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2793) 読まれたし 『日経不動産マーケット情報』2024年11月号トピックスの記事


 日本経済新聞グループの日経BPが発行している『日経不動産マーケット情報』2024年11月号が、2024年10月20日に発売された。

 『日経不動産マーケット情報』は、毎月事務所ビルやホテル等の商業系ビルの新しい売買事例15件程度が具体的に掲載される。

 日本全国のビルの売買事例一覧が詳細に掲載されている。

 2024年10月号では、新大阪プライムタワー、丸源53ビル、ヒューリック青山第二ビル等の売買事例の詳細が報告されている。

 ビル売買事例の他に「オフイス市況トレンド」によるオフイス市場の分析報告がなされる記事もある。

 そして、月ごとの話題になった事案について調査した「トピックス」というコラム記事もある。

 読みたくなる魅力ある内容の不動産マーケット情報の月刊誌であるが、悲しいかな年間249,000円を支払う購読者契約をした有料会員でないと記事を読む事が出来ない。

 ネットで同誌を訪問して見出しと内容一部を読む事が出来るが、その先は「鍵」が掛けられており、「年間購読者の方だけがご覧いただけます」になり、内容を読む事が出来ない。

 しかし、時々「鍵」がハズされ、無料で読む記事がある。

 それは、恐らく多くの人々に読んでもらって、情報を知らしめるという発行者側の意図がある為であろうと推測される。

 『日経不動産マーケット情報』の編集長の岡泰子氏が、同誌11月号の内容紹介の記事の中で、次のごとく述べていた。

 「不動産投資商品「みんなで大家さん」をめぐるトラブルも、3号連続で掲載。11月号では、本誌の独自調査で入手した成田プロジェクトの鑑定評価書の中身を詳報しています。運営元の依頼で作成された鑑定評価書の評価額は、最大で相場の100倍を超え、不動産鑑定業の信頼に関わるとの声も上がっています。やや専門的な内容ですが、記事は近日中に、本誌ウェブサイトでの無料一般公開も予定しています。」

 『日経不動産マーケット情報』2024年11月号トピックス記事を、「近日中に」無料公開を予定していると編集長が述べている。

 2週間位後に無料公開されるであろうと思い、待つ事にした。

 私の予想は見事に外れ、11月号トピックス記事が無料公開になったのは、10月20日に発売された『日経不動産マーケット情報』の翌日の21日である。

 まさか翌日に無料公開されるとは私は思ってもいなかった。

 11月号トピックス記事のタイトルは、『みんなで大家さん続報2 成田「5000億円」鑑定 専門家も驚愕の中身』(小野悠史フリーランサー、本間純)である。

 記事の題名から、不動産鑑定評価が絡んだ記事と推測される。

 成田空港周辺で開発する不動産投資商品の土地価格の鑑定評価額に関する記事である。

 記者が、不動産鑑定士7人に取材し、不動産投資商品の土地価格が適正か否か判断の裏づけを得て、書かれた記事である。

 取材された7人の不動産鑑定士の内の1人が私であり、私のコメントも記事文中に出て来る。

 「何だ、田原の宣伝か。」と云うごとくに思わず、読んで欲しい。

 記事を読む前と読んだあとでは、不動産鑑定評価に対する自分の取り組み方が異なることになると私は推測する。

 不動産鑑定業界を揺るがすに充分な内容である。情報に疎い不動産鑑定士と云われない為にも一読する価値ある記事である。

 ある不動産鑑定士は、「こんな評価書を書く勇気はありません」といい、ある不動産鑑定士は、「ひどいものですね。」と述べ、幾人かの不動産鑑定士は次のごとく述べる。

 「同業者として非常に残念です。」

 「このようなモラルの欠落した人間がまだいることに驚きを隠せません。」

 「粛清だ!」

 「常識的に170万円/uはあり得ません。」

 「鑑定業界は自浄作用が働かない業界だ」

 「とんでもない鑑定評価 全く知らない内容でした」

 「連合会自体が主体的な判断能力ないですし、大手鑑定事務所も大阪IRでやらかしてますからね。」

 「高い報酬と引き換えに何でも書く鑑定士が一部にいるのですね。 造成地がらみは昔から不当鑑定がおおいです。」

 「土地18万u余は定期借地権である。定期借地権には借地権価格は発生しない。鑑定は借地権価格1600億円を更地価格に加算するが、借地権価格はゼロ円である。甚だしく失当である。」

 「悪名は無名に勝ると言います。晴海フラッグ、大阪IR、成田プロジェクト等で不動産鑑定士の悪名は十分に拡散できたと思います。これ以上は、お腹がいっぱいです。これからは、不動産鑑定士は、信用・信頼できる職業だと広めませんか?」

