○鑑定コラム
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最近ホテルの不動産鑑定で、おかしな鑑定書を見た。
例えば、こうした類の内容の鑑定である。
客室数50室、総定員300人のホテルとする。
一泊の宿泊費は、10,000円とする。
総定員300人で50室であるから、一室6人ということになる。
一室6人ということは、ホテルという名前であるが、和室の部屋ではなかろうかと思われる。
売上高を、
10,000円×6人×50室×365日×0.45(客室稼働率) = 492,750,000円 ≒ 493,000,000円
年間4.93億円の売上高と求める。
一室6人の利用が常にあるわけではなかろう。
一室1人の利用だってある。
一室6人の利用は団体旅行の雑魚寝状態である。
その様なことは、年に何回かはあるであろうが、大半はそんな宿泊状況では無い。
一般的に考えれば、一室2人の宿泊として考えるべきではなかろうか。
として計算すると、
10,000円×2人×50室×365日×0.45(客室稼働率) = 164,250,000円 ≒ 164,000,000円
年間1.64億円の売上高である。
この求め方が、私は妥当と思う。
4.93億円÷1.64億円 = 3.0
鑑定評価額は3倍の水増し価格と云うことになる。
一室6人利用でどうしても考えて計算したいというのであれば、客室稼働率ではなく、定員稼働率を使って求めるべきである。
客室稼働率と定員稼働率の違いとは、どういうものかと云えば、客室稼働率とは、一室を1人で利用しても、或いは定員の6人で利用しても、それは1室の稼働と数えられる率である。
これに比し、定員稼働率とは総定員数に対する利用者数の割合をいうのである。
上記例で云えば、6人部屋の利用数を2人利用で考えるのが妥当であるから、
0.45×2/6 = 0.15
0.15が定員稼働率と云うことになる。
10,000円×6人×50室×365日×0.15(定員稼働率) = 164,250,000円 ≒ 164,000,000円
売上高は1.64億円となり、同じ売上高となる。
1.64億円の売上高で考えるべきものを、4.93億円で考えれば、鑑定評価額は3倍の価格で求められる。
おかしな鑑定書と思った鑑定書は、概略上記のごとくの考えで求められたものであった。
この様な類の不動産鑑定書を書いた不動産鑑定士は、不当鑑定として訴えられ、資格剥奪にならなければよいが。
鑑定コラム965)「2012年8月の神戸ホテル客室稼働率は89.5%」
鑑定コラム1052)「旅館の客室稼働率は35%」
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