしいでしょうか。

021 田村明比古
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○田村参考人 お答え申し上げます。
 地区決定の申出は、賃借人が行政との事前相談を重ねてきた中で、今後の手続に必要なものとして同意の依頼がございました。当社は、他の土地所有者との協議状況等を確認し、成田市や土地所有者が本計画に前向きであったことから、同意をいたしたものでございます。

022 尾辻かな子
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○尾辻委員 土地の賃貸借契約に至る前に、成田市の地区計画決定前に、申出段階のところで成田国際空港株式会社として同意をしていたという、この事実は非常に重いと思います。
 ちなみに、この同意はいつされたものでしょうか。

023 井上貴博
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○井上委員長 どなたがお答えになられますか。
 止めてください。
    〔速記中止〕

024 井上貴博
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○井上委員長 速記を起こしてください。
 よろしいですか。田村代表取締役社長。

025 田村明比古
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○田村参考人 失礼いたしました。お答えいたします。
 平成二十九年十二月六日でございます。

026 尾辻かな子
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○尾辻委員 結局、この開発は、端緒の段階から、やはり成田国際空港株式会社は事業者と二人三脚でこの事業をやってきたんだというふうに受け止められても仕方がない状況ではないかというふうに思います。
 これは、先日の分科会では、いや、違うんです、自分たちが土地を貸したのは、成田市が地区計画決定をして、そして千葉県が農地転用の許可もしたから自分たちは土地を貸したという話だったわけですが、これは、地区計画前に事業へのゴーサインを出したような状況ではないのかというふうに思われますが、田村社長、いかがでしょうか。

027 田村明比古
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○田村参考人 お答えいたします。
 先ほど申し上げましたように、地区計画の申出というのは、賃借人が行政との事前相談を重ねてきた中で、今後の手続に必要なものとして同意の依頼がございました。当社は、他の土地所有者との協議状況等を確認し、成田市や土地所有者が本計画に前向きであったことから、同意をいたしたものでございます。  なお、この同意は、土地賃貸借契約の締結について意思決定したものではございません。

028 尾辻かな子
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○尾辻委員 地区計画申出段階といいますと、事業地全五百八十五筆のうち、事業者側が所有していた土地というのは四筆なんです。ですから、先ほどから申し上げているとおり、地区計画決定に向けて、成田国際空港株式会社の同意というのは重要な役割を果たしたと言えると思います。
 次に、前回の質疑の際、不動産特定共同事業法のスキームを使った事業であることは承知をされていないという田村社長の御答弁があったかと思います。ここについて再度御質問させていただきたいと思います。
 というのが、この都市計画決定と一緒に、実は農地法の方でも転用許可というのをされているわけですけれども、事業者が千葉県に提出する書類には、不動産特定共同事業法に基づくこと、資金計画などが許可申請書にはしっかりと書かれております。不動産特定共同事業法に基づく開発というか事業であることは、経営会議で土地の賃貸借の決定時には承知されていることではないんでしょうか。

029 田村明比古
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○田村参考人 経営会議では、造成工事を目的とした土地賃貸借契約の締結につきまして審議を行い、その際は、造成工事の資金計画について確認をいたしたところでございます。
 委員御指摘の農地転用許可申請におきましては、賃借人が不動産特定共同事業による資金調達をうかがわせる書類を千葉県に提出したことは承知いたしておりますが、これは造成工事の資金に充てるものではないと承知をしておりました。

