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627)百貨店売上高と地価

 日本百貨店協会は、2009年の全国百貨店の売上高が、6兆5842億円であると同協会の下記ホームページ、

        http://www.depart.or.jp/common_department_store_sale/list

に2010年1月22日発表した。前年比10.1%の減である。

 同ホームページより、全国百貨店の過去平成11年(1999年)からの売上高を記すと、下記の通りである。

             年               年間売上高        対前年比
       平成11年(1999年)    8兆9935億円    -2.9%
       平成12年(2000年)    8兆8200億円    -1.8%
       平成13年(2001年)    8兆5724億円    -0.4%
       平成14年(2002年)    8兆3446億円    -2.3%
       平成15年(2003年)    8兆1116億円    -2.8%
       平成16年(2004年)    7兆8787億円    -2.8%
       平成17年(2005年)    7兆8414億円    -0.2%
       平成18年(2006年)    7兆7700億円    -0.7%
       平成19年(2007年)    7兆7052億円    -0.5%
       平成20年(2008年)    7兆3813億円    -4.3%
       平成21年(2009年)    6兆5842億円    -10.1%

 平成18年に高島屋の売上高が下げ止まり、百貨店業種も底を打ち景気回復が本物になってきたかと思ったが、全国百貨店の売上高は下がりっぱなしで景気回復どころではなくなった。

 その間、百貨店も生き残りをかけて、合併をし始めた。三越と伊勢丹、松坂屋と大丸などである。

 それは、あたかも住友銀行と三井銀行が合併したごとく、大銀行の合併に良く似ている。

 それ程、消費の減退で、百貨店企業は、経営上追い込まれているといえよう。

 百貨店の著しい売上高減が続き、底が見えないが、百貨店売上高と地価の関係を分析してみる。

 東京都内の主な百貨店の月額坪当り売上高を、鑑定コラム624)「東京の百貨店の売上高」で記した。

 この月額坪当り売上高と土地価格の間に相関関係があるだろうか。
 両者の関係を分析してみた
 土地価格は、当該百貨店の前面道路の2008年相続税路線価を使用し、それを0.8で除した金額を土地価格とする。路線価はu単価であるから、坪単価に換算する。

 例えば三越本店前の2008年相続税路線価は、u当り11,100,000円である。
 坪当りに換算すると、

     11,100,000円×3.30578≒36,700,000円

である。

 相続税路線価は、地価公示価格の8掛け(0.8)で求められていることから、

     36,700,000円÷0.8≒45,900,000円

三越本店前の土地価格を坪当り4590万円と求める。

 地形、地積、側方路等の個別的要因は考えないとして、上記で求められた価格を三越本店の坪当り土地価格とする。

 上記と同様な求め方で、鑑定コラム624)で採用した百貨店の土地価格を求めると、下記の通りである。

     三越本店                  坪当り4590万円
          伊勢丹新宿本店            坪当り6490万円
          西武百貨店池袋            坪当り3180万円
          高島屋 東京             坪当り5750万円
          東急百貨店本店            坪当り1700万円

東武百貨店池袋本店 坪当り2390万円 小田急百貨店 新宿 坪当り6350万円 京王百貨店 新宿 坪当り5200万円 高島屋 新宿   坪当り2150万円 松屋銀座本店 坪当り10100万円

 坪当り土地価格をX万円、月額坪当り売上高をY万円とする。
 XYのデータは下記の通りである。

                               売上高Y            土地価格X
     三越本店             50.9         4590
          伊勢丹新宿本店        105.5         6490
          西武百貨店池袋         70.4        3180
          高島屋 東京          80.3         5750
          東急百貨店本店         49.6         1700
          東武百貨店池袋本店     40.7        2390
          小田急百貨店 新宿     56.9         6350
          京王百貨店 新宿       58.8         5200
          高島屋 新宿          39.0         2150
          松屋銀座本店           53.6        10100

 上記データのXYの関係を求めると、

               Y=46.366+0.0030X
                   標準偏差  19.75
                   r=0.379

である。

 上記データをグラフにしたのが、下記のグラフである。


百貨店売上高と地価


 相関係数0.379では、XYの上記式の信頼度は低い。

 相関度が甚だ低く求められたのは、それぞれの百貨店の知名度、経営力、のれん等の要因が大きく影響しているものと思われる。

 相関係数は低いとはいえ、上記式より次のことはいえる。

 東京の主要百貨店の売上高は、売場面積坪当り46.4万円に、当該百貨店の坪当り土地価格万円に0.003を乗じた金額を加算すると、基本的な坪当り売上高が求められる。その得られた数値に、標準偏差1倍を各百貨店の知名度等で+−すれば、合理的な売上高が求められる。

 東京の百貨店は、土地価格坪当り1万円に対して、月額売上高坪当り30円増加するといえる。


  鑑定コラム624)「東京の百貨店の売上高」
 
  鑑定コラム1100)「銀座松坂屋は4年後新装再開店出来るのか」
 

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