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1437) 火災保険料率はどれ程か

 不動産鑑定評価において、収益還元法の必要諸経費、積算賃料の必要諸経費の中に火災保険料という項目がある。

 裁判においては、必要諸経費は、原則として証拠に基づく実額数値で無ければならない。

 それ故、裁判の訴訟案件の場合には、建物所有者に、支払っている火災保険料の実額のコピーの提出を求め、その金額を使用している。

 コピー提出が無い場合には、再調達原価の1/1000を火災保険料として計上している。

 しかしそれでよいであろうか。

 著書の改定版を出すにあたり、調べて見た。

 損害保険協会のホームページを見ても、火災保険料の料率については、全く公表していない。

 損害保険料算定機構のホームページには、火災保険料についてゴチャゴチャ述べているが、こちらが知りたい料率については口を濁らせ述べない。

 保険会社と保険を掛ける当事者とが、相対で決めよという考えのようである。

 損害保険料算定機構のホームページをあちこち見ていたら、平成25年度の保険統計を発表していた。この数値から火災保険料率が求められるのではなかろうかと思い、計算してみた。下記である。

 (新契約住宅物件)
      構造        件数       保険金額(百万円)     保険料(千円)
       M       1,196,542      21,855,797          14,176,187
       T         984,359      12,360,636          13,918,871
       H       2,149,608      32,131,181          61,051,059

 (新契約一般物件) 1 級 738,169 118,963,453   66,518,072 2 級 1,018,556 46,403,533   66,951,310 3 級 893,322 25,169,735   52,290,828

 保険料を保険金額で割れば、火災保険料率が求められることになる。その様にして火災保険料率を求める。

 例えば、住宅のM構造(注)の料率は、次のごとく求める。

                     14,176,187
                ────────  = 0.00065   ・・・・0.06%   
                  21,855,797,000

 以下同様にして求めると、下記料率である。

       住宅M構造                0.06%
       住宅T構造                0.11%
       住宅H構造                0.19%
              一般1級                  0.05%
              一般2級                  0.14%
              一般3級                  0.21%

 (注)

  住宅M構造  コンクリート造建物、コンクリートブロック造建物、れんが造建物、石造建物及び耐火建築物の共同住宅建物

  住宅T構造  鉄骨造建物、コンクリート造建物、コンクリートブロック造建物、れんが造建物、石造建物及び耐火建築物、準耐火建築物、省令準耐火建築物で共同住宅建物以外のもの

  住宅H構造  上記以外の建物

  一般1級   コンクリート造建物、コンクリートブロック造建物、れんが造建物、石造建物、耐火被覆鉄骨造建物および耐火建築物

  一般2級   鉄骨造建物、準耐火建築物及び省令準耐火建築物

  一般3級   上記以外の建物


 分かり難い区分であるが、住宅M構造はコンクリート造の共同住宅、住宅T構造とはコンクリート造、鉄骨造の戸建住宅、住宅H構造とは木造の建物を云うようである。

 今迄使っていた1/1000、即ち0.1%の数値は、あながち間違いであるとは云えないが、しかし、構造別によって火災保険料率を変えた方が、より適正であると思われる。

(著書『賃料<地代・家賃>評価の実際』(プログレス発行 電話03-3341-6573)の改訂版の原稿を現在執筆中であるが、その中から一部を転載)


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