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1275)不動産業の業況が少しおかしいぞ

 財務省の財務総合研究所が発行している『法人企業統計季報』平成26年4〜6月版によれば、不動産業の平成25年度の売上高は、

    平成25年4月〜6月     7,669,802百万円
    平成25年7月〜9月     8,028,188百万円
    平成25年10月〜12月    7,454,711百万円
    平成26年1月〜3月     8,270,798百万円
              計         31,423,499百万円
 
31兆4234億円である。

 平成24年度の売上高は、32兆6816億円であった。

 平成25年度と平成24年度の増減率を見ると、

                  31兆4234億円
                ───────  = 0.962                           
                  32兆6816億円

平成25年度の売上高は、前年度より▲3.8%減じている。

 両年の第1四半期の売上高を見ると、

    平成25年4月〜6月     7,669,802百万円(65.387百万円)
    平成26年4月〜6月     6,906,744百万円(59.315百万円)

である。( )内は、不動産業者一社当り売上高である。

 平成26年4月〜6月は、前年度同期より、

                6,906,744百万円
             ─────────  = 0.900                          
                7,669,802百万円

▲10%減じている。

 不動産業者一社当り売上高では、

                 59.315百万円
             ─────────  = 0.907                          
                  65.387百万円

▲9.3%の減である。

 不動産業の雄である三井不動産と三菱地所の平成26年3月期と平成27年3月期の第1四半期の売上高を、決算短信のプレスリリースから見ると、下記である。単位百万円


                  25年4月〜6月a      26年4月〜6月b     変動率b/a

  三井不動産  284,450 329,863 1.16   三菱地所  227,832 204,147 0.90

 三井不動産は、平成26年4月〜6月の売上高は、対前年同期に比し、+16.0のアップである。

 三菱地所は、−10%のダウンである。

 現在、日本銀行が、ジャブジャブとお金を市場に振りまいている。

 そして、その金が不動産に廻り、都心商業地の地価は、リートバブルで値上がりが激しい。

 それら経済現象から、不動産業は、現在景気がよいのでは無いのかと思ってしまう。

 しかし、雄の一つである三菱地所の平成26年4月〜6月の売上高は、対前年同期比で−10%のダウンである。

 財務省の前掲法人企業統計でも、不動産業の売上高は、平成25年度は、対前年度比で−3.8%のダウンである。
 平成26年4月〜6月では、対前年同期比で−10%のダウンである。一社当りでは、−9.3%のダウンである。

 「日銀の低金利超超金融緩和は、東京等の巨大都市に潤いをもたらしているかもしれないが、地方にはその恩恵は行き渡っていない。

 リートバブルで我が世の春を謳歌しているのは、東京等の大手不動産会社のみであり、地方の不動産業者には、リートバフルは関係ない。」

と云う反論がなされるであろう。

 地方の不動産業者には、日銀の低金利超超金融緩和は、あまり実感として感じないという主張は、うなずける。

 日銀の低金利超超金融緩和とリートバブルで潤っていると思われる東京のど真ん中で営業している三菱地所が、26年4月〜6月が売上高減というのが、解せないのである。

 不動産業の業況は少しおかしい。



****追記 2014年11月22日 不動産業の業況が少しおかしいぞ 2  鑑定コラム1278転載

 前記鑑定コラム1275)「不動産業の業況が少しおかしいぞ」で、不動産業の雄の一つである三菱地所の2014年4〜6月の売上高が、前年同期に比し10%減と記した。

 三菱地所の2014年4月〜9月の売上高が、決算短信でプレスリリース(2014年10月31日発表)された。

 その数値を見ると、三菱地所の業績は回復していない。下記である。

    27年3月期第2四半期売上高      438,521百万円
    26年3月期第2四半期売上高      481,001百万円

 増減率は、

               438,521百万円
            ─────────  = 0.912                           
               481,001百万円

▲8.8%の減少である。

 この調子では、三菱地所の年間売上高は、単純に2倍すれば、大台の1兆円を切りそうである。

 一方、三井不動産は、逆にすこぶる好調である。

 発表された三井不動産の決算短信(2014年11月6日発表)によれば、下記である。

    27年3月期第2四半期売上高      748,001百万円
    26年3月期第2四半期売上高      636,151百万円

 増減率は、

               748,001百万円
            ─────────  = 1.176                           
               636,151百万円