 「あきれて諭評に値しない。

  発注者側の自己取引を取引事例として使うことに何らの疑問もない鑑定士が存在するということだ。

  大阪IRでは、大手鑑定業者が土地価格、利回り、地代が全て一致する鑑定書が出され、大阪不動産鑑定士協会も何ら問題にしていない。

  オリンピック選手村跡地開発では、開発法のみによって処分価格を決定する調査報告書が堂々と提出され、国土交通省担当部局もダンマリを決め込んでいる。

  もう一度、制度発足の原点に立ち返って、試験制度、地価公示制度、実務修習制度など、見直す必要があるのではないか。」



 下記にトピックス記事のアドレスを記す。

  https://nfm.nikkeibp.co.jp/atcl/news/21/00001/05703/

 アドレスより当該記事を見る為の方法として2つの方法があります。

 1つは、メールを使う方法で、アドレスをドラッグコピーして、メール伝達文記入欄にアドレスをコピー貼り付けして、自分宛にメールを送信して、自分宛に来たメールの青字等カラー文字のアドレスをクリックすれば、繋がります。

 2つは、検索エンジンを使う方法で、アドレスをドラッグコピーして、検索エンジンのグーグルの検索窓に貼り付けてクリックすれば、「【トラブル】みんなで大家さん、成田「5000億円」鑑定 専門家も ...」と、ホームページの記事見出しが出ます。その見出しをクリックすれば、記事の1ページ面が出ます。


 21日に記事が無料公開されると、瞬く間に記事の内容は広がった。

 旧ツイッターの情報の広まりは早く、次のごとくの批判・辛辣なコメントがつぶやかれている。幾つかを記す。


1.ヒルトン成田の裏で5000億は流石に笑う 不動産鑑定士の先生に聞くまでもないレベル。
@yu****

2.土を金に変えるスーパー鑑定士先生の鑑定フィーはお幾らなんだろう。エル・シー・エーホールディングスの水増し現物出資の時の先生なんですね。
@em****

3.みんなで大家さんのグループ内の取引価格を事例として採用して、土地価格を算出って、すごいマッチポンプ。 不動産鑑定士って国家資格だったと思うけど。
@PL****

4.算定根拠の事例A〜Cは売り主、買い主ともに共生バンクグループの企業。鑑定の依頼者が手がけた取引を事例として採用。循環鑑定
@1o****

5.不動産鑑定士が信用おけないからREITはゴミ箱とか言われるんだよ。
@fx****

6.ポンジ・スキームの破綻という事で言えば、エクシアの次は「みんなで大家さん」の可能性が大いにある。有料会員でないと記事を全文読めない日経不動産マーケット情報が、無料で記事を開放している意味を考えるべき
@WB****

7.サイト見たら本当にみんなで大家さんの記事だけ鍵マークなしで公開されている。メディアとしての良心を感じる。
@da****

8.想像以上にめちゃくちゃやってるな。。。 本来の土地相場が1平米 あたり1万円〜3万円程度の土地を、170万円の価値があると言い張る根拠のカラクリ。
@na****

9.業者側の出す鑑定評価を信じてはいけない。
@ri****

10.日経不動産マーケットのみんなで大家さんの記事見たが、いやはや純度100%全身全霊の不当鑑定だな 鑑定資格&業者免許の永久剥奪でおk
@ch****

11.業界の悪慣習が!!!とかいう話で吹き上がってるのを「官公庁から手ェいれるっきゃないんじゃないっすか?」とか適当言ってたら成田の1万の土地を170万で鑑定した不動産鑑定士の話が流れてきて盛り上がってまいりました。本当の企業倫理のなさを見せつけるなら不動産
@tak****

12. 株のオールドボリシェヴィキとしては不動産鑑定評価を水増ししたスキームとしては、ネステージに二束三文のかんぽの宿をバカ高値で評価して現物出資し、株を大量に発行させて市場で鬼売りかました例のアレを思い出すのだが、成田プロジェクトはそれを更にスケールアップした感じっぽいね。
@cor****

13. CMで見かけた時 こんな何を売ってるか伝わらないCM出してるの絶対怪しいやんと思ったけれどやっぱりポンジスキームだったか
@och****

14. DCFの評価はその前提などの基礎数値がでたらめならいくらでも算定できるという参考事例です。
@cri****

15.みんなで大家さん、成田の土地「5000億円」をプロが鑑定 「怒」「驚愕」「呆」の中身
@si****

16. みんなで大家さん、いつの間にかテレビCMしなくなりましたね。
@od****

17. 鑑定の取引事例に採用された3つの対象不動産は、全て売主・買主ともに「みんなで大家さん」を展開する共生バンク(株)のグループ会社で取引された土地とのこと。しかも“元値”の50倍や100倍以上に跳ね上がったとか。
@hig****

18. 自分が買った価格の事例を周囲の原っぱ全ての鑑定価格に適用 これが錬金術か〜
@vx****

19. こんな案件に投資する奴いるんかいな
@te****

20. かぼちゃの馬車以来の大型案件?目が離せないな
@ta***

21. あえて 業界の闇・・・ 鑑定評価は魔法じゃないんですよね
@Fu****

22. インカムゲインで高配当は無理
@CH****

23. 成田空港近くの山林、造成したら1坪575万円になるらしいwww
@ie****

24. 良記事。ずーっと騒がれてたもんねぇ…みんなで大家さん。
@de****

25. エクシアとか、何であり得ない高利回りに皆は飛びつくのか
@ki****

26. そんな案件に外資も乗っかってるのが訳わからんな。「大阪府と東京都も…周辺の…ヒルトン成田敷地…価格である1万6400円と比べ、100倍以上の差がある」
@Ma****

