日本マクドナルドが、ハンバーグの価格を80円から59円に、2002年8月初めに値下げした。今年(2002年)2月に65円のハンバーグを、デフレが底を打ったと藤田田最高経営者は判断し、80円の価格に戻した。しかし、その後の予想外の売上減に堪りかね、再度の値下げを断行し65円より10%低い59円の価格にしたのである。
全国3,900店舗を持つ日本マクドナルドの値下げ攻勢により、外食産業は再び値下げの価格競争に突入することになる。
その藤田田日本マクドナルド最高経営者が、2002年の初頭にこんなことを言っていた。
「売上が2割落ちれば採算割れし、3割落ちれば経営出来なくなる。このままでは破綻に追い込まれる外食企業も出てくるかもしれない」と。(日経2002.1.4)
売上が2割落ちれば採算割れという。採算割れの経営であれば、経営に属する配分利益は無くなる。このことから20%が経営に関する割合の検討範囲となる。
しかし20%全部の割合を採用すると、利益0の場合も含めることになる。それではおかしいことから、その中央値とする。
20%×1/2=10%
また、「売上が2割落ちれば採算割れ」と言っていることから、原価は80%といえる。
これらから日本マクドナルドの経営配分利益は、売上に対して、
10%×(1−0.8)=2%
ということになる。
いささか荒っぽいが、日本マクドナルド及び外食企業の経営配分利益は、売上高の2%が限度といえるか。
ダイクマがイトーヨーカドーに経営指導料として売上高の1%を支払っていたことは「大規模量販店の売買価格」で述べた。
これら分析より、経営配分利益の額がぼんやりと見えて来そうである。
経営配分利益を知って、それがどうしたというのだと云う人がいるかもしれない。
不動産鑑定の不動産価格分析手法の一つに企業収益還元法という手法がある。
企業収益は資本、経営、労働そして不動産の4つの協働によって得られるものであり、企業収益から資本、経営、労働に属する利益を控除した残りが不動産に属する利益であり、その不動産配分利益からその企業の土地建物の価格を求める分析手法である。
この企業収益還元法を使用して土地建物価格を求めようとするときに、一番問題となるのが企業収益のうちどれ程が経営に属する利益かと言うことである。
製造業企業の経営配分利益は、製品の売上高でなく純収益の平均16.2%であることは分析証明されている(『民事再生法と資産評価』p160 田原ほか 清文社)。
飲食店、小売り等の企業の経営配分利益の分析は、その書物では行われていない。
実際の企業家の話の端々から、経営配分利益を推定する方法も必要である。
鑑定コラム32)「企業収益還元法」
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