030 尾辻かな子
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○尾辻委員 造成工事の方は違うんだから、不動産特定共同事業法だということは切り離して判断したというお答えだと思います。
 じゃ、逆に、造成工事自身がきちっと資金担保されていたのかという実は問題もございます。
 事業者のホームページを見ますと、これは恐らく香港だと思うんですが、香港の会社からの出資を受けるということを、事業者のホームページで百十二億円受けるんだということを発表されておられますが、成田国際空港株式会社との賃貸借契約前に、その増資が半分の五十四億円にとどまるといったことも事業者のホームページでは公表されておられるわけです。
 そういう資金状態にあったところで賃貸借契約を造成工事で結んだ成田国際空港株式会社の経営会議の判断はどうであったのかと、やはり疑念を抱かざるを得ないと思います。
 さらに、先ほどから出ております農地転用のところでございますけれども、農地法五条の許可申請と賃借権設定というのは、平成三十年、二〇一八年八月に、譲受人が共生バンク、これは譲渡し人と読むのでしょうか、成田国際空港株式会社の夏目前社長の名前で千葉県に提出を実はもうされております。この書類は、建築まで含めた計画になっているわけです。
 先ほど、賃貸借契約は造成工事だけだというお話がありましたけれども、千葉県に出されている書類は、建築計画も含めて成田国際空港株式会社として同意をされているわけなんです。ですので、ちょっと私、社長の答弁はつじつまが合っていないなというふうに感じるわけです。
 そして、さらに申し上げますと、これは誰が聞いても、自分たちは造成工事の土地だけ貸したんだ、建築工事については知らないという、その会社の判断が、普通あり得ないだろうということを思うわけです。建築されて初めて事業というのは成り立つわけですから、自分たちはそこの実現可能性は全く見ないまま経営会議で判断したというのであれば、これは会社としての背任行為にでも当たるのではないかということは指摘をしておきたいというふうに思います。
 では、現在、新聞報道にもあるとおり、四年八か月の遅れが出ております。成田国際空港株式会社としては、一度、契約の延長もされているという状況でありますけれども、では、現在の工事の進捗状況について、先日の質問では、事業者に質問を投げかけているところだということで聞いておりますが、現在の進捗状況を把握されたでしょうか。

031 田村明比古
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○田村参考人 お答えいたします。  造成工事の進捗につきましては、賃借人より、土工事については約八〇%完了し、雨水排水工事等の残りの工事については未了又は未着手の状態であるとの回答を受けております。

032 尾辻かな子
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○尾辻委員 済みません、土工事というのは土木工事ということでよろしいでしょうか。確認でございます。

033 田村明比古
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○田村参考人 斜面を切り崩して平らにしていく、そういう土の工事ということでございます。

034 尾辻かな子
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○尾辻委員 じゃ、この土木工事については約八〇%完了しましたということですが、これは建築工事を含めて、全体の工事の経過からいくと何%に当たることになりますか。

035 田村明比古
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○田村参考人 ちょっと、何%かというのは分かりかねます。全体の中では、ごく一部であろうかというふうに考えております。

036 尾辻かな子
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○尾辻委員 ちなみに、昨年からどれだけ、この工事の進捗、工事が進んだかというのはお分かりになりますか。

037 田村明比古
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○田村参考人 申し訳ございませんが、ちょっと数字では把握をいたしておりません。

038 尾辻かな子
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○尾辻委員 成田市に事業者が出している、成田市かな、千葉県かもしれない、千葉県の方かな、に事業者が出している進捗状況、私、手元にございますが、昨年、二〇二四年一月三十一日時点での土木工事の進捗度は六九%、これは全体工事計画に対する進捗度で言うと二%であります。
 そして、先ほど田村社長から、今の進捗状況はということで聞いたところ、八〇%ということですから、一年ちょっと過ぎても一〇%しか進んでいないわけです。そして、私もちょっと自分で手計算してみました。じゃ、全体工事計画に対する進捗度はというと、これは六九%から八〇%になったという数字をそのまま当てはめたら、約二・三%ということになります。
 このペースでいくと、土木工事が終わるのにあと二年、それでも、全体の工事計画に対する進捗度は、これは私も手計算ですると三%弱にしかならない。田村社長が先ほど言ったごく僅かというのはそのとおりでありまして、これで適正な進捗管理がなされていると言えるのか、これも疑問を感じるところであります。
 じゃ、どうして工事がこれだけ遅れているのかということについて、理由を私も前回問うたところ、これも質問しているということでしたので、その理由は把握できたでしょうか。

