「年収の何倍でマンションが買えるか」と、その倍率を毎年発表している都市開発協会(理事長 清水仁東京急行電鉄会長)は、13年の東京圏の倍率を5.34倍と発表した。大阪圏4.19倍、名古屋圏3.47倍である。マンションの価格は東京圏3,975万円(75u換算)、大阪圏3,120万円、名古屋圏2,580万円で、サラリーマンの年収の全国平均は744万円とのこと。(住宅新報2002.5.3)
上の価格より、マンション価格の価格差は東京の価格を100とすると、大阪78、名古屋65ということか。この価格割合を経済規模と照らし合わせたら同じような数値になるかどうか。
年収に対するマンション価格の倍率を聞いても、「それがどうした」と思うだけである。
具体的に興味を持たせるには?
賃貸マンション入居者の収入に占める家賃の割合、即ち家賃負担率は23.6%(『東京都住宅白書』平成12年版)である。
マンションの家賃として支払っている額は、
744万円×0.236≒175.6万円(月額14.6万円)
である。これを住宅ローンの支払額に置き換えると、金利3.5%、期間20年で元利均等年賦償還率は0.070361であるから、2,495万円の借入金額となる。元利均等年賦償還率に付いては、本文の最後尾に求め方を説明してある。
即ち、2,495万円(年収の3.3倍相当)のマンション価格ならば、現在支払っているマンション家賃と住宅ローン支払額が同じだから、購入出来ることとなる。しかし、東京圏の場合3,975万円のマンション価格となるとそのバランスが崩れて購入出来なくなり、差額1,480万円は預金か、両親からの援助が必要ということになる。
つまり、年収倍率5.34倍といっても1,480万円の頭金(購入価格の37%)が必要で、月額14.6万円のローン支払いが必要ということである。
この説明でも果たして興味を引くかどうか。
自分の給料で買えるマンションの価格はいくらかと云えば、「年収の3.3倍の価格のマンション」だといえば少しは興味を引くではないだろうか。
(追記)
1,480万円の預金が無ければマンションは買えないと言うことになるが、これを逆に考えれば、マンション価格の37%相当の1,480万円の金額分が安くなれば、マンションは預金なしで購入出来ることになる。
建物の品質を落とさず、同じ駅勢圏の同じ環境で37%の価格減のマンションはあるのかと言うことになる。
それは、地代負担があるが、定期借地権を導入したマンションであれば37%のマンション価格減を実現出来る。定期借地権とはどういうものかと言うことについては、多くの解説書が出ているからそちらに譲る。
マンション業者の立場で考えれば、マンションは37%安い価格にすれば、賃貸住宅に入居している人々をマンション購入者にすることが出来ると言うことになる。
定期借地権マンションの戦略は、37%安いマンションの提供である。
元利均等年賦償還率について説明する。
元利均等年賦償還率とは、借入金額を元金返済額と利息を合算した同じ金額(均等金額)で、決められた年数内に支払い終える場合の利率をいう。
元利均等年賦償還率の公式は、利率をr、期間をnとすると、
r ────────── 1−複利現価率 である。
1 ────────── (1+r)のn乗 である。
r ────────── 1 1− ────── (1+r)のn乗 となる。
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