○鑑定コラム
フレーム表示されていない場合はこちらへ
トップページ
田原都市鑑定の最新の鑑定コラムへはトップページへ
前のページへ
次のページへ
鑑定コラム全目次へ
19ミリ異形棒鋼のトン当たり価格が、7万円を切って6万円台になった。
日本経済新聞の商品市況相場表の2009年(平成21年)4月4日土曜日は、前日の4月3日の19ミリ異形棒鋼東京高値価格を、トン当たり69,000円と報じる。
前日まではトン当たり71,000円であった。
9万円、8万円、7万円と価格が下がって、ついに21年4月初めにトン7万円を切って、6万円台になった。
大阪の相場は、トン63,000円であるから、東京相場はしばらく6万円台の価格で取引されそうだ。
トン5万円台になるのか。なるとすればそれはいつか。鋼材の底値はいくらなのか。
私にはそれらは全くわからない。
それらがドンピシャリわかれば、誰でも大もうけすることが出来るのだが。
鋼材の値下がりの原因を、鋼材スクラップ価格の価格暴落も一つの原因であるが、それ以外の原因として、建築工事および公共工事の減少による鋼材需要の絶対的減退によるものと市場関係者はいう。
鋼材需要が減っている減っていると観念的に言葉だけで言っていても、説得力はまるでない。
では具体的に19ミリ異形棒鋼を多く使う建築工事はどれほど減少しているのか。
国土交通省が発表している建設統計月報より、鉄筋コンクリート造建物の延べ床面積の推移を見てみる。下記の数値である。
平成13年 37,445,000平方メートル
平成14年 37,228,000
平成15年 37,573,000
平成16年 39,425,000
平成17年 46,640,000
平成18年 47,349,000
平成19年 33,187,000
平成20年 35,568,000
平成19年、20年は横ばい状態であるが、ピークの平成18年からの延べ床面積の落ち込みは甚だしい。
平成19年は前年の平成18年より、RC造建築建物の床面積は、
47,349,000−35.187,000≒12,200,000平方メートル
減少している。
この減少面積は、平成13年〜15年の建築面積のおよそ1/3である。
それはまた埼玉、千葉、東京、神奈川の首都圏4都県一年間に着工するRC造建物の建築面積におおむね相当する。
埼玉、千葉、東京、神奈川の首都圏4都県が一年間に着工するRC造建物の建築面積におおむね相当するものがなくなると言うことを知れば、いかに需要の減退が激しいものかわかろう。
それだけの建築面積が減るのであるから、当然それに伴う生コンクリート、鉄筋の使用量が減ることになる。
鋼材の減少を、RC造の共同住宅建物で置き換えて考えてみる。
RC造の共同住宅建物の場合、延べ床面積当たりのコンクリート使用量を、1平方メートル当たり0.65立方メートルとする。
1220万平方メートルの建築面積の減少は、コンクリート量換算で、
0.65×12,200,000=7,930,000
7,930,000立方メートルの使用量の減少となる。
コンクリート1立方メートル当たりの鉄筋使用量を0.107トンとすると、
0.107×7,930,000=848,541≒850,000トン
85万トンの減少である。
これだけの鋼材需要が減少したのである。
鋼材価格の大幅下落が生じるのは当然ではなかろうか。
新日鐵の年間粗鋼生産高は3600万トンである。
この鋼材の需要の減退および価格下落は、鉄鋼メーカーの売上高に無縁ではない。
いずれ鉄鋼メーカーの業績の低迷が、発表されるのではなかろうか。
鑑定コラム605)「驚愕 新日本製鉄の激しい売上高減」
▲
フレーム表示されていない場合はこちらへ
トップページ
田原都市鑑定の最新の鑑定コラムへはトップページへ
前のページへ
次のページへ
鑑定コラム全目次へ