2009年8月30日の第45回衆議院議員総選挙で、民主党は圧倒的勝利を収めた。
その翌日である31日の日本の株式市場は、冷たい反応を示した。
株式市場は冷たい反応を示したが、同じ日、同じ政治情報にも係わらず、外国為替市場は、円高ドル安の現象を示した。
このことに関して、私は、2009年9月1日発表の鑑定コラム576)「平成の関ヶ原の戦いは政権与党の惨敗」で、下記の記事を記した。
「意外と思ったのは、外国為替円の対ドル換算レートが、前日まで1ドル93円台であったのが、1ドル92.80〜92.82円となり、前日比−1.12円低くなったことである。円高を示したことである。
これは何を物語るのであろうか。」と。
2009年9月4日の日本経済新聞は、「民主党→円高?」という横見出しで、政権交代と円高現象についての記事を書いている。
やはり、日経もちゃんと見るべき所は見ていた。そして記事にした。
8月31日以降の外国為替相場の動きを見て、「単なるご祝儀ではない」と為替変動の状況を捉えている。
記事ではあちこち取材し、いろんな見方を列挙している。
その一つ、民主党は内需拡大の政策を重視することから、日本経済は立ち直る可能性は高い。そして円高を容認するであろう。このことから「円買い」であるという最もらしい円高の背景を記するが、その他の見方もあり、それぞれに強気・弱気の憶測が混じり合って、外国為替の動きはどう動くか現在のところ予想しにくいと結論する。
円高になりますとか、円安になりますとかと言う相場の予測断定は、新聞記者の立場からすれば書けないであろう。
輸出企業は円安を望むが、しかし、1985年のプラザ合意によって、1ドル=240円から、一気に220円に、そして200円を切り、190円、150円、120円となった。
つい最近まで105円前後でいたが、現在は100円を切ってしまった。
この過程を見れば、トレンドは円高、ドル安の外国為替市場であった。
この間、円安誘導のために、政府は100兆円にもなる円を放出して、ドル買いを行ってきた。しかし、全体的に見れば、そのドル買いも円高、ドル安のトレンドを変えることは出来なかった。
日本企業は、この1ドル240円から100円になるという激動の円高、ドル安の為替変動を、技術革新等で乗り切ってきたのである。
この自信を取り戻して欲しい。安易な円安など望まずに。
民主党政権の政策がどういうものか、9月16日に首班指名の国会が開かれて民主党内閣が発足するのであるが、未だ鳩山民主党内閣は発足していないにもかかわらず、発足前に既に外国為替に予測されて、それが外国為替市場に現われてきた。民主党への政権交代というものは、この様にして経済・金融に反映して行くもののようだ。
鑑定コラム576)「平成の関ヶ原の戦いは政権与党の惨敗」