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603)2009年4月〜6月の不動産業新規融資額1.4兆円と縮む

 日本銀行発表による2009年4月〜6月の3ヶ月間(2009年第2四半期)の、国内銀行の不動産業への新規貸出額は、13,931億円である。

 前年同期と比べると、4,191億円の新規貸出額の減である。

 過去3年及び直近2四半期の不動産業の新規貸出額を記すと、下記の通りである。

     2006年1月〜12月    91,591億円  
     2007年1月〜12月    100,859億円  
     2008年1月〜12月    84,072億円  

     2009年1月〜03月    23,227億円        2009年4月〜06月    13,931億円
  
 2009年4月〜6月の不動産業新規融資額13,931億円の、全産業総貸出額に占める割合は0.164である。

 融資額割合は、2年程前と比べると小さい割合になって来たが、しかし未だ15%を超えており、ノーマルな状態とは言えない。過剰融資の状態と言える。

 直近の1年間、2008年7月〜2009年6月までの1年間の不動産業への新規貸出額は、72,742億円である。

 この数値から予測すると、今年2009年1年間の不動産業新規融資額は7兆円程度と思われる。

 しかし、前年同期比の減少率は、

                13,931億円
        ─────────────   = 0.768                       
      13,931億円+4,191億円

であり、この減少率で2009年の新規融資額も減少すると考えると、

        84,072億円×0.768 = 64,567億円
となる。

 7兆円を切ることも大いにあり得ることになる

 2007年の10兆円の金額をピークにして、不動産業への新規貸出額の減少は著しい。

 2007年が、不動産ファンドバブルの絶頂期である。
 新規融資高10兆円の金額を付けた途端に、不動産の価格の下落が始まった。

 不動産の価格は、購入者がいなければ値上がりしない。
 不動産購入者は、銀行の融資が無ければ不動産を買うことが出来ない。
 自分の手持ち資金で不動産を買う人もいるが、その人々の不動産購入の量で、東京或いは日本の不動産全体の価格が押し上がるものではない。

 自分の手持ち資金による不動産購入が、不動産価格を押し上げる力など持っていない。

 不動産の価格を押し上げる力を持っているのは、他人資本である銀行の融資力であり、それも莫大な金額の継続融資が必要である。

 銀行の不動産業への新規貸出額の減少が続いていることは、地価の値上がりを否定していることを示唆する。即ち地価は、まだ下落することを意味する。


 鑑定コラム515)「2008年の不動産業新規貸出額8.4兆円」

 鑑定コラム545)「不動産業への新規貸出額縮小は進む」

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