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713) 「中国金融引締へ」、通信各社の伝える内容が微妙に違う

 2010年12月3日、中国は「適度に緩和的」な金融政策から、「慎重な」金融政策に移行すると発表した。

 これは中国の金融政策の方向転換である。
 この政策転換は見逃しすることの出来ないものである。

 金融的には無視出来ないのは当然であって、経済的、政治的にも無視出来ず、この中国の金融政策の転換は大きな影響力を中国国内のみで無く、国際的にも与えるものと私は思う。

 この金融政策の無視出来ないニュースについて、同じ内容を伝えるのに、各通信社に依って、その報道内容が微妙に違う。

 まず第一報を報じたのは、日本経済新聞である。
 金融政策の変換が、経済に与える影響、企業に与える影響、そしてそれが株価に与える影響を日経はよく知っている。それだから日経を購読している読者は多いのである。

・12月3日 14時39分
 日経は次のごとく伝える。

 「これまで「適度に緩和的」としてきた金融政策の基本方針を中立的に近い「穏健的」に変更。インフレ抑制に向け金融政策を引き締め方向に修正することを決めた。リーマンシヨック後に採用してきた緩和的な金融政策を解除した。」(北京・高橋哲史)

・12月3日 17時10分 時事通信
 「来年の金融政策について、これまでの「適度に緩和的」という表現を使わず、「穏健(慎重)」な政策に戻すとし、金融引き締めに転換することを初めて確認した。」

・12月3日 17時31分 共同通信
 「物価上昇や不動産価格高騰に対応するため、緩和的だった金融政策を解除し、引き締め方向に転換する方針を打ち出した。」

・12月3日 17時54分 ブルームバーグ
 「積極的な財政政策と慎重な金融政策を採用し、マクロ経済統制の重点と柔軟性、有効性の改善を図る方針だ。金融危機に対応するための記録的な与信拡大の後、引き締めに動き出した。」

・12月3日 18時2分 ロイター
 「適度に緩和的な金融政策を穏健スタンスに変更することを決定した。今回の常務委の決定は、中国の政策におけるターニングポイント。一段の金利引き上げや、貸出規制強化につながる可能性がある。」

 2010年12月3日18時30分現在、朝日新聞、読売新聞、毎日新聞、NHKは、このニュースを伝えていない。(私の調査不充分で、もし伝えていた場合は、ご連絡下さい。)

 金融の方向転換を、「穏健的」と伝えたのは、日経、時事通信、ロイターである。

 「穏健的」という表現でなく「慎重」と伝えたのは、時事通信、ブルームバーグである。

 「引締」政策と断言したのは、共同通信である。

 共同通信は、「不動産価格高騰に対するため」と、具体的にはっきりと政策目的を挙げて報道する。

 中国の云う「適度に緩和的」な金融政策というのは、過剰な通貨の市場流通、即ち超緩和の金融政策を実際は云い、「穏健(慎重)」な金融政策というのは、急激な金融の引き締め、高金利政策を意味することであろう。

 言葉は一見やわらかく、穏便な政策であるごとく装っているが、現実は全く違う強烈な金融政策の実行と解釈した方が良いであろう。

 現実に、「適度に緩和的」な金融政策と言って、その結果1兆ドルを遙かに超える外貨を増やしてため込んでしまったのが中国の政策であったのである。

 私は、平成22年(2010年)11月22日の鑑定コラム709) 「中国の金融が要注意だ、中国不動産バブル破裂近いか」で、中国の本格的な金融引締、そしてそれによる不動産価格の大幅下落が到来するであろうという記事を書いたが、2010年12月3日の中国政府の金融政策の転換の発表があった事を知ると、どうもそれらは本格的になりつつあるようだ。


(追記) 平成22年12月4日 午後4時10分
 平成22年12月4日の日本経済新聞の朝刊ヘッドラインのトップニュースは、「中国、金融緩和を終了」のタイトルの記事であった。


 鑑定コラム709 「中国の金融が要注意だ、中国不動産バブル破裂近いか」

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