金融庁が担保不動産の鑑定評価について、重要な取扱い方針を主要行に2003年3月14日通知した。(金融庁HPプレスリリース)
主要行というから都市銀行に対してであろうと思われるが、その内容は2つに分かれる。
1つ目は法定鑑定評価の運用の強化と法定鑑定の明確化である。
2つ目は自行評価(子会社評価を含む)の運用の強化である。
重要なものは1つ目の通知内容である。その内容は5つある。下記のごとくである。
@銀行から独立した鑑定業者に依頼すること。
つまり、子会社の鑑定業者には頼むなということである。
Aゴルフ場等特殊な物件の担保評価は、1年に1回は担保評価を見直せ。
B不動産の類型、評価条件、依頼目的は実態を踏まえて依頼せよ。
たとえば借地権付建物でありながら所有権建物で評価するなということなどである。
また、高めに出してくれとか、いくらの価格で出してくれという様な依頼をするなということである。
C法定鑑定とは『不動産鑑定評価基準』(国土交通省事務次官通知)に基づく鑑定評価であり、鑑定評価は、同基準に基づき評価を行ったものである。
D同基準に従っていない簡易な方法の評価は認めない。
巷に横行している、簡易な方法による鑑定評価という名前を借りた「簡易評価」と称する評価は認めないということである。
金融庁の担保評価の厳正な検証を主要銀行に通知した内容は、読めば当たり前のことである。鑑定評価あるいは、鑑定評価依頼する場合には当然すぎる内容のものである。
この当たり前のことを、わざわざ金融庁が通知を出さなければならないとは、今迄当たり前のことが実施されていなかったことと受取らざるを得ない。
@〜Dは逆に読めば、それら行為が横行していたということである。
金融庁の主要銀行への通知は、銀行の不良債権の処理がいっこうに終わらなく、デフレ景気が依然と続く経済の状況に、金融庁の我慢も限界に近づいてきたということであろうか。
私は、主要銀行から担保不動産の鑑定評価の依頼を受けたことはあいにくとないが、同じ不動産鑑定評価を業としている者の一人として、金融庁の通知は鑑定評価を行う側の立場として真摯に受けとめたい。
金融庁の主要行通知の内容は、下記ホームページで確かめられたい。
http://www.fsa.go.jp/
金融庁と不動産鑑定については、下記の記事があります。
鑑定コラム260)「不動産鑑定士は情報に疎い」との叱責
鑑定コラム272)金融庁のある信託銀行への行政処分
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