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656)さらば昭和の歌舞伎座

 東京銀座4丁目にある歌舞伎座が建替のため、平成22年(2010年)4月末をもって閉館することになった。

 日本の伝統芸術である歌舞伎の殿堂として、多くの名優、人気役者が演技を競った歌舞伎座も、老朽化と利便性等のために建て替えることになった。

 3年後(平成25年)には、29階建の事務所併用の新しい歌舞伎座に生まれ変わるという。平成の歌舞伎座の登場である。

 閉館する昭和の歌舞伎座は、株式会社歌舞伎座の平成21年8月6日のプレスリリースによれば、大正13年12月に竣工したが、太平洋戦争の東京大空襲によって建物が焼けてしまった。

 残った躯体を使用して大改修し、昭和26年に現在の建物にした。
 大改修後59年経ち、建物の老朽化、舞台装置の陳腐化、機能の低下も目だっってきた。

 それに加えて、耐震性、防災性の問題が生じてきた。これらを考えて、この際建て替えた方が良いと判断したという。

 総工事費は約430億円、延べ床面積は93,300uである。
 工事費単価は、

     43,000,000,000円÷93,300u≒458,000円

u当り458,000円、坪当り換算151万円である。

 RC造・SRC造の建物は、100年、200年使用出来ると思いがちであるが、そんなに長く使用出来ない。

 パレスホテルも築後48年で建物の寿命を終えたのである。

 日本の気候・湿度、地震多発国であることを考えると、RC造・SRC造の建物とて100年ももたないであろうか。何だかもったいない様な、無駄な費用を建替で使っているように私には思われる。100年以上は耐用するRC造・SRC造の建物を建築家、建設会社は創意工夫して作れないものか。

 歌舞伎座が、平成22年4月で閉館されると言うことで、最後の4月公演を見てきた。立ち見席まで満員の状態であった。

 中村勘三郎、勘太郎、七之助の親子3人による『連獅子』の舞を見た。

 獅子の親は、我が子を千尋の谷に突き落とし、這い上がってくる子だけを育てるという話の歌舞伎である。

 鈴連獅子の踊りと冠連獅子の踊りの合間をつなぐ、中村橋之助、中村扇雀の間狂言を見ることが出来た。

 間狂言の中村橋之助の演技が良かった。

 演技をたたえて、その歌舞伎役者の所属一門の別称でもある「成駒屋!」のかけ声が、タイミング良く3階席より飛ぶ。

 冠連獅子は、白毛の勘三郎、赤毛の勘太郎、七之助の親子3人の舞であった。

 冠毛を左右に振る「髪洗い」、冠毛を舞台にたたきつける「菖蒲叩き」、そして圧巻は、冠毛を回転させる「巴」の連続回転である。
 「中村屋!」のかけ声が、短くあちこちから連発される。

 「巴」の連続回転は、親子3人の呼吸はぴったり合い、『連獅子』の歌舞伎の醍醐味を充分味わうことが出来た。

 白化粧の顔に、赤・黒の歌舞伎独特の隈取で描いた別人と思える役者の顔と、赤か、朱か、紅というのか赤色系が鮮やかに目立つきらびやかな衣装に包まれた役者を舞台に見ると、歌舞伎の世界は、別世界の境地の存在にあるごとく感じられる。

 客席には、圧倒的に女性が多い。それも年輩者が。



 歌舞伎座の写真は、私が撮った写真よりも、グーグルの画像検索の種目を選び、「歌舞伎座」と入力すれば、多くの写真が見られる。

 その中から任意に選ぶ。解体される現在の歌舞伎座は、下記アドレスで見られます。

http://www.showanavi.jp/news/img/20081022_3-01b.jpg

 3年後の立て直し後の歌舞伎座のパースは、下記のアドレスで見られます。

http://images.keizai.biz/ginza_keizai/headline/1233357052_photo.jpg


 鑑定コラム604)「SRC造ホテルは48年しか持たない」


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