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596)年収430万円の人の不動産購入金額は1830万円

 平成20年の民間の事業所に勤める人の平均給与は、430万円と、鑑定コラム595) 「平成20年の給与は430万円」で述べた。

 では、430万円の年収の人が購入出来る戸建住宅・分譲マンションの価格はどれ程であろうか。

 自己資金で戸建住宅・分譲マンションを購入出来る人は、この際対象外である。

 銀行の住宅ローンを利用することを前提にして、年収430万円の人の戸建住宅・分譲マンションの購入限界価格を検討する。

 銀行からの住宅ローン借り入れ額の返済額は、月額収入の25%とする。

 これは、借入者の生活に、無理が生じない範囲の支払額を考えての割合である。

 支払は、元利均等償還の支払とする。
 住宅ローン借入金の月額返済額は、

              430万円×0.25 = 107.5万円
              107.5万円÷12ヶ月 = 89,583円

月額89,583円である。

 返済期間は20年とする。返済回数は、

       20年×12 = 240

240回とする。

 利率は年利3.6%とする。
 月利は、

     0.036÷12 = 0.003 (注)

0.003(0.3%)である。

(注)この月利の求め方は、私は疑問に思うが、ここでは取りあえず現在一般に行われている求め方で、月利を求める。稿を改めて「年利と月利」について論じたい。

 年利3.6%、240回払いの元利均等償還の賦金率は、下記のごとく求める。

 元利均等償還率の公式は、

 
             r
       W  =  ──────────                                 
                  1
                1− ──────                                   
                       (1+r)のn乗

であるから、

      r = 0.003
            n = 240

を代入して求める。

 
             0.003
       W  =  ──────────                                 
                  1
                1− ──────                                   
                     (1+0.003)の240乗

                0.003
            =   ────────                                    
                  0.512722817

            =  0.005851114

 賦金率は、0.005851114と求められる。

 即ち、1円を借りた場合、20年間毎月支払う元利均等返済金額は、0.005851114円と言うことである。

 年収430万円の人が、住宅ローンとして毎月支払える額は、先で89,583円と求められている。この支払金額での借入金額は、

    89,583円÷0.005851114 = 15,310,418円≒15,300,000円
  
である。

 頭金として20%の貯金があるとする。
 自己資金は、

     15,300,000円×0.2 = 3,060,000円

である。

 以上の2つの金額から、

       15,300,000円
        3,060,000円 
         計  18,360,000円
            ≒18,300,000円

である。

 年収430万円の人が購入出来る戸建住宅・分譲マンションの金額は、

           18,300,000円

と言うことになる。

 給与430万円の金額は、国税庁が発表した平成20年の民間事業所に勤める人の平均給与である。14業種に区分して求められている。
 その業種別平均給与を再掲すると、下記の通りである。


  業種 平成20年分平均給与 万円 対前年伸び率 %
1 電気・ガス・熱供給・水道業 675
2 金融業、保険業 649 ▲6.1
3 情報通信業 616 ▲2.2
4 学術研究、専門・技術サービス業、教育、学習支援業 515
5 製造業 495
6 建設業 444 ▲2.3
7 運輸業、郵便業 430
8 複合サービス事業 409
9 医療、福祉 400 ▲2.2
10 卸売業、小売業 378 0.2
11 不動産業、物品賃貸業 377 ▲11.1
12 サービス業 338
13 農林水産・鉱業 310 4.2
14 宿泊業、飲食サービス業 250 ▲8.3
  平均 430 ▲1.2


 業種別の平均給与は、250万円〜675万円と巾がある。
 平均430万円であり、その標準偏差は、122.85である。

 標準偏差1倍までには68%のデータが含まれる。この標準偏差1倍までの数値は、信頼出来る数値と考えられる。

 平均給与430万円に、標準偏差1倍の122.85を加えた金額が、高値ゾーンの信頼出来る数値と言える。
 その金額は、

     430+122.85 = 552.85≒553

553万円である。

 553万円が、平均給与430万円の母集団の不動産購入限界給与と判断される。

 では、給与553万円の人の購入出来る戸建住宅・分譲マンションの金額は、如何ほどか。

 これがわかれば、不動産業者にとって、物件の売却価格の限界価格が分かることになる。

 平均給与430万円の場合と同じ様に、給与553万円での不動産購入価格を求めてみる。下記の通りである。

 給与収入から不動産購入の為に借入金支払いに回せる金額は、

      553万円×0.25 = 138.25万円
      138.25万円÷12ヶ月 = 11.52万円

 月額115,200円である。

 金利3.6%、返済期間20年、240回払いとした場合の元利均等賦金率は、0.005851114である。
 借入金は、

     115,200円÷0.005851114 = 19,688,558円 
                                  ≒ 19,700,000円

である。

 20%の貯金があるとする。
 自己資金は、

     19,700,000円×0.2 = 3,940,000円

である。

 求めた2つの金額を加算する。

       19,700,000円
        3,940,000円
    計  23,640,000円
            ≒23,600,000円

 戸建住宅・分譲マンションの購入限界価格は、

          23,600,000円

である。

 これが、現在の民間企業に勤める人の給与水準で購入出来る不動産の限界価格と推定する。

 但し、上記価格には、地域性、物件の良し悪し等の要因が価格形成に入るのは当然である。


 鑑定コラム595)「平成20年の給与は430万円」

 鑑定コラム598)「居宅購入の年収倍率は4.3倍論」
 

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