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1141)リートバブルだ

 リートバブルのようだ。

 日本銀行が、2013年(平成25年)7〜9月の貸出先別貸出金を発表した。

 それによると国内銀行の不動産業への新規貸出額は、

              不動産業    25,785億円
              全産業         100,016億円

である。

 平成25年9月直近1年間の新規貸出額は、下記である。(数値は発表当時の金額であり、その後確定数値として変更する場合がある。)

              
      不動産業        2012年10月〜12月        17,701億円
                      2013年01月〜03月        29,905億円
                      2013年04月〜06月        18,303億円
                      2013年07月〜09月        25,785億円
                         計                   91,694億円(9.16兆円)

 全産業の新規貸出額は、下記である。

   全産業     2012年10月〜12月        86,619億円
                      2013年01月〜03月       120,867億円
                      2013年04月〜06月        90,709億円
                      2013年07月〜09月       100,016億円
                         計                  398,211億円(39.82兆円)

 過去の新規貸出額は、次の通りである。単位億円

                          不動産業           全産業
   2009年         69,587      363,458
   2010年         77,248      362,400
   2011年         76,826      354,047
   2012年         82,784      376,616
      2012年10月〜2013年9月   91,694            398,211

 2009年から2013年9月直近1年間まで、国内銀行の不動産業、全産業への新規貸出額は、両者とも増加している。

 2009年から2013年9月まで約4年の間で、全産業の貸出増は3.48兆円(39.82兆円−36.34兆円)である。
 そのうち2.21兆円(9.16兆円−6.95兆円)が不動産業が占めている。
 これは異常であろう。

 2013年9月直近1年間と2012年1年間の金額を取り出して、再記すると下記である。

                          不動産業           全産業
   2012年         82,784      376,616
      2012年10月〜2013年9月   91,694            398,211

 2012年の金額に比し、2013年9月直近1年間の金額は、

         不動産業   +10.8%
                  全産業    + 5.7%

である。

 全産業への新規貸出額より、不動産業への貸出額が甚だ高い。
 不動産業へ金が流れ込んでいる。

 全産業貸出額に占める不動産業への貸出額の割合は、

                  91,694
              ────── = 0.230                                
                 398,211

23.0%である。2012年は22.0%であった。

 全産業貸出額に占める不動産業への貸出額の割合23.0%は、元気に危険水域を猪突猛進のごとく突き進んでいる。
 
 新規貸出額は25年9月直近1年間で9.16兆円である。10兆円がすぐ近くである。
 バブル進行中である。

 10兆円に近づく巨額な金は、どこに流れているのか。

 不動産業への貸出であるから、不動産業に流れているのは間違い無い。
 不動産業と云っても多くの分野がある。
 多くの金が流れている分野はどこなのか。

 分野の1つとして、Jリートにかなりの金が流れているのでは無かろうかと思われる。

 Jリートの団体である一般社団法人不動産証券化協会が、Jリートの投資法人が購入した物件の件数、金額の統計を発表している。

 それによると、下記である。総計は田原の計算による。

            年             件数          取得金額百万円

     2010年    86       545,106      2011年    168       714,408      2012年    211       806,496      2013年1月〜9月 405      1,657,315(1.65兆円)

 2013年1月〜9月までの9ヶ月に、Jリートは405件の不動産を購入した。その総額は1.65兆円である。

 2012年1年間で211件、8064億円であったから、2013年1〜9月までの数値は驚くべき増加である。

 直近1年は、下記である。

            年月           件数          取得金額百万円

     2012年10月   16        73,679      2012年11月   28        129,051      2012年12月   8        22,722      2013年01月   34        255,811      2013年02月   94        430,237      2013年03月   44        175,138      2013年04月   18        146,224      2013年05月   30         56,739      2013年06月   71        342,417      2013年07月   18        71,227      2013年08月   69        126,926      2013年09月   27        52,596 計 457 1,882,767(1.88兆円)

 直近1年間の件数は457件、取得金額は1.88兆円である。2012年が0.8兆円であるから、1年間で1兆円の増加である。

 月別では、2013年2月には94件、4302億円の不動産取得が行われている。

 アベノミックスに呼応した日本銀行の金融緩和がどれ程凄まじいものかが、具体的数値を見れば分かろう。

 前記2013年9月直近の不動産業新規融資額は、9.16兆円であった。

 投資法人は不動産購入金額の全額を自己資本で行わない。
 レバレッジを効かすことも考え、購入金額の50〜60%は銀行からの借り入れでリート物件を購入する。

 不動産業新規融資額9.16兆円のうち、不動産業のJリートの分野に流れたのは、1.88兆円(売却で得た収入、増資による収入もあるが、それらを無視することとする)とすれば、

           1.88兆円
                 ─────── = 0.21                            
                      9.16兆円

21%がJリートに流れていると判断出来る。

 これだけの金額が1年間にJリートに流れ込めば、物件取得の競争が生じて不動産価格バブルが生じる。

 現在はリートバブルと云えよう。
 さてこれからどういうことになるであろうか。

 Jリートの投資法人が購入する1物件当りの価格は、平均で40億円程度である。
 1億円、2億円の物件をJリートは購入しない。

 また、更地の土地は購入しない。

 賃貸建物が建っており、即、賃料収入が得られる不動産しか購入しない。

 更地の土地を買い、建物を設計し、賃貸建物を建てると4年間はかかる。そうした時間的ロスがあるものを購入対象にはしない。


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