039 田村明比古
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○田村参考人 お答えいたします。
 賃借人より、新型コロナウイルス感染症、ロシアのウクライナ軍事侵攻に起因するエネルギー資源、食料、建設資材の価格高騰など、インフレ圧力の高まりや急激な為替変動等の経済情勢への対応で、計画の見直しを実施したこと等によるものとの回答を受けております。

040 尾辻かな子
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○尾辻委員 そのお答えで、土木工事が一〇%しか一年以上たって進んでいない、全体進捗状況が二%、二・三%ぐらいですね、という理由に本当になっているんでしょうか。
 いわゆる会社として、それも成田空港株式会社というのは一〇〇%株を国が持っている、そういう会社でございまして、いや、にわかにそれで、ああ、分かりました、そうですね、新型コロナウイルスやロシアのウクライナ軍事侵攻があった、それで円安だ、だから駄目なんだと。いや、ちょっと私は正直、意味が分からないなというところでございます。
 ちなみに、本当にこの土木工事は終わるんでしょうか。

041 田村明比古
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○田村参考人 現在、精査をしているところでございます。

042 尾辻かな子
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○尾辻委員 ということで、三月三十一日で賃貸借契約の再延長の話が出てくるわけです。もうあと十日ばかりとなっておりますが、これは誰がどのように決められるんでしょうか。

043 田村明比古
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○田村参考人 当社におきまして、賃借人が取得している必要な法令許可が現時点で継続されるかどうか、それから、造成工事の継続能力等があるか等を勘案した上で、経営会議で判断をすることとなります。

044 尾辻かな子
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○尾辻委員 その決定というのは、三月三十一日まであと僅かですけれども、いつの時点でされることになるんでしょうか。

045 田村明比古
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○田村参考人 御質問のとおり、当該契約の期限が三月三十一日でございますので、それまでに判断することと考えております。

046 尾辻かな子
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○尾辻委員 こちらの事業は、報道等によると、約六万人の方々が投資をされて、成田のこの事業で一千五百億円、ほかの事業も合わせると約二千億円の出資金が集まっているということです。
 豊田商事事件が二千億ということを勘案すれば、同規模の出資を集めている事案だということであり、今日の質疑で、その事業のきっかけというのは、成田国際空港株式会社が事業者と、いわば二人三脚のような形でつくっているのではないかということが、私は明らかになったかと思います。
 そして、不動産特定共同事業法は国交省が監督庁である、そして、先ほどからも何度も申し上げております成田国際空港株式会社の株主、ほぼ国交大臣が持っておられるわけですから、ここの責任は非常に強いんだということを、改めて指摘をしておきたいと思います。
 あと、事業のことについて一般的な質問をしていきたいと思います。  ある不特法事業の出資者の皆さんからの声として寄せられているのが、解約を申し込んでから解約申込書が届くまでに数か月以上かかっているということで、結局、半年ぐらい前に解約申込みをしても申込書が届かない、だから解約できないというような状況があると。先日の質疑では、国民生活センターから六十一件、これは年はかなりまたいでおりますけれども、そういった相談、報告があったということも報告されています。
 不特法を所管する国交省として、このような事態をどのように受け止めているのか、お聞かせください。

047 平田研
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○平田政府参考人 お答えいたします。
 不動産特定共同事業法におきましては、事業者は投資家に対して、契約前書面において契約の解除に関する事項などを説明することとされておりまして、実際に解約に至る際には、事業者はこの内容に沿って、誠実に契約解除の手続を進めることが必要となっております。
 仮に事業者の対応に問題がある場合につきましては、監督官庁により必要な指導監督が行われることとなります。その際、国としても、監督官庁が都道府県である場合には、必要な助言等を行うことになるものと承知をしております。

048 尾辻かな子
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○尾辻委員 今ありましたとおり、不動産特定共同事業法というのは、国も管理監督していますけれども、都道府県も管理監督しているわけなんですね。  私も、大阪府の不動産特定共同事業法を担当している担当者にちょっと聞き取りをしてまいりました。そうすると、例えば不動産商品があるのは先ほどの成田であったり福岡であったり、でも、大阪府の職員がそういったところに出張することは、ちょっとやはり困難だというようなお答えが来ております。  そして、大阪府で許可されている事業者の商品は、北海道もあれば韓国の不動産もあるんですね。神奈川県で許可される事業者の商品は、アメリカとかモンゴルとかに、海外に存在しているものも不特法の商品になっているわけです。  これは、自治事務として都道府県ができる業務の範囲を超えているんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。

