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646)自らの間違いを正当であると主張する不動産鑑定士がいるいる

 いる。いる。
 私が間違いであると指摘した鑑定書の意見書に対して、間違いでないと反論してくる不動産鑑定士がいるいる。

 自分の発行した鑑定書は適正であると思っており、それが間違いであると指摘されて、ハイそうですかと専門職業家として云う訳には行かないであろう。

 間違いと指摘した個所に対しては、それは間違いで無いと主張してくる。
 それについて長々と不動産鑑定評価基準を引用し、自分はそれに従って評価しているから、間違っていないと反論してくる。

 鑑定コラム633)に書いた当該不動産鑑定書の、担当鑑定士が裁判所に反論書として相手側弁護士を通じて提出してくる。

 まあよく屁理屈をつけて自分の不動産鑑定書の判断が正しいと書き綴ることか。

 私の指摘が全て正しいと云う訳では無いと思う。私の指摘も間違っている場合もあろう。
 しかし、この40余年間それなりに苦労し、勉強し、自問自答しながら賃料の研究をしてきた。法廷で代理人弁護士に批判され、論争し、時には裁判官が田原の見解が分からないといわれながらも、何とか理解させようと努力してきたつもりである。

 賃料に関する部分の不動産鑑定評価基準が、現在においてどれ程お粗末なものかも、充分知っているつもりである。

 賃料の裁判は長い時間を要する。
 不動産鑑定書を書き上げ提出しても、その後2年、3年と争いは続き、その度に、依頼者を通じて代理人弁護士から相談やら、意見書を書いてくれと頼まれる。

 現在6件の賃料の裁判事件を抱えている。その他不動産価格案件の裁判事件を3件抱えている。
 次々と相手側から反論が入り、その都度こちら側の代理人弁護士若しくは依頼者からその反論をどうすればよいか相談が入る。

 それらは大半が時間の制約があり、急がなくてはならない。
 手がけている仕事を中断して、対応しなければならない。

 依頼者の中には、相手側或いは裁判所指定の鑑定人の不動産鑑定書の内容とその問題点指摘に対する回答に対して怒り出し、その様な不動産鑑定士を許しておく訳には行かないと言い出し、不当鑑定で国土交通省に訴えると言い出す依頼者もいる。

 「国交省に不当鑑定を訴えても、国交省の地価調査課は不当鑑定の監督監視をやる気もなく、指導することもなく、職務放棄を行っているごとく処分しょうとしないです。」

と答えると、

 「そんな。
 それは不当鑑定をのさばらしていることと同じではないですか。
 そんな国民を愚弄している役所なんですか。
 不動産鑑定士はこの様な不当鑑定を行っても、役所が処罰しないから、ぬくぬくとしておられるのですか。
 それは官業癒着ではないですか。」
と益々怒り、かつ驚く。

 「でも、それならなおさら私はやる。
 この様な鑑定書を書く不動産鑑定士を放置しておくことは出来ない。
 役所も改革すべきです。」
と依頼者は意気込む。

 さてどうしたものかと私も考えてしまう。

 地価公示価格のやり方・考え方を賃料評価に持ち込んで、賃料評価をやるなとせめて賃料評価をやる不動産鑑定士に言いたい。

 鑑定コラム633)に述べたことは、未だ序の口であるが、減価償却費を再調達原価で行う行為は、不動産鑑定士としては重過失に相当する。税法違反、即ち法律違反の行為である。法律違反を内蔵している不動産鑑定を、どうして適正な不動産鑑定と言い得ようか。

 その他間違いはあるある。

 基礎価格の間違い、従前賃料合意時点の間違い、共益費を実質賃料に入らないとして実質賃料を求めている鑑定書、賃料評価であるのに土地価格を求めるのに土地残余法を使っている鑑定書、保証金の償却を無視しているもの、保証金の運用利回りを今時5%の利回りで行っているもの、期待利回りを減価償却前の利回りを採用しているもの、同一需給圏だと云って30kmも離れた場所にある賃貸事例を持ってきて比較するもの、或いは東京湾の反対側の事例を持ってきて賃料を出すもの、土地価格の下落率を賃料の下落率に採用しているもの、数年前の従前賃料合意時の利回りを現在の基礎価格に乗じているもの等、首をかしげたくなるもの、間違いだらけの賃料鑑定書が氾濫している。


  鑑定コラム633)「実務修習の継続賃料の求め方は間違っている」
 
  鑑定コラム645)「鑑定協会は実務修習テキストの継続賃料の減価償却費の求め方を即刻訂正せよ!」
 
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  鑑定コラム657)「敷金の運用益率32.6%の賃料鑑定書」
 
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  鑑定コラム739)「不当鑑定及び資格剥奪にならなければよいが」

  鑑定コラム852)「分子、分母が何故逆になるのか(土地取引事例比較法)」

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