17.6%の増加である。

 三井不動産の年間売上高は、単純に2倍すれば、1.5兆円になりそうである。

                鑑定コラム1278転載



****追記 2014年11月23日 10兆円を越えなくてよかった  鑑定コラム1279転載

 不動産業者の新規融資が、10兆円を越えなくてよかった。

 日本銀行が、2014年11月19日に、業種別貸出先別貸出額(四半期 9月)を発表した。

 国内銀行の2014年7月〜9月の不動産業の新規貸出額は、

                   25,410億円(2兆5410億円)

であった。全体貸出額は10.3041兆円であり、不動産業の占める割合は、24.7%である。

 2013年10月〜2014年9月までの不動産業への1年間の貸出額は、

    2013年10月〜12月      21,495億円
        2014年1月〜3月              31,334億円
        2014年4月〜6月              18,135億円
        2014年7月〜9月              25,410億円
            計           96,374億円

9.63兆円である。

 10兆円の手前で足踏みしている。

 貸出す銀行は、本能的に融資額全体が危険水域に入っていると感じているのか知らないが、不動産業への融資にためらいが生じていると思われる。

 それは、当該四半期を含めた直前1年間の不動産業への融資額の推移を見れば、それが伺える。

    2013年1月〜2013年12月   95,488億円
        2013年4月〜2014年3月       96,917億円
        2013年7月〜2014年6月       96,749億円
        2013年10月〜2014年9月      96,374億円

 2014年3月の9.69兆円をピークにして、当該四半期を含めた直前1年間の融資額は、少しずつ減少している。

 2014年10月〜12月の融資額が増えれば、10兆円を超えるのではないのかと云う疑問が生じる。

 しかし、過去の経緯から見ると、10月〜12月の年第4四半期の融資額は、7月〜9月の年第3四半期の金額を超えていない。

 このことから、年の第4四半期の金額が、年の第3四半期の金額をこえることは無いと判断される。

 それは、下記のとおりである。

     2011年7月〜9月     19,925億円(評点100)
          2011年10月〜12月        18,603億円(評点93.4)

     2012年7月〜9月     22,755億円(評点100) 2012年10月〜12月 17,701億円(評点77.8)
     2013年7月〜9月     25,785億円(評点100) 2013年10月〜12月 21,495億円(評点83.4)

 第4四半期の貸出額は、第3四半期の貸出額の0.778〜0.934である。

 このことから2014年10月〜12月の貸出額は、

      25,410億円×(0.778〜0.934)=19,767億円〜23,733億円

と推定される。

        2014年1月〜3月              31,334億円
        2014年4月〜6月              18,135億円
        2014年7月〜9月              25,410億円
             小計                   74,879億円

 2014年1月〜12月の1年間の貸出額は、

      74,879億円+(19,767億円〜23,733億円)=94,646億円〜98,612億円

となり、10兆円を超す事はない。

 リートバブルは、破裂せずに、このままゆっくりと幕を閉じて行って欲しい。

                鑑定コラム1279転載



****追記 2014年11月27日 不動産業の業況が少しおかしいぞ 3  新築マンション価格 鑑定コラム1281転載

 新築分譲マンション価格について分析する。

 不動産情報会社の株式会社不動産経済研究所(東京新宿区 社長橋幸男氏)の『首都圏のマンション市場動向』によれば、東京区部の新築分譲マンションの月ごとの発売価格の平均は、下記である。

 
            年月              1戸平均価格万円     u当り万円

   2013年(平成25年)1月    5,154    79.8    2013年(平成25年)2月    5,050    79.7    2013年(平成25年)3月    5,880    88.3    2013年(平成25年)4月    5,809    83.9    2013年(平成25年)5月    5,824    87.9    2013年(平成25年)6月    5,669    85.4    2013年(平成25年)7月    5,904    86.8    2013年(平成25年)8月    5,701    81.7    2013年(平成25年)9月    5,893    87.0    2013年(平成25年)10月    5,805    86.8    2013年(平成25年)11月    5,754    85.4    2013年(平成25年)12月    6,445    92.1

 20131月〜11月までは、1戸当り価格5000万円台で推移して来たものが、12月になると6000万円台になる。

 u当り単価も、79万円〜87万円の間で推移していたものが、90万円になった。 2013年12月は、特異な価格を形成した。

 2014年1月以降の価格は、下記である。

            年月              1戸平均価格万円     u当り万円

   2014年(平成26年)1月    5,289    79.5    2014年(平成26年)2月    6,381    91.7    2014年(平成26年)3月    6,186    91.7    2014年(平成26年)4月    5,752    90.0    2014年(平成26年)5月    5,850    84.3    2014年(平成26年)6月    5,701    86.4    2014年(平成26年)7月    6,244    89.7    2014年(平成26年)8月    7,181    99.0    2014年(平成26年)9月    5,837    84.2    2014年(平成26年)10月    5,338    77.7