049 平田研
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○平田政府参考人 お答えいたします。  不動産特定共同事業では、契約の締結の際に、事業者から投資家に対して、対象となる不動産について重要事項説明等を行うことを求めるなど、不動産の仲介等に近い業務を行わせることから、その許可に当たりましては、宅地建物取引業法と同様に、複数の都道府県に事務所を設置する事業者は国の、一の都道府県内のみ事務所を設置する事業者については都道府県知事の許可に係らしめているところです。
 一の都道府県内のみ事務所を設置し、都道府県知事の許可を受けた事業者につきましては、監督についても当該都道府県において行うこととしておりますが、実際の監督に際しましては、例えば、不適切な広告が行われていないか、投資家に対してどのような説明を行っているかなどについて、不動産特定共同事業者から書面で報告書の提出を求めたり、事業者の事務所において聴取を行うことなどが一般的であるため、事務所が所在する都道府県において監督を行うことは合理性があるものと考えております。
 なお、国土交通省といたしましても、都道府県における適切な制度の運用が確保されるよう、金融庁とともに、監督に当たっての留意事項を定めて都道府県に通知しているほか、都道府県に対し、金融庁とともに個別に助言なども行っているところであり、引き続き、制度が適切に運用されるよう努めてまいります。

050 尾辻かな子
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○尾辻委員 いや、先ほどお答えにあったように、宅建をやっている方々が、金融商品のような不動産事業をやっているわけですよ。でも、現場からは、もうちょっとこれは無理だという声が聞こえてきていますので、これはやはりきちっと見直しをするべきだと思います。
 そして、その中で、やはり自治体の職員から聞くのは、この不特法というのは、第一号事業と特例事業に分かれている。第一号事業の中に一号事業者、二号事業者があるわけですけれども、ここについては、もう正直、特例事業ぐらいは都道府県で見るけれども、第一号事業については正直国が見てほしい、そういう声が聞こえてきております。これはちょっと、やはり仕組みをもう一度検討いただく必要があると思いますが、いかがですか。

051 平田研
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○平田政府参考人 お答えいたします。
 繰り返しになってしまいますけれども、不動産特定共同事業につきましては、先ほど申し上げたような事業の性格などございまして、監督につきましても、許可を与えた都道府県又は大臣において行うこととしております。監督の際には、都道府県特定共同事業者に対して、書面で報告を求めることや、事務所で聴取を行うことが一般的であるため、制度として合理性があるものと認識しております。
 なお、都道府県に対しましては、金融庁とともに、監督上の指針の通知等を行っていることに加え、法令の運用に当たって疑問があるような場合には、国に対して相談してもらえるように、日頃から都道府県との連携強化に努めることとしておりまして、金融庁とともに、都道府県が行う事務をしっかり支援してまいりたいと考えております。

052 尾辻かな子
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○尾辻委員 ちょっと、同じですので。
 それでは、これは問題が多々あるなと思います。その中でも私がやはり一番気になっているのは、不特法では、分別管理ということで、ポンジ・スキームにならないようにということを規制されているということです。ただ、例えば、日弁連さんが二〇二一年に求めている、ポンジ・スキーム事案についての被害回復を求める意見書の中には、不動産特定共同事業法ということも実は出てくるんですね。
 それで、大臣に改めてお伺いいたしますけれども、いわゆるポンジ・スキームというのは自転車操業です。つまり、出資を集めて、その出資を配当に渡していくというのを永遠に続けるけれども、どこかでそれは破綻し、破綻したときに多くの方が出資金を失う、そして取り戻せない、そういう大きな被害になるわけですが、現在の不特法が本当にポンジ・スキームを規制できているとお考えになっておられますか。

