○鑑定コラム


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604)SRC造ホテルは48年しか持たない

 皇居大手門のお堀端に建っていたSRC造9階建のパレスホテルが、取り壊されてしまった。

 新しく建て替えるためである。

 1961年に建築されたホテルであるが、

      2009年−1961年 = 48年

48年で寿命を終えた。

 外壁が信楽焼のタイルで、建築業協会賞を授賞したほどの建物であるが、丸の内、大手町地区の建物の高層化の波に抗しきれず、自らも建て替えることになったようである。

 建替後の建物は、23階建、高さ115mのホテルで、完成は2011年末という。

 従前建物でも皇居が見えたが、23階建になれば、皇居、宮内庁病院の建物を見下ろすことになる。

 近代建築建物の主流を行く構造物であるSRC造建物は、長い期間の耐用年数を有すると思いがちであるが、経済的耐用年数は意外にも短い。

 SRC造建物が、50年も持たずに建替を繰り返していては、日本経済は建物建築に多大な金を費やすことになり、その他の投資が阻害されることになる。このようなことは良いこととは、私には思われない。

 パレスホテルに私は泊まった事はないが、ここで毎年の11月にムッシュ・ソーマ主催のワインの新酒会・ボージョレヌーヴォが開かれ、それに参加するのを楽しみにしていた。

 パレスホテルが無くなって、2009年のボージョレヌーヴォはどうなることだろうか。

 日本経済新聞に、連載されている瀬戸内寂聴尼の「奇縁まんだら」と云うコラム記事がある。
 瀬戸内寂聴尼との交友関係の人々の人間模様が描かれていて、大変面白いコラムである。
 私は愛読している。

 2009年11月8日(110回)の「奇縁まんだら」に、こんな内容のものが載っていた。

 『・・・・・ある日、東京の常宿にしていたパレスホテルのロビーで、パーティに出席前のダークスーツのすてきな江戸さんに出逢った。
 「あ、ここにとまっているの。ちょっと待って」
 江戸さんは玄関から走り出し、御自分の車から・・・・・』

 瀬戸内寂聴尼は、パレスホテルが東京での常宿であったようだ。
 ここに出てくる「すてきな江戸さん」とは、今は亡くなっていない不動産業界の大御所であった三井不動産の江戸英雄会長である。

 ホテルのロビーは、多くの人々の出会いの場の様である。

 下記に解体されてしまったパレスホテルの写真を載せる。写真をクリックすると大きくなります。下の方はボヤかしてあります。


パレスホテル1 パレスホテル12



 解体前の写真は私はあいにくと撮っていなかった。
 グーグルの「画像」検索をクリックして、「パレスホテル」と入力すれば、多くのパレスホテルの写真が検索されることから、そちらで在りし日のパレスホテルの偉容を見られたい。


  鑑定コラム606)「ホテルニューオータニでのムッシュソーマの新酒会」

  鑑定コラム656)「さらば昭和の歌舞伎座」

  鑑定コラム337)「経済的耐用年数とは」

  鑑定コラム1)「木造30年」

  鑑定コラム908)「平成24年ホテル業界は既存ホテルのリニューアルで競争が激化する」

  鑑定コラム1050)「帝国ホテルの24年1月〜12月の売上高は517億円」

  鑑定コラム1110)「新築パレスホテルの建築費はu42.9万円」


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