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国税庁が、平成20年1月〜12月の民間給与の実態統計調査結果を発表した。
民間の事業所に勤務する人の給与の実態数値である。
給与所得者数 5,474万人
給与総額 201.3兆円
税額 8.6兆円
税額割合 4.29%
民間の事業所に勤務する人は、給与の4.29%を税金として国に収めていると云うことである。
このことは、しっかりと覚えておく必要がある。給与を得ている自分も納税者であるという自覚を持つ必要があるために。
平成20年の名目国内総生産(GDP=Gross Domestic Product)は、495兆円である。
給与は「消費」とみなされるから、名目GDPに占める民間の事業所に勤務する人の給与総額の割合は、
201.3÷495 = 0.407
40.7%である。
内閣府の発表する名目GDPに占める消費の割合は、56.3%(平成19年)である。
上記割合と差がある。この差は公務員給与や帰属家賃等によるものと思われる。
いずれにせよ、GDPに占める民間給与の額は、甚だ大きいものである。
消費を動かさないと、GDPは増えないと云われる由縁である。
逆に言えば、GDPを増やすには消費を増やし、消費を増やすには、給与金額のアップと言うことになる。
消費が増えれば、商品の製造業は活発に成る。企業利益も発生アップする。
給与金額のアップ、企業利益がアップすれば、税収も増える。
国税庁は、上記数値から平均給与を求めている。
平均給与は、
平均給与・手当+平均賞与 = 平均給与
で構成されている。男と女に区分されている。
平成20年の平均給与を下記に記す。単位千円。
平均給与・手当 平均賞与 平均給与
男 4,490 835 5,325
女 2,356 355 2,710
平均 3,650 646 4,296
平均給与は、4,296千円≒4,300千円 である。
上記数値から月額給与は30.7万円で、賞与2ヶ月ということか。
30.7万円×12+30.7万円×2 = 429.8万円 ≒ 430万円
平均給与に対する男女の給与差は、
男 5325÷4296≒1.24
女 2710÷4296≒0.63
である。
男女の給与の差が甚だ大きいが、これは女性の給与には、パート勤務者が多いことによるものと思われる。
そうでないと、男女同一賃金の精神に反することになる。
国税庁の調査は、14業種ごとの平均給与も発表している。
記すと、下記の通りである。
|
業種
|
平成20年分平均給与 万円
|
対前年伸び率 %
|
1
|
電気・ガス・熱供給・水道業
|
675
|
−
|
2
|
金融業、保険業
|
649
|
▲6.1
|
3
|
情報通信業
|
616
|
▲2.2
|
4
|
学術研究、専門・技術サービス業、教育、学習支援業
|
515
|
−
|
5
|
製造業
|
495
|
−
|
6
|
建設業
|
444
|
▲2.3
|
7
|
運輸業、郵便業
|
430
|
−
|
8
|
複合サービス事業
|
409
|
−
|
9
|
医療、福祉
|
400
|
▲2.2
|
10
|
卸売業、小売業
|
378
|
0.2
|
11
|
不動産業、物品賃貸業
|
377
|
▲11.1
|
12
|
サービス業
|
338
|
−
|
13
|
農林水産・鉱業
|
310
|
4.2
|
14
|
宿泊業、飲食サービス業
|
250
|
▲8.3
|
|
平均
|
430
|
▲1.2
|
私は、給与1位は金融業、保険業と思っていたが、電気・ガス・熱供給・水道業である。
金融業、保険業は2位である。
金融業、保険業の給与が下がったのは、サブプライム・ローン問題による金融業の不振が原因しているのでは無かろうか。
我が職業が密接に関係している不動産業が、甚ださえない。
不動産業平均給与が377万円である。全業種平均以下の給与である。
対前年比では、▲11.1%である。
このダウンは、14業種の中で、最大の給与減少率である。
不動産ファンドバブル崩壊による不動産不況が、従業員の給与を直撃したものと思われる。
給与の11.1%のダウンは、相当厳しい現実である。
過去の民間の事業所に勤務する人の給与は、どれ程であっただろうか。
その統計数値も国税庁の調査は、発表している。
下記に金額を記す。数値を読んで行って、何かを自身感じて、考えて欲しい。
平成10年 4,648千円
平成11年 4,613
平成12年 4,610
平成13年 4,540
平成14年 4,478
平成15年 4,439
平成16年 4,388
平成17年 4,368
平成18年 4,349
平成19年 4,372
平成20年 4,296
平成10年が約465万円、平成20年が約430万円の平均給与である。
給与額が下がっている。
平成10年〜平成20年まで、民間会社の勤務者の給与は、毎年下がり放しである。
これは、ちょっとひどい現象ではないか。
給与が下がっては、消費購買は増加しない。
百貨店、スーパーマーケットの売上高が減じるのは、当然であろう。
どうしてこんな日本になってしまったのか。
かっての昔、松下幸之助は、松下電器産業の社員の給与を、世間の1.5倍と高くした。
それは、社員の給与を高くして、自社の電気製品を率先して購入してもらうためでもあつた。
それによって需要が増えることを考えたのである。
松下幸之助のこの経営思想を云うと、必ずダム経営論で反論される。
松下幸之助のダム経営論は、会社が経営危機に陥っても、社員の首切りはせず、給料も下げずに経営危機を乗り切った実績の上での経営論である。
社員を一人も解雇せず、給料も下げないという社員の生活保障が前提になってのダム経営論である。
この要因を見落としてのダム経営論は、無意味である。
現在の日本の企業経営者は、松下幸之助の考えと全く反対の考えで、企業経営しているのでは無かろうか。
いつから企業家の考え方が、真反対に変わってしまったのか。
ここで云う国民の給与は、国税庁のデータによるものであり、それは5400万人の給与である。半端な数の給与の額では無い。
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