不動産鑑定評価において、収益還元法の必要諸経費、積算賃料の必要諸経費の中に火災保険料という項目がある。
裁判においては、必要諸経費は、原則として証拠に基づく実額数値で無ければならない。
それ故、裁判の訴訟案件の場合には、建物所有者に、支払っている火災保険料の実額のコピーの提出を求め、その金額を使用している。
コピー提出が無い場合には、再調達原価の1/1000を火災保険料として計上している。
しかしそれでよいであろうか。
著書の改定版を出すにあたり、調べて見た。
損害保険協会のホームページを見ても、火災保険料の料率については、全く公表していない。
損害保険料算定機構のホームページには、火災保険料についてゴチャゴチャ述べているが、こちらが知りたい料率については口を濁らせ述べない。
保険会社と保険を掛ける当事者とが、相対で決めよという考えのようである。
損害保険料算定機構のホームページをあちこち見ていたら、平成25年度の保険統計を発表していた。この数値から火災保険料率が求められるのではなかろうかと思い、計算してみた。下記である。
(新契約住宅物件) 構造 件数 保険金額(百万円) 保険料(千円) M 1,196,542 21,855,797 14,176,187 T 984,359 12,360,636 13,918,871 H 2,149,608 32,131,181 61,051,059
(新契約一般物件) 1 級 738,169 118,963,453 66,518,072 2 級 1,018,556 46,403,533 66,951,310 3 級 893,322 25,169,735 52,290,828
14,176,187 ──────── = 0.00065 ・・・・0.06% 21,855,797,000
住宅M構造 0.06% 住宅T構造 0.11% 住宅H構造 0.19% 一般1級 0.05% 一般2級 0.14% 一般3級 0.21%