27. ロマンス詐欺、闇バイト、不動産詐欺、投資詐欺といい思考能力停止してんのかな?・・・
@kir****

28. 【週末読み物】みんなで大家さんの記事から考える不動産鑑定評価の正当性
@sl****

29. こんなキモい比準表はじめてみました。ていうかu単価171万って東京都心の水準なわけで、不正するならもっと真面目にやれよという(してはいけない)
@cha****

30. 未竣工大杉(多すぎ)⇒収益上がっていないはず⇒なのに配当出てて ああ、察し...の、みんなで大家さん
@Ba****

31. かんぽの宿の現物出資(NESTAGE)でお縄を頂戴した由緒ある不動産鑑定士のセンセが成田の土にした鑑定が信じられないっておっしゃってるんですか!!
@em****

32. >成田プロジェクト計画地の本来の土地相場は1m2 あたり1万円から、高くても3万円程度 >共生バンクのSPCが地権者個人から取得し、「みんなで大家さん販売」へと転売 >組み入れ価格(簿価)は鑑定書記載の通り170万8268円/m2で、少なくとも元値の50倍以上 要は2万くらいの土地を170万で買ったと
@dg****

33. 【衝撃】「みんなで大家さん」成田プロジェクト、驚愕の5000億円鑑定評価書に迫りました 本文より…
@ke****

34. 2024年9月号で本誌が報じた、「みんなで大家さん」成田プロジェクトに関する鑑定評価書の存在。その後の分析で明らかになったのは、専門家も理解に苦しむ土地価格の算定だ。評価額は最大で相場の100倍を超え、不動産鑑定業の信頼に関わるとの声も出ている。
@4t****

35. みんなで大家さんの成田プロジェクトを買収するロイズ・キャピタルのイベントにほんまにポンペオ来てて草
@Lof****

36.「エクシア850億円全損!情弱乙www」 「……2000億円だ」 「ファッ!?」 「みんなで大家さん成田プロジェクトが投資家から集めた資金は2000億円だ」
@su****

37. みんなで大家さんの Web 広告出てきたけど、大丈夫か?
@se****

38.【お金のニュース】約850億円集めたエクシアが破産!ポンジスキームの危険性を詳しく解説
@ni****



 旧ツイッターのコメントで「ポンジ・スキーム」という言葉が使われているが、これは「ポンジ・システム」とも云われるもので、フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』によれば、次のごとくのことをいう。

 「ポンジ・スキーム(英: Ponzi scheme)は、投資詐欺の一種。「出資してもらった資金を運用し、その利益を出資者に(配当金などとして)還元する」などと嘘を語り、実際には資金運用を行わず、後から参加する出資者から新たに集めたお金(の大半)を、以前からの出資者に向けて“配当金”などと偽って渡すことで、あたかも資金運用での利益を出資者に配当しているかのように装い、破綻することを前提に騙し取る手法。」

 英国のポンジという名前の人がやり出した詐欺の手法で、その人の名前から、ポンジ・スキーム、ポンジ・システムと呼ばれている。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9D%E3%83%B3%E3%82%B8%E3%83%BB%E3%82%B9%E3%82%AD %E3%83%BC%E3%83%A0


 上記で掲載した旧ツイッターでつぶやかれているいずれのコメントも考えさせられる良い内容のものであるが、その中で、「【週末読み物】みんなで大家さんの記事から考える不動産鑑定評価の正当性」のコメントは素晴らしいコメントである。

 『日経不動産マーケット情報』2024年11月号トピックスの記事である『みんなで大家さん続報2 成田「5000億円」鑑定 専門家も驚愕の中身』をじっくりと読んでいただきたい。

 その記事中に掲載されている不動産鑑定書の土地価格を求めている算式を解き明かし、適正な土地価格の求め方であるか、何処がおかしいか、何処が不適正か、充分検討し、分析されたい。

 そして同誌掲載の鑑定書の鑑定評価に正当性があるかどうか判断されたい。

 週末読み物氏は、旧ツイッターのつぶやきの後に、下記アドレスで、読後のコラム記事を記されている。

 その記事の中で、不動産投資型CFへの信頼を高めるための要求を提案されている。

 不動産投資型CFの投資家にとって、今回のみんなで大家さんの成田プロジェクトは、不動産鑑定評価への不信感を大変高くした。

 俺には関係無いと思っている情報薄弱者の不動産鑑定士そして業界団体である日本不動産鑑定士協会連合会は、対処を早急にしなければ、不動産鑑定士は信用されなくなるであろう。

https://slwatch.net/column/minnna-de-ooyasann-20241026/



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