○鑑定コラム
フレーム表示されていない場合はこちらへ
トップページ
田原都市鑑定の最新の鑑定コラムへはトップページへ
前のページへ
次のページへ
鑑定コラム全目次へ
リートバブルのようだ。
日本銀行が、2013年(平成25年)7〜9月の貸出先別貸出金を発表した。
それによると国内銀行の不動産業への新規貸出額は、
不動産業 25,785億円
全産業 100,016億円
である。
平成25年9月直近1年間の新規貸出額は、下記である。(数値は発表当時の金額であり、その後確定数値として変更する場合がある。)
不動産業 2012年10月〜12月 17,701億円
2013年01月〜03月 29,905億円
2013年04月〜06月 18,303億円
2013年07月〜09月 25,785億円
計 91,694億円(9.16兆円)
全産業の新規貸出額は、下記である。
全産業 2012年10月〜12月 86,619億円
2013年01月〜03月 120,867億円
2013年04月〜06月 90,709億円
2013年07月〜09月 100,016億円
計 398,211億円(39.82兆円)
過去の新規貸出額は、次の通りである。単位億円
不動産業 全産業
2009年 69,587 363,458
2010年 77,248 362,400
2011年 76,826 354,047
2012年 82,784 376,616
2012年10月〜2013年9月 91,694 398,211
2009年から2013年9月直近1年間まで、国内銀行の不動産業、全産業への新規貸出額は、両者とも増加している。
2009年から2013年9月まで約4年の間で、全産業の貸出増は3.48兆円(39.82兆円−36.34兆円)である。
そのうち2.21兆円(9.16兆円−6.95兆円)が不動産業が占めている。
これは異常であろう。
2013年9月直近1年間と2012年1年間の金額を取り出して、再記すると下記である。
不動産業 全産業
2012年 82,784 376,616
2012年10月〜2013年9月 91,694 398,211
2012年の金額に比し、2013年9月直近1年間の金額は、
不動産業 +10.8%
全産業 + 5.7%
である。
全産業への新規貸出額より、不動産業への貸出額が甚だ高い。
不動産業へ金が流れ込んでいる。
全産業貸出額に占める不動産業への貸出額の割合は、
91,694
────── = 0.230
398,211
23.0%である。2012年は22.0%であった。
全産業貸出額に占める不動産業への貸出額の割合23.0%は、元気に危険水域を猪突猛進のごとく突き進んでいる。
新規貸出額は25年9月直近1年間で9.16兆円である。10兆円がすぐ近くである。
バブル進行中である。
10兆円に近づく巨額な金は、どこに流れているのか。
不動産業への貸出であるから、不動産業に流れているのは間違い無い。
不動産業と云っても多くの分野がある。
多くの金が流れている分野はどこなのか。
分野の1つとして、Jリートにかなりの金が流れているのでは無かろうかと思われる。
Jリートの団体である一般社団法人不動産証券化協会が、Jリートの投資法人が購入した物件の件数、金額の統計を発表している。
それによると、下記である。総計は田原の計算による。
年 件数 取得金額百万円
2010年 86 545,106
2011年 168 714,408
2012年 211 806,496
2013年1月〜9月 405 1,657,315(1.65兆円)
2013年1月〜9月までの9ヶ月に、Jリートは405件の不動産を購入した。その総額は1.65兆円である。
2012年1年間で211件、8064億円であったから、2013年1〜9月までの数値は驚くべき増加である。
直近1年は、下記である。
年月 件数 取得金額百万円
2012年10月 16 73,679
2012年11月 28 129,051
2012年12月 8 22,722
2013年01月 34 255,811
2013年02月 94 430,237
2013年03月 44 175,138
2013年04月 18 146,224
2013年05月 30 56,739
2013年06月 71 342,417
2013年07月 18 71,227
2013年08月 69 126,926
2013年09月 27 52,596
計 457 1,882,767(1.88兆円)
直近1年間の件数は457件、取得金額は1.88兆円である。2012年が0.8兆円であるから、1年間で1兆円の増加である。
月別では、2013年2月には94件、4302億円の不動産取得が行われている。
アベノミックスに呼応した日本銀行の金融緩和がどれ程凄まじいものかが、具体的数値を見れば分かろう。
前記2013年9月直近の不動産業新規融資額は、9.16兆円であった。
投資法人は不動産購入金額の全額を自己資本で行わない。
レバレッジを効かすことも考え、購入金額の50〜60%は銀行からの借り入れでリート物件を購入する。
不動産業新規融資額9.16兆円のうち、不動産業のJリートの分野に流れたのは、1.88兆円(売却で得た収入、増資による収入もあるが、それらを無視することとする)とすれば、
1.88兆円
─────── = 0.21
9.16兆円
21%がJリートに流れていると判断出来る。
これだけの金額が1年間にJリートに流れ込めば、物件取得の競争が生じて不動産価格バブルが生じる。
現在はリートバブルと云えよう。
さてこれからどういうことになるであろうか。
Jリートの投資法人が購入する1物件当りの価格は、平均で40億円程度である。
1億円、2億円の物件をJリートは購入しない。
また、更地の土地は購入しない。
賃貸建物が建っており、即、賃料収入が得られる不動産しか購入しない。
更地の土地を買い、建物を設計し、賃貸建物を建てると4年間はかかる。そうした時間的ロスがあるものを購入対象にはしない。
鑑定コラム1114)「25年6月直近年間不動産業新規融資額8.8兆円」
鑑定コラム1049)「不動産業への新規融資8.2兆円 要注意だ」
鑑定コラム507)「不動産業の業況の分水嶺は2007年7月だった」
鑑定コラム291)「バブル時に迫る銀行の不動産業への新規貸出額」
鑑定コラム1142)「住宅地の地価の上昇は鈍化か」
鑑定コラム1172)「リートバブルに向かって 9.5兆円の貸出」
鑑定コラム1173)「Jリート業界 我が世の春」
鑑定コラム1176)「住宅地の地価は緩やかに上昇している」
鑑定コラム1192)「銀座の土地の動き」
鑑定コラム1235)「不動産新規融資10兆円を前に足踏み状態」
鑑定コラム1279)「10兆円を越えなくてよかった」
鑑定コラム1280)「Jリートの取得件数、取得金額が大幅に縮小している」
鑑定コラム1312)「リートバブルは峠を越えた」
鑑定コラム1417)「時事通信発不動産融資監視のニュース」
▲
フレーム表示されていない場合はこちらへ
トップページ
前のページへ
次のページへ
鑑定コラム全目次へ