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1441) 居宅の家賃水準と収入家賃割合

 住宅には店舗のごとく売上高や工場の製品売上高は無い。住宅の家賃に売上高に対する家賃割合を当てはめることは出来ない。

 住宅の場合は、居住者の収入が強いていえば尺度になるが、店舗の売上高に対する家賃割合のごとく、収入と家賃の間に明確な割合関係は無い。

 収入に応じて家賃が決められているのは、住宅政策として行われている公営住宅の家賃である。それとて入居時の入居基準のみであって、毎年収入によってその都度家賃が変動するものではない。

 民間の賃貸住宅では、収入に応じて家賃は決められていない。結果から見れば高い家賃の住宅には、その家賃を支払えるだけの高収入の人が居住していることになっているだけである。

 総務省が5年ごとの調査の『平成25年住宅・土地統計調査』を発表した。

 その中の借家の所有別賃料と収入別賃料について述べる。月額家賃は家賃0円を含まない家賃のデータを使用する。

@ 借家の所有別賃料  東京

イ.  東京                   戸数              月額家賃

   借家全体       3,089,800戸     78,505円 公営の借家   268,000戸 27,682円    UR・公社の借家  232,200戸 86,690円 民営木造借家   587,600戸 69,475円    民営非木造借家   1,835,800戸 90,631円    給与住宅   166,200戸 48,174円

 民営非木造借家、つまり賃貸マンションの賃料を100とすると、各所有別の賃料は、下記である。

                  民営非木造借家     100.0
                  民営木造借家             76.7
                  公営の借家               30.5
                  UR・公社の借家           95.7
                  給与住宅                 53.2

 上記データから、木造アパートの賃料は、賃貸マンションの賃料に比して、約77%、23%安いということになる。
 逆に云えば、賃貸マンションの賃料は、木造アパートの賃料よりも

                          100.0
                        ───  = 1.303                            
                           76.7

30%高いということである。

ロ 全国借家の所有別賃料

 全国の所有別賃料は、下記である。

                              戸数               月額家賃

   借家全体       18,408,000戸     55,162円 公営の借家  1,957,800戸 22,913円    UR・公社の借家  855,200戸 67,005円 民営木造借家   4,316,700戸 52,701円    民営非木造借家   10,175,900戸 63,603円    給与住宅  1,102,400戸 33,570円

ハ 全国と東京の賃料の比較

 東京の賃料を100として、全国の賃料を比較すると、下記である。

                             東京           全国

借家全体       100 70.3 公営の借家 100 82.8 UR・公社の借家 100 77.3 民営木造借家   100 75.9 民営非木造借家 100 70.2 給与住宅 100 70.0

 東京の家賃は、全国平均よりも2〜3割高い。

A 月額収入と家賃

 東京の月額収入と家賃を、同じく総務省の『平成25年住宅・土地統計調査』より検討する。(家賃0円を含まない)

イ 借家全体

               年収                      月額賃料

      100万円以下         55,410円 100〜200万円 57,410円 200〜300万円 67,076円 300〜400万円 76,376円 400〜500万円 83,879円 500〜700万円 92,089円 700〜1000万円 106,106円 1000〜1500万円 131,640円 1500〜2000万円 176,779円 2000万円超 278,195円

 年収が多くなると、賃借している建物の月額賃料も高い賃料を支払っている。
 このことは、収入の多い人ほど、高い家賃の借家、つまり良好な住宅に住んでいるということを示す。

ロ 年収に占める家賃割合

 年収ゾーンの計算の基礎となる収入は、ゾーンの中間値とする。

 例えば、100〜200万円の収入の場合、(100+200)÷2=150万円とする。
 100万円以下は、100万円とする。
 2000万円超は、2000万円〜3000万円の中間の2500万円とする。

 賃料は、月額賃料×12とした年額とする。

 例えば、100〜200万円の場合、計算収入は150万円で、賃料は57,410円×12=688,920円である。

                    688,920
                 ─────  = 0.459                               
                   1,500,000

0.459と求める。

 以下同様にして求めると、収入家賃割合の一覧は下記である。

                収入                    家賃割合

100万円以下         0.665 100〜200万円 0.459 200〜300万円 0.322 300〜400万円 0.262 400〜500万円 0.224 500〜700万円 0.184 700〜1000万円 0.150 1000〜1500万円 0.126 1500〜2000万円 0.121 2000万円超 0.134

 収入家賃割合25%は、年収400万円前後の人の割合と云える。

(著書『賃料<地代・家賃>評価の実際』(プログレス発行 電話03-3341-6573)の改訂版の原稿を現在執筆中であるが、その中から一部を転載)


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