687) 既存不適格容積率オーバーの建物の建つ土地の建付増加アップはない
不動産鑑定士ょ、もっとしっかりしてくれょ。
容積率オーバの既存不適格の建物の建つ土地価格は、建付増加として土地価格のアップなどしないょ。
容積率800%の土地であるにもかかわらず、1000%の容積面積の建物が建っている。その建物は既存不適格建物である。 即ち、建築当時は建築基準法違反では無かったが、現行建築基準法では既存不適格の建物である。
この容積オーバーの既存不適格建物が建つ土地であるにもかかわらず、容積率200%分(総合設計による200%アップと言う様な現行建築基準法で許されている容積率オーバーのものでは無い)の収益増加が期待されると言って、土地価格は3%の価格アップするという不動産鑑定書が、裁判所の鑑定人作成の鑑定書として上がってきた。
賃料の基礎価格としての土地評価であるが、容積オーバーの既存不適格建物の敷地土地が、現行建築基準法で認められている容積面積を前提にして形成される土地価格(正常更地価格)よりも価格増額するという考え方は、一般的には理解しがたい考え方である。
土地価格がアップすることは、それを基礎価格とする当該土地の建物の賃料が上昇することに直結する。
即ち、既存不適格建物であることによって土地価格が3%アップすることは、当該土地上の建物の賃料がアップすることを意味する。
その考え方は社会的に許されるものでは無い。
新規賃料は、積算賃料と比準賃料とで求めて決定する。
上記既存不適格建物の存在を原因とする建付増加の積算賃料と、それら要因を具有しない貸ビルの賃料と比較して求められた比準賃料とで開差が生じ、その整合性がとれなくなる。
賃借人側代理人弁護士から、賃貸事例で採用する貸ビルの賃料も、対象不動産と同じの既存不適格建物の賃料でなければ、類型の同一性、即ちデータの同一性が無いと否定の批判を浴びることになろう。
たかが3%の差で目くじらたてるなと言う人もいるであろう。
だが、東京の容積率800%の土地というものは、それは超高度商業地で、土地価格は坪当り1億円の土地であったとしたら、たかが3%の土地価格アップでガタガタ言うなと言ってはおられないではなかろうか。
坪当り1億円の3%は、坪当り300万円である。
それに訳の分からない理由で、5.4%の期待利回りを乗じて、純賃料がもとめられているとすれば、増加する賃料の純賃料は、
3,000,000円×0.054÷10÷12=1,350円
(注)÷10は容積率1000%の建物賃料修正
土地価格分として家賃月額坪当り1,350円の純賃料の増加になるのである。
建築当時は建築基準法違反の建物で無いからと言って、現行建築基準法では既存不適格建物となる容積オーバーを認めて土地価格が3%価値アップすると言う様な不動産鑑定によって、建物賃借人は土地価格分として家賃坪当り1,350円の純賃料のアップ負担させられるのである。
これが適正な賃料鑑定といえるものなのか。
不動産鑑定評価の正義というものは何処にあるのか。
裁判官はどう判断することか。
「必ずしも不合理とは思え無い」といつもの常套句を言って、裁判所鑑定を擁護したら、即刻控訴だ。
妙な高裁判決がでたら、即時、最高裁へ上告だ。最高裁判所への上告理由は存在するであろう。
不動産鑑定士ょ、しっかりせょ。
わしゃ関係無いと他人ごとのごとく思っていては困る。
当該不動産鑑定書の署名不動産鑑定士の名前を見れば、ある不動産鑑定協会の幹部の名前らしきものである。
賃料評価を行う不動産鑑定士は、腰を据えて、賃料評価を基礎から勉強し直さなければダメだと自覚して欲しい。安易に考えて賃料評価を行っていると、本当に不当鑑定で措置請求されてしまう事態になるょ。
国交省地価調査課が、不当鑑定の懲戒処分を行うかどうかは分からないが。
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