2007年8月当初売出し価格1億1900万円のマンションを、2009年4月2日より6,980万円で値下げして売り出すという大広告が、2009年4月3日の日本経済新聞に掲載された。
その広告は新聞の下段半分を占めるA3サイズの大広告である。
売主のマンション業者は、大手不動産会社である。
当初の売主と現在の売主とは違っているかもしれないが、それはともかくとして、1.2億円のマンションを7000万円にして売ると言うことである。
5000万円の価格値引きである。
凄まじい価格値引きである。
価格値引率は、
6,980万円÷11,900万円=0.586
0.586−1=▲0.413
41%の値引率である。
41%もの価格ダウンしたら、マンションディベロッパーの利益は全く無い。諸経費も出なく、完全に大赤字となる。
当初の売主と変わったということがあるかもしれないが、しかし、よくぞ2年にも及ぼうとする20ヶ月も価格下落変更の方策をとらずに、頑張ったものと私は感心する。
私は、前から不動産価格は大幅に下がっていると、当鑑定コラムで述べ、また雑誌のインタビューを受けて発言している。
読者の中には、
「本当かいな。」
と半信半疑の方も多くいられる事であろう。
慎重に行動される人や、他人の言うことを一度疑ってかかって見るという態度は必要であるから、そう思われても当然である。
2年前だったか、2007年3月に2007年1月1日時点の地価公示価格が発表された。
その地価公示価格は、地価全面高で、マスコミは16年ぶりの地価上昇とはやし立てた。
2007年8月に『アエラ』に、私は、地価はピークをつけ下落しているという発言をした。
そうしたら、
「国交省が5ヶ月程前に発表した地価公示価格が、16年ぶりに地価全面高と発表しているのに、もう地価下落なのか。
あなたのその考えは、おかしいのでは無いのか。」
等という厳しい批判を受けた。
東京の地価は5年前から既に上昇していると、私が言っていることを全く知らない様である。
大手不動産会社が、A3サイズの新聞紙面を使って、5000万円の価格値引きの売却広告を出したことについて、まさかこの広告内容もまゆつばの情報でなかろうかと疑う人は居ないであろう。
不動産価格が2007年夏をピークにして、大幅に下落していることが、これで実感出来たのではなかろうか。
マンション価格下落率41%は、確かに大きい。
だが、広尾ガーデンヒルズでは、2007年9月を高値にして36%の値下がりをしていることを、私は「鑑定コラム501」で述べている。
この事を知っていれば、新聞広告で5000万円の値引きを知ると一瞬驚くが、冷静に考えれば、41%の価格下落は当然と受け取られる。
「やっぱしマンション価格は下がっているのか」と、改めて認識するためにも、日経に掲載された今回の大広告は良い広告データであると、私には思われる。
当該価格値下げ広告のマンションは、東京都世田谷区成城5丁目に所在し、小田急線「成城学園前」駅より徒歩10分の距離にある。
日経の新聞広告以外に、下記アドレスで当該物件の内容を知ることが出来ます。
http://www.g-seijo.jp/outline/index.html
鑑定コラム372)「「都心地価下落始まる」AERA 2007年9月3日号を」
鑑定コラム501)「中古マンション価格 ファンドバブル最高値から36%ダウン」
鑑定コラム658)「値引き2520万円という仰天すべき分譲マンション価格」