053 中野洋昌
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○中野国務大臣 尾辻委員にお答え申し上げます。
 委員御指摘の不動産特定共同事業につきまして、これは、特定の不動産ごとに投資を募り、運用を行うものであるということでありますので、商品ごとに収支を区別をする、商品間の資金流用を防ぐという目的から、契約に係る財産については、自己の財産や他の契約に係る財産と分別して管理しなければならない、これは分別管理を求めているということであります。
 こうした規制に加えまして、不動産特定共同事業におきましては、投資をしようとしている商品がどのような商品であるかについては事業者から投資家に説明をさせるという義務がございまして、この義務を通じまして投資家の保護を図るということが基本になるかと認識をしております。
 不動産特定共同事業法において、契約を締結する際に、例えば、対象不動産の価格やその算定方法、利害関係取引の有無あるいはその内容、損失の発生要因などについて、投資家に説明をするということを事業者に義務づけるということでありまして、違反があった場合には監督処分の対象とする、こういうスキームでございますので、不動産特定共同事業の商品というのは、あくまで投資商品でありますので、自己責任が原則ということになろうかと思います。  投資家においては、こうした事業者から開示をされる情報を十分に確認をしていただいた上で、例えば商品に不明な点がある場合には投資を見合わせるなど、慎重に判断をしていただくことが非常に重要なのではないかというふうに考えております。

054 尾辻かな子
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○尾辻委員 ちょっと驚きました。事業を許可しているのは国交省じゃないですか。金商法と比べても、不特法はやはり緩いんですよ。インターネットに公表されている情報も余りありませんし、そして善管注意義務などもございません。
 これは日弁連がずっと言ってきたことでもあります。ですので、自己責任だというのなら、国交省はもっと、これは自己責任だということを大きく言っていただきたいと思うんですよ。だって、日弁連だって、不特法の見直しのときに、不動産特定共同事業契約は一般の投資者にとって投資案件としての難易度は相当程度高いと言っている。でも、これをクラウドファンディング化するのをオーケーにしたのは一体どこの誰なんですか。そうやって一般投資家が投資をやりやすいようにしておきながら、いや、そんな、自己責任ですというのは、ちょっと、今非常に驚いた状況であります。
 今、複数の事業者で、償還延期といいまして、満期が来ても元本が返ってこない、こういった事業が散見されるんです。大臣、不特法を、やはり、せめて金商法並みに規制をかけるということを、これはもう今検討していただく必要があると思いますが、いかがですか。

055 中野洋昌
発言URLを表示
○中野国務大臣 不動産特定共同事業法につきましては、個別の不動産を対象とする金融商品であるということでございまして、この二つの性格に対応した規制を設けているところであります。
 まず、個別の不動産を対象とするという面からは、宅地建物取引業法と同様に、その価格や用途など、対象不動産の詳細についての説明義務などを設けております。
 金融商品という面からは、金融商品取引法などと同様に、投資家に対し、契約に際しての運用上のリスク、リターンに関する情報、また、運用情報の情報提供などを義務づける仕組みを設けておりまして、これらによって投資家保護を図っているところでございます。
 不動産特定共同事業の商品は、投資商品である以上は、御指摘の償還延期のような場合も含めて、一定のリスクが生じることはあり得るということでございまして、これは金融商品取引法の規制下にある商品とは変わりはないものというふうに承知はしております。
 国土交通省としては、他の金融商品と同様に、投資家が、事業者から開示される情報を十分に確認の上、投資判断を行える環境を確保することは重要であるというふうに考えております。契約前における対象不動産に関する説明義務や不適切な勧誘行為の禁止など、金融庁とともに、法の適切な運用を通じまして、投資家の保護をしっかり図ってまいりたいというふうに思っております。

056 尾辻かな子
発言URLを表示
○尾辻委員 時間が来たので、終わりたいと思います。他の質問を通告していたのに、申し訳ありません、これはまたやっていきたいと思います。
 ありがとうございました。

057 井上貴博
発言URLを表示
○井上委員長 次に、山田勝彦君。

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