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709) 中国の金融が要注意だ、中国不動産バブル破裂近いか

 中国人民銀行(中央銀行)が、2010年11月19日に預金準備率を同月29日より50ベイシスポイント(0.5パーセント。1ベイシスポイントは0.01パーセント)引き上げると発表したと、日経の高橋哲史北京特派員が報告する。

 今月10日にも50bpの引き揚げを発表しており、再度の50bpの引き揚げ発表である。

 預金準備率のベイシスポイントの引き揚げ率は分かるが、では現在の中国の預金準備率は如何ほどであるのかと日経は報じ無いことから、国際金融に従事している人はわかっているかもしれないが、国際金融に疎い私などはさっぱり分からない。

 そこでロイター通信で調べたところ、大規模銀行向けのデータが載せられていた。
 次のごとくである。

             発表日          変更幅(bp)     変更後利率%
     2010年11月10日    +50       18.0
     2010年10月11日    +50       17.5
     2010年05月02日    +50       17.0
     2010年02月12日    +50       16.5
     2010年01月12日    +50       16.0

 2010年11月10日に同月16日より、+50bp上げて18.0%とすると発表した。そしてその9日後の11月19日に同月29日より、更に+50bp上げて18.5%とすると発表するのである。

 9日前に、9日後の事が洞察出来なかったのかと云いたくなる。
 中国の叡智が集まっている中央銀行である中国人民銀行ですら、9日先を洞察出来なかったとなると、これは洞察出来ない位、中国国内の経済・金融情勢は混乱していると判断せざるを得ない。

 今年2010年で6回目の預金準備率の引き上げで、その利率は18.5%になった。

 預金準備率とは何かと云うと、各銀行が保有する預金残高に対して、中央銀行に無利子で預ける預金金額の割合をいう。

 例えばある銀行が1兆円の預金残高があったとすると、

       1兆円×0.185 = 1850億円

1850億円を中央銀行に無利子で預けなければならないと云うことである。

 保有預金残高の18.5%が使用出来なく、それに対しても銀行は預金者に預かり利息を払わなければならない。その為には貸し出してその利ざやを稼ぎたいのであるが、18.5%に相当する1850億円のお金は、中央銀行に供出されているために貸出運用出来ないのである。

 お金を貸して、その利ざやで稼いでいる銀行にとっては、この18.5%の預金準備率は甚だ厳しい金融行政である。

 銀行にとって上記のごとくの厳しい金融行政をしなければならないというほど、中国の金融事情はインフレ傾向の異常な状態といえよう。それは人民銀行及び中国の銀行が初めて経験する世界である。

 11月19日フランクフルトで、アメリカFRBのバーナンキ議長が、中国の為替政策を批判する講演を行ったとロイターは伝える。

 バーナンキ議長は、前から「東の国の黒字国」が世界の金融不安の源を作っていると主張しているが、11月19日には、ロイターに依れば次のごとく述べている。

 「黒字を抱かえる国が、自国通貨を過小評価していることで、必要とされる国際的な調整を阻害しており、為替相場がより良く市場ファンダメンタルズを反映していれば起きないはずの問題の波及が発生している」

と述べる。

 そして、更に次のごとく述べる。

 「システム上重要な大国で、かつ恒常的に経常収支が黒字になっている国は、輸出主導型の経済成長を目指す戦略が、世界経済の成長と安定に及ぼす可能性のある影響を考慮に入れない場合、そうした戦略は最終的に成功しない」

と為替政策を批判する。

 要は、アメリカ経済、金融状況がしっかりしていれば、上記のごとくのバーナンキ議長の発言は生じないのだが。

 私は国際金融に明るくない。疎い。

 しかし中国の前記のごとくの異常な預金準備率の引き上げは、中国国内に無秩序といえるほどの人民元の札束が印刷発行され、それが中国経済の一部或いは大部に異常性を与えていることが原因ではなかろうかと推定する。

 中国の北京オリンピックが終わり、それに続いた上海万博も終わった。経済に与えるインパクトの甚だ大きい二大イベントが終わった。

 その二大イベントによって、会場関連の建設等によって、必要以上、むしろ過剰と云うほどに人民元が市場に舞い上がった。

 二大イベントで市場に舞い上がった人民元の多くは、不動産に向かい、不動産価格バブルを発生させた。

 中国人民銀行が、1年間に6度もの急激な預金準備率の引き上げを行った。その行為は尋常では無い。異常である。
 その結果、預金準備率は18.5%の高割合になってしまった。

 この18.5%の高割合は、大幅な金融の引き締めの政策である事を意味する。

 大幅な金融引き締めの向かう矛先は、バブル化した不動産に真っ先に向かう事は当然予測されよう。

 中国沿海部での不動産価格の大暴落が、今後生じるのでは無かろうかと私には思われる。

 そして、その影響は、必ず日本の経済及び日本の不動産の価格にも及んでくる。

 
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