 消費税が、2014年4月1日より5%から8%になった。

 マンションの価格のうち、建物価格の部分に消費税がかかる。
 2013年12月の価格は、駆け込み消費税の影響と思われる。

 2014年2月、3月の価格は消費税5%の価格なのか、8%の価格なのか分からない。2014年3月末日までに引渡のマンションならば、消費税5%の価格であるが。

 消費税の駆け込み需要によって、2014年4月以降は、その反動でマンション販売は落ち込むと云われていた。

 2014年4月、5月、6月の価格を見ると、事実落ち込んでいると判断できる。

 しかし2014年7月、8月の価格上昇、10月の価格を見ると、これは何と思ってしまう。

 2014年8月の数値は、

           一戸価格     7,181万円
           u単価               99万円

一戸価格、u単価は、今迄の最高価格である。

 2014年10月の数値は、

           一戸価格     5,837万円
           u単価             77.7万円

である。

 2014年10月の数値は、最高値の2014年8月の価格に比して、

           一戸価格     ▲18.7%
           u単価            ▲21.5%

のダウンである。

 価格の下落が激しすぎる。

 前掲株式会社不動産経済研究所が発表している発売1ヶ月の契約率を見ると、2014年1月以降は、下記である。

   2014年(平成26年)1月    88.0%
   2014年(平成26年)2月    84.8%
   2014年(平成26年)3月    75.2%
   2014年(平成26年)4月    81.9%
   2014年(平成26年)5月    77.5%
   2014年(平成26年)6月    77.1%
   2014年(平成26年)7月    86.5%
   2014年(平成26年)8月    72.7%
   2014年(平成26年)9月    79.1%
   2014年(平成26年)10月    71.5%

 契約率は、下がり傾向にある。
 2014年10月は71.5%で、70%に近づいている。

 2014年8月以降の激しい価格下落と発売1ヶ月の月間契約率とより検討すると、新築分譲マンションの価格は、ピークを付けたのではなかろうかと私には思われる。

               鑑定コラム1281転載



****追記 2014年11月29日 Jリートの取得件数、取得金額が大幅に縮小している 鑑定コラム1280転載

 今年(2014年)の春頃だったか、Jリート投資法人を運営する会社の幹部と話す機会があった。

 その時、都心の物件が高くなりすぎて、購入を控えていると云っていた。

 その言葉が気になっていたが、Jリートについて分析する時間がなかった。

 およそ1年振りとなるが、Jリートについて分析してみる。

 Jリートが、2014年1月以降に取得しているリート物件数、取得価格が、前年より大幅に減少している。

 2014年1月〜10月までに、Jリートが取得した物件数、取得価額は、Jリートの団体である一般社団法人不動産証券化協会が発表するデータによれば、件数は298件、取得金額は1.2466兆円である。下記である。

            年月           件数          取得金額百万円

     2014年01月   11        52,880      2014年02月   70       201,932      2014年03月   33       179,933      2014年04月   40       155,899      2014年05月   39        83,548      2014年06月   15       94,917      2014年07月   26       67,087      2014年08月   16       80,134      2014年09月   28       160,811      2014年10月   20       169,530 計 298 1,246,671

 過去の件数等は、下記である。

 
            年                件数         取得金額百万円

     2010年       86       545,106      2011年       168       714,408      2012年       211       806,496      2013年        521      2,294,691 2013年11月〜2014年10月 367 1,632,605

 2013年11月から2014年10月までの直近1年の具体は、下記である。

     2013年11月         38        243,050
     2013年12月         31        142,884
     2014年01月         11        52,880
     2014年02月         70        201,932
     2014年03月         33        179,933
     2014年04月         40        155,899
     2014年05月         39         83,548
     2014年06月         15         94,917
     2014年07月         26         67,087
     2014年08月         16         80,134
     2014年09月         28        160,811
     2014年10月         20        169,530
             計              367            1,632,605

