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千代田区霞ヶ関にあるオフィス仲介大手のビルディング企画が、2010年11月の東京主要5区(千代田、中央、港、新宿、渋谷)の事務所賃料を発表した。(2010年12月8日同社ホームページプレスリリース)
共益費込で平均募集賃料は、坪当り20,189円という。
そして27ヶ月連続の下落という。
同社のホームページ発表の東京主要5区の直近1年の事務所平均募集賃料の推移を転載すると、下記の通りである。 単位は坪当りで共益費込みである。
2009年11月 23,048円
2009年12月 22,713円
2010年01月 22,499円
2010年02月 21,938円
2010年03月 21,643円
2010年04月 21,387円
2010年05月 23,374円
2010年06月 21,244円
2010年07月 20,977円
2010年08月 20,895円
2010年09月 20,817円
2010年10月 20,409円
2010年11月 20,189円
直近1年間の変動率は、
2010年11月 20,189円
────── = ────── = 0.889
2009年11月 22,713円
0.889−1= −0.111
-11.1%の下落である。
この下落は共益費込の賃料のものである。
共益費は恐らく変動していなく一定額であろうことから、支払賃料の下落は、上記割合よりも大きいと推定される。
不動産鑑定士の中には、実質賃料に共益費は含まれないと思い込んでいる人がいる。
共益費は実質賃料の外にあると考えているのである。私には全く理解しがたい考え方であるが。
そうした考えの場合、本件ビルディング企画の発表賃料は一体どういう賃料と考えのであろうか。
ビルディング企画の発表賃料は、
支払賃料+共益費
である。
この上記発表賃料に、
保証金の運用益+保証金の償却額
を加えたものが賃貸借の新規賃貸事例としての「実質賃料」である。
即ち共益費は、実質賃料を形成するものである。
共益費は、支払賃料には含まれないが、事務所を借りる人にとっては支払賃料と共に重要な金額のものである。
毎月支払う借賃としてどれ程の金額になるのかを知るためには、共益費は支払い賃料と共に無視出来ない重要なものである。それ故にビルディング企画も、共益費込として賃料を発表しているのである。
上記は、賃貸借の新規賃貸事例の実質賃料の内訳であるが、実質賃料としてもう一つ積算賃料の「実質賃料」というものがある。
積算賃料の実質賃料は、
基礎価格×期待利回り+必要諸経費
で求められる。
当該賃貸事務所ビルの土地建物の価格を中心にして、その不動産から得られる全ての金額を賃料とするものである。
この積算賃料の実質賃料の考え方から考えれば、共益費は実質賃料を形成しないとか、共益費は実質賃料の外にあるという考え方などの発生する余地は無い。
この二つの実質賃料は、原則として理論的には等号で結ばれる値となる。
新規賃貸事例の実質賃料 = 積算賃料の実質賃料
上記式の左右の両賃料は、理論上は同額になるはずであるが、現実には同額にはならなく、金額に差が生じる。これは仕方の無いことである。
但し、その開差は大きいものでは無い。もし両賃料の間に大きな開差が生じた時は、どちらかの求め方が間違っているか、両方の求め方のどこかに間違いがあると推定される。
鑑定コラム214)「共益費は賃料を形成しないのか」
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