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2013年12月20日の日経産業新聞に、改修戸建住宅の中古住宅の販売記事が載っていた。
不動産大手業者の日本土地建物株式会社が、小田急電鉄新百合ヶ丘の駅に近い上麻生住宅地の自社所有の賃貸戸建住宅(築10年程度)46戸を、順次改修して売り出すという記事であった。
改修費は1戸当り500万円程度掛けるとのことである。
土地面積は220u程度である。
価格は、新築より2〜3割安い7500万円程度という。
建物1戸当りの面積を、持家戸建住宅の平均面積の120uとすると、改修工事費単価は、
5,000,000円÷120≒41,700円
u当り41,700円である。
坪当りでは、
41,700円×3.30578≒138,000円
13.8万円である。
1戸当り500万円の改修費用を掛けるとすると、それはかなりの金額であり、改修出来映えはほぼ新築に等しい状態になるのではなかろうか。
それで価格は、新築より2〜3割安いということである。
新築にほぼ等しい状態であるのに、新築価格よりも何故2〜3割も安くなるのか。
考えれば不思議なことであるが、ここに日本人の価値判断思考の一面が現れている。
日本人の異常とも云える潔癖症が、その価値判断に影響を与えている。
他人が一度使ったものを自分は使いたくないという潔癖症である。
これは新品好みの感情であるが、感情の段階を越えてむしろ思想と云うものまでに昇華しているのではないかと思いたくなる現象である。
建物を購入する場合、新築住宅にこだわり、中古住宅を甚だ嫌う。
そのことは、国土交通省の調査にも、はっきりと現れている。
国交省の『住生活総合調査』(平成20年)の「今後の住まいに関する動向」の調査で、購入する住まいは新築、中古住宅どちらなのかについては、下記の結果がでている。
新築住宅 51.5%
中古住宅 2.3%
特にこだわらない 34.5%
不明 11.7%
中古住宅で良いという人は、僅かに2.3%しかいない。
新築住宅希望は51.5%であり、圧倒的に新築希望である。
こうした日本人のものの考え方があるため、新築価格に対して、5%とか10%程度の安い価格の設定では、中古住宅を買おうという人は現れないのである。
中古住宅の購入動機を持たせるには、新築価格に対して2〜3割安くしないと買主が現れ無いということである。
日本土地建物の上麻生住宅の中古住宅の販売価格は、日本人の新築住宅、中古住宅に対する考え方を見事に反映している具体的事象と捉えることが出来る。
改修工事費に坪当り13.8万円も掛けるのであれば、建物を解体撤去して、更地で売却しても良いではないのかという判断も成り立つが、一方で、築10年の建物を解体撤去してよいのかという考えも発生してくる。
鑑定コラム221)「新築中古」
鑑定コラム1598)「中古マンション価格が新築マンション価格を上回る?」
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