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427)神戸市内の2007年ホテル客室稼働率は75.2%

 日本銀行神戸支店が、同支店独自の調査として『神戸市内のホテルの客室稼働率の動向について』という調査報告書を2008年2月に発表した。(日本銀行神戸支店HP 2008年2月5日)

 その調査報告書によれば、2007年の神戸市内大手6ホテルの平均客室稼働率は75.2%である。この稼働率は2003年以降で最高の稼働率という。

 過去の稼働率は、下記の通りである。

          2003年    66.5%
          2004年    67.8%
          2005年    68.4%
          2006年    73.5%
          2007年    75.2%

 神戸市内のホテルの高稼働率の現象の要因として、日銀神戸支店の調査報告書は、次の2点を挙げる。

 要因の1つは神戸空港が2006年2月に開港し、これによる神戸への利便性が増えた。それに伴い、ホテルではコンベンション利用と宿泊者が増えた。

 要因の二つ目は、2007年前半を中心にした為替の円安と、経済成長が続く韓国・台湾・中国からの観光客が増加した。

 前記要因1を裏付けるデータとして、国際観光振興機構が発表する『神戸での国際コンベンション開催件数』をグラフで示す。
 その件数は下記の通りである。

          2003年     168件
          2004年     172件(4件増)
          2005年     177件(5件増)
          2006年     183件(6件増)

 コンベンション開催件数は、確実に伸びている。

 要因2を裏付けるデータとして、神戸市が発表する『神戸への外国人入込客数』をグラフで示す。

 それによると、韓国・台湾・中国の順で入国者が多く、この3ヶ国で過半を占める。
 全体の外国人数の数は発表されているが、同上の3ヶ国からの客数の数値は明示されていない。
 やむを得ず、表示されている棒グラフより私が推定すると、下記の通りである。

    年    全外国人客数     推定3ヶ国客数     割合
 2003年    21.9万人     13.5万人    62%
 2004年    35.6万人     26.5万人    74%
 2005年    32.3万人     23.0万人    71%
 2006年    40.3万人     30.0万人    74%

 私が神戸に行った時に一度泊まった事のあるホテルとして、神戸の港の海に突き出た波止場に建っており、あたかもベースボールのホームランボールの軌跡の放物線のごとくのスカイラインを持つホテルがある。
 ホテルの名前は、神戸メリケンパークオリエンタルホテルである。

 対岸のハーバーランドのモザイクから見ると、忘れられないスカイラインをしたホテルである。建築家は誰であろうか。
 一度は泊まってみたいと思わせるホテルである。

 経営母体が変わるという噂を聞き、ひょつとすると解体されて、味気ない、のっぺりしたありきたりの高層のカーテンウオールの事務所ビルになるのかなと思ったが、新しい経営母体に引き続がれても、そのままホテルとして存続すると聞いてホッとした。ホテルとして残したい建物である。

 新しい経営母体は、ジャパン・ホテル・アンド・リゾート投資法人と云う会社である。
 不動産投資信託の会社であり、その有価証券報告書を見ると、神戸メリケンパークオリエンタルホテルの平成18年9月〜平成19年8月までの1年間の客室稼働率は78.4%である。
 前記の日銀神戸支店の調査報告書の客室稼働率をほぼ裏付ける数値である。

 神戸メリケンパークオリエンタルホテルの各月の客室稼働率も発表されているので、その数値も記す。神戸のホテルの季節の利用者の傾向が分かるのでは無かろうかと思う。
        平成18年09月    94.3%
        平成18年10月    88.6%
        平成18年11月    86.6%
        平成18年12月    81.7%
        平成19年01月    62.0%
        平成19年02月    63.3%
        平成19年03月    83.9%
        平成19年04月    73.7%
        平成19年05月    75.3%
        平成19年06月    67.4%
        平成19年07月    69.1%
        平成19年08月    93.1%

 神戸メリケンパークオリエンタルホテルは、ジャパン・ホテル・アンド・リゾート投資法人の所有である。その投資法人はJリートに上場している。
 それ故、投資家の為にデータが開示されている。
 それによれば、1995年建築で客室329室のホテルで、取得金額は114億円である。
 平成19年8月期の売上高は66.19億円である。
 1年間の賃料は12.39億円である。

 売上高に対する賃料の割合は、
       12.39億円÷66.19億円≒0.187
18.7%である。

 ホテルの賃料が売上高の20%を越したら、ホテル経営は難しくなってくることから、20%以下の割合であり、立地を考えれば20%に近くなるのもいか仕方無く、それらを考えれば妥当な賃料水準では無かろうかと思われる。

 取得金額と売上高は、本来ならば、売上高相当がホテルの売買金額が理想であるが、これも立地を考えれば、
       114億円÷66.19億円≒1.72
売上高の1.72倍の価格は止むを得ない価格であろう。

 取得金額に対する売上高は、
       66.19億円÷114億円=0.581
である。固定資産回転率は0.581と云うところか。


 ホテルの稼働率については、下記の鑑定コラムがあります。
  鑑定コラム 266)「ホテルの稼働率77.4%」
  鑑定コラム 428)「東京の2007年ホテルの客室稼働率75.3%」
 

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