 2014年10月直近1年間は、2013年に比して、

                件数     ▲30%
        取得金額     ▲29%

である。

 Jリートの取得金額の国内銀行の不動産業融資額に占める割合を分析してみる。売却で得た収入、増資による収入もあるが、それらを無視することとする。

 国内銀行の不動産業融資額は、日本銀行の発表数値を採用する。

      期間    Jリート取得金額a    不動産業融資額b    割合a/b

2012年10月〜12月 2254億円 1兆7701 0.127 2013年1月〜3月 8611 2兆9905 0.288 2013年4月〜6月 5453 1兆8303 0.297 2013年7月〜9月 2507 2兆5785 0.097 2013年10月〜12月 6373 2兆1495 0.296 2014年1月〜3月 4347 3兆1334 0.139 2014年4月〜6月 3343 1兆8135 0.184 2014年7月〜9月 3080 2兆5410 0.121

 不動産業融資額に占めるJリートの取得金額割合が、急激に縮小している。

 2013年1月〜3月のJリート取得額の不動産業融資額に占める割合は、28.8%である。

 Jリート取得額の不動産業融資額に占める割合が、20%を越える状況を見て、一年前に、鑑定コラム1141)「リートバブルだ」(2013年11月21日発表)の記事を書いたのである。

                                      鑑定コラム1280転載



****追記 2014年11月30日 不動産業の業況が少しおかしいぞ 4  土地総研と野村アーバン 鑑定コラム1282転載

 DI値分析を見る。

 野村不動産アーバンネット株式会社(東京新宿区 社長宮島青史氏)が、平成26年10月7日に、平成26年10月1日時点の東京23区住宅地67地点の土地価格を発表した。

 それによると、直近3ヶ月間(平成26年7月1日〜10月1日) の地価変動率は、

                      +1.3%

である。直近1年間は、+4.0%である。

 ここで、

     業況が良い = 土地価格が上昇している
     業況は同じ = 土地価格は同じ
     業況が悪い = 土地価格は下落している

とみなして、野村不動産アーバンネット発表土地価格より、土地価格DI値を算出する。

 平成26年7月1日〜10月1日の間の地価変動の状況は、下記である。

           上昇         30地点
           価格同じ          37地点
           下落        0地点

 土地価格DI値を求めると、

               30−0
           ───── ×100 = 44.8                               
                67

+44.8である。

 過去の分析された土地価格DI値は、下記である。

     2012年 4月    ▲15.5
    2012年 7月    ▲20.7
    2012年10月    ▲8.6
    2013年 1月      0.0
    2013年 4月      29.3
    2013年 7月      46.6
    2013年10月      15.5
        2014年 1月         41.4
        2014年 4月         22.4
        2014年 7月         20.7
        2014年10月         44.8

 2013年1月にDI値が0.0になった以後、野村不動産アーバンネット調査の土地価格から分析される土地価格DI値は、プラスである。

 一方、国土交通省の関係団体である一般財団法人土地総合研究所(東京港区 理事長藤田博隆氏)は、2014年11月19日に、平成26年10月分の『不動産業業況調査結果』を発表した。

 不動産流通業(住宅地)の業況DI値は、

                 −6.8

と発表した。マイナスのDI値となった。

 過去の不動産流通業(住宅地)の業況DI値は、下記である。

      平成24年10月     −20.8
           平成25年1月            −5.3
           平成25年4月       16.4
           平成25年7月       12.5
           平成25年10月       2.4
           平成26年1月        9.1
           平成26年4月        6.7
           平成26年7月        0.7
           平成26年10月      −6.8

 プラスのDI値の状況から、0を切ってマイナスのDI値になるということは、業況は、ピークを過ぎて下降傾向に入ったということである。

 過去の不動産流通業(住宅地)の業況DI値の動きと、土地価格の動きとは、ほぼ連関している。

 このことから、土地価格はピークを過ぎて下落していると云うことを示す。

 土地総研のアンケート調査の結果では、土地価格はピークを過ぎて下落傾向になったことを示すが、野村不動産アーバンネットの土地価格調査では、半分近くの土地の価格が、3ヶ月で1.3%と僅かであるが上昇している。

 2つの調査から土地価格は、同じ方向を向いていなく、相反する方向を示す。

 この状況は、土地価格はせめぎ合いをしている状況と思われる。

 私は、土地総研の調査結果を重視し、現在の土地価格即ち土地価格のリートバブルは、ピークを過ぎたと判断する。

                                      鑑定コラム1282転載
  

  鑑定コラム1278)
「不動産業の業況が少しおかしいぞ 2」

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  鑑定コラム1307)「不動産業の業況が少しおかしいぞ 6  日銀不動産業DI値」

  鑑定コラム1312)「リートバブルは峠を越えた」


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