積み上げ法期待利回りは、減価償却後の利回りであると主張する不動産鑑定士が顕れた。
期待利回りはリスクによって求められるとの考えから、構成するリスク要因として、投資の危険性、非流動性、管理の困難性というお決まりの文言を並べる。そしてそれらリスクより期待利回りは5.5%であるとする。
リスク数値の根拠は一切ない。
「投資の危険性と云うが、そのリスク数値は、どこからどの様にして求められたのか。」
と問うても、返事は、
「・・・・・・・・・・・」
である。
他のリスク数値の根拠を聞いても、
「・・・・・・・・・・・」
である。
そして、
「当鑑定会社の求めた期待利回りは適正である。」
とのみ繰り返し主張する。
「適正であると主張するならば、記している非流動性等のリスク数値の具体的根拠と算出根拠を説明して、適正であることを立証して欲しい。」
と再度要求しても、答は、
「・・・・・・・・・・」
である。
不動産鑑定士には、提出した不動産鑑定書の説明責任というものがあろう。
説明出来ない内容の不動産鑑定書を書くなと云いたくなる。
質問の内容を変えて、
「賃料評価で使用する期待利回りは、減価償却後の利回りで無ければならないが、あなたの求めた積み上げ法の期待利回りは減価償却前か減価償却後なのか、どちらなのですか。」
と質問したところ、回答書には、
「減価償却後の期待利回りである。」
という回答が来た。
この回答にはぶったまげた。
「おい、不動産鑑定士ょ。
どこの事務所で賃料評価の教えを受けたのか。
賃料評価とはどういうものかわかっているのか。」
と云いたくなってくる。
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