2013年9月23日よりNHK BS-プレミアムで、火野正平自転車のこころ旅25年秋編が始まった。
北海道稚内を出発点にして、北海道、青森、岩手、秋田、山形、宮城そして福島と自転車は行く。
現在(2013年11月18日)は、福島の旅を終えて、休憩一週間の休みである。
太平洋岸の岩手、宮城、福島は、1年前にも火野正平は訪れている。
東日本大震災の被災地の被災状況は、1年前とあまり変化していない。
「何も変わっていない。」
「記憶が風化して、現状が当り前と思うことが怖い。」
と、言葉少なくつぶやきながら正平は被災地を走る。
一人の若い女性が背中に機械を背負い、茂みから出て来た。
歩きながら放射能の量を調査しているという。
そして云う。
「まだまだですね。」
と。
福島の不動産鑑定士達が、震災後間もない時点に、、福島県下の基準地価格という土地価格の基準とする土地の場所の放射線量を全て量った。
その調査結果と現在の調査結果を比較することによって、放射線量はどれ程減ったのか知ることが出来る。福島県下の踏み込むことが出来なかった地域を除く全ての基準地の放射線量の変化を知ることが出来る。
震災後間もない時点での480地点の放射線量が分かることは、どれ程大切なことか。
時間がたてば経つほど、福島県の不動産鑑定士が2011年7月に調査発表した福島県下480個所の基準地地点の放射線量調査のデータの重要さが分かって来るであろう。
福島県の小野町を訪れる自転車こころ旅があった。
小野中学校の坂とその坂より見た矢大臣という山の景色をこころの風景とする手紙だった。
福島駅から電車で目的地近くの駅まで輪行するのであるが、電車を福島駅で待つ間に、1つの寸劇が、地元の正平ファンの一人のご婦人と火野正平の間で繰り広げられた。
プラットホームに立つ火野正平を見つけたご婦人が、正平に駆け寄り話し掛けようとする。
それを察知した正平は、プラットホームの太い柱に隠れる。柱の反対側まで来たファンのご婦人は、柱から身を乗り出して正平に話し掛ける。
正平は、柱の反対側で隠れるごとく顔を違う方向に出す。
柱の反対側にいるご婦人は、正平に話し掛けようと、顔を正平のいる方に向ける。
正平は逃げるごとく、顔を違う方向に向ける。
柱を挟んで、二人の顔が右左と交互に移動する。
かくれんぼである。
二人の絶妙なかくれんぼを見て、私はそのほほえましさに思わず笑ってしまった。
いい年の男女二人が、子供のごとく駅のプラットホームの1つの柱を挟んでかくれんぼするのである。
ご婦人は、正平に問いかける。
「福島に美しい女性は居ましたか。」
「温泉はいかがでしたか。」
問を語りかけるご婦人を相手に、柱の影に身を隠すかくれんぼという台本の無い茶目っ気寸劇にとっさに仕立て上げた火野正平の演技力に舌を巻く。火野正平は優れた俳優だ。
鑑定コラム783)「福島県の不動産鑑定士の団体は良いことをしている」
鑑定コラム789)「「戻ってこれる福島に!」炎天下、福島の不動産鑑定士放射能を測定中」
鑑定コラム820)「火野正平自転車のこころ旅」
▲