居酒屋コロワイドは、和食レストランの平和フードサービスを買収した。(日経2002.1.10)
買収金額は4億円である。
平和フードサービスは、「北海道」、「浜町」の店名で40店舗を経営していた。売上高は約111億円で、経常利益は9300万円であった。
投下資本に対する売上高倍率は、
111億円÷4億円=27.8倍
である。売上高倍率は非常に高い。
しかし、売上高に対する経常利益率は、
0.93億円÷111億円=0.008
で、1%以下の利益率である。
この低い利益率では、売上高111億円を前提にした売上高倍率で買収価格を決めることは困難である。その店舗より得られる現実の利益額に基づいて店舗の価格を求めざるを得ない。
外食店の店舗寿命について、ミュープランニングアンドオペレーターズ社長の吉本隆彦氏が、
「かっては最低7年もったが、今は5年で通用しなくなる」
と言っている。(日経2002.7.24)
7年で資本回収するのが今迄の飲食店の常識であったが、今は価格破壊のデフレや店舗進出競争の激化によって、5年で回収することで考えないと飲食店の経営は失敗するというのである。
7年回収とは1/7=0.142で、利益率14.2%である。
5年回収とは1/5=0.200で、利益率20%と言うことである。
つまりレストランの利益率は20%で考えよと言うことである。
これを価格で云えば20%の営業利益でレストランの価格は考えよと言うことになる。
利益率20%とすると、0.93億円の利益の和食レストランの価格は、
0.93億円÷0.2=4.65億円
である。
和食レストランの価格は4.65億円である。
コロワイドの和食レストランの買収価格は4億円である。投下資本に対する利益率は、
0.93億円÷4億円=0.23
23%である。20%以上の利益率である。
和食レストランの売買価格は、買収のリスクを含めて考えても、的を得た価格と思われる。
近くの地価公示価格から見て土地価格がいくら、建築費がこのくらいで建物価格がいくら、合計してレストラン価格はこれこれと云っていても、レストラン経営者或いは事業家はレストランを買わないと言うことである。
収益に見合った価格で不動産は取引されていると言うことか。
飲食店・レストランの売買価格についての記事については、下記の鑑定コラムがあります。
鑑定コラム35)「ファミリーレストランの売買価格」
鑑定コラム77)「ダイエーの子会社売却」
鑑定コラム1604)「鑑定コラム59)「和食レストランの売買価格」が読まれている」
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