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706) 前橋からイトーヨーカドー、サティが消えた

 群馬県庁のある前橋に行って来た。
 前橋に行って意外な事を聞き、知った。

 大型スーパーマーケットのイトーヨーカドー前橋店が2010年8月に閉店撤退し、前橋サティが2010年10月に閉店撤退したという。

 セブンイレブングループ、イオングループの日本を代表する大型スーパーのグループの店舗が、それぞれ前橋から撤退したのである。

 2つの大型スーパーマーケットの撤退は、前橋市民にとって生活の利便性としての大きなものを失うことになる。

 何故店舗閉鎖撤退なのか。

 その理由は簡単である。
 利益が上がらないからであろう。

 市場原理主義の極めて単純な理由に基づくものである。
 利益が発生していれば、撤退はしない。

 十何年か前或いは二十数年前、2つの大型スーパーマーケットの進出によって、それまでの既存小売店舗の幾つかは売上高減におそわれ、店舗閉鎖を余儀なくさせられた。

 小売店舗商店街は、シャツターを閉めた。
 シャツター通りと呼ばれてしまった。
 大型スーパーマーケットは、多くの小売店舗を潰した。
 街の小売店舗地域を壊してしまった。

 そして自らは儲けるだけ儲けた。
 しかし、その大型スーパーマーケットも、経営の怠慢、規模拡大策の失敗によるのか、より多くの利益が得られなくなり、前橋から撤退するのである。

 街の商店街を破壊しておいて、あとは野となれ山となれ、ハイさようならである。
 随分と身勝手な虫の良い話ではなかろうか。

 イトーヨーカドー前橋店、前橋サティはどれ程の年間売上高であったのか。
 両店は売上高を発表していない事から分からない。
 別のデータから推測するしかない。

 前橋市(人口は平成22年10月31日現在 344,878人)のホームページに依れば、平成19年6月1日現在の商業統計調査によると、同市内の総合スーパーマーケットは3つであり、その売上高等は下記の通りである。

      従業員      871人
      年間販売額    1,221,252万円
      売場面積     40,843u

である。

 売場面積1u当り年間売上高は、

      1,221,252万円÷40,843u = 29.9万円

である。

 撤退する2つの大型スーパーマーケットの売場面積は、下記の通りである。

     イトーヨーカドー前橋店          15,500u
      前橋サティ                      21,700u
                  計                      37,200u

 これより売上高は、

  イトーヨーカドー前橋店       29.9万円×15,500u=463,450万円
    前橋サティ                   29.9万円×21,700u=648,830万円

となる。端数を省略すると、

     イトーヨーカドー前橋店       46億円
     前橋サティ                   64億円

と推定される。

 前橋市には総合スーパーマーケットは3つあり、売場面積の合計は40,843uと商業統計調査は発表する。イトーヨーカドー前橋店と前橋サティの2店で、売場面積37,200uと全体の91%を占めることに、少し違和感があるが、 商業統計調査の数値を信用せざるを得ない。

 イトーヨーカドー前橋店と前橋サティの撤退により、前橋市内の小売店売上高110億円が無くなる。
 この売上高を受け入れる店舗は何処になるのか。

 前橋市の商業地の土地価格は、国交省が発表している地価公示価格によれば、前橋5-2の、

   前橋市本町2-2-12
      前橋駅850m
      平成22年1月1日 u当り200,000円
      SRC造10階建敷地

が、平成22年1月1日現在の前橋市の商業地の最高土地価格である。
 u当り20万円が前橋市の最高地価である。県庁所在地の商業地の土地価格がそんなに安いのと思いたくなる金額である。

 来年2011年(平成23年)3月末頃には、2011年1月1日時点の地価公示価格が発表される。
 来年1月1日にはu当り20万円の価格がどの様に変化しているのか。
 イトーヨーカドー前橋店と前橋サティの撤退が、商業地の土地価格にどれ程影響するのか見ていよう。


 鑑定コラム758) 「小売店売上高の土地価格への影響(前橋商業地)」

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