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1270) 地価の変動と地代の変動は比例していない

 平成バフルがはじけた平成4年以降、東京の土地価格は下落したが、東京の地代は下落せず上がり続けた。

 このため、地代の増減額裁判において、

 「地価が下がっているのであるから、地代も下がってよいではないのか。
 何故地代増額の判決がなされるのか。
 何故地代増額の鑑定評価となるのか。」

という質問を、弁護士や関係者から多く耳にしてきた。

 東京の土地価格と東京の地代は、平成バブル以前は密接な関係にあったが、その密接な関係は、平成バブルによって断ち切られてしまった。

 現在は、地代と地価とは相関関係はほとんどないと云ってもよい。

 地代と密接な関係があるのは、固定資産税、都市計画税の公租公課である。

 公租公課は地価が下落しても上がり続けた。
 地代もそれに比例するごとく上がりつづけた。

 平成9年頃になって都内の公租公課が下がり始めた。
 それにともない地代も平成15年頃から下がり始めた。

 地代の増減に影響するのは、公租公課が大きなウエイトを占め、地価との相関関係は弱い。

 地価と地代の関係が比例関係でなく、相関関係も弱いと云うことを、データ分析で下記に示すことにする。

 地価は、東京23区地価公示地の住宅地の平均価格である。数値は東京都財務局による。

 地代は、税理士であって不動産鑑定士でもある人々の団体である日税不動産鑑定士会が、3年毎に調査発表している『継続地代の実態調べ』の23区住宅地の平均地代である。

 日税不動産鑑定士会の地代は、商業地は、高度商業地と普通商業地の2つに分かれているが、地価公示の土地価格は、商業地がひとくくりとして発表されている。高度商業地価格、普通商業地価格と区分されていない。それ故、商業地の地価と地代の関係は分析出来ない。

 そのため、住宅地の地代、住宅地の地価で分析する。


元号 23区住宅地代 円/坪 23区住宅地価 円/u
昭和57 445 229000
60 545 399800
63 606 1361400
平成 3 713 1293700
6 929 677100
9 1078 525400
12 1070 467700
15 1135 443000
18 1123 454900
21 1107 530500
24 1110 484000


 上記数値をグラフ化したのが下図である。

23区住宅地代と地価


 地価と地代とは連動していないことが、上記グラフを見れば理解出来よう。

  鑑定コラム1261)「東京都財務局の土地価格データ」

  鑑定コラム1356)「地代と公租公課の関係」

  鑑定コラム1889)「浅生横浜地代判決(東京高裁 平成14年10月22日)」


  

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