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1498)14大都市中心地域SC賃料と都心5区事務所賃料

 一般社団法人日本ショッピングセンター協会発表の14大都市中心地域のショッピングセンター物販テナントの賃料は、鑑定コラム1496)で述べた。

 2ヶ年を加えて再記すると、下記である。坪当り円である。

           1999年   38,440円
           2000年   36,375円
           2001年   30,327円
           2002年   29,997円
           2003年   32,470円
           2004年   34,417円
           2005年   37,729円
           2006年   40,280円
           2007年   42,212円
           2008年   44,959円
           2009年   49,685円
           2010年   36,792円
           2011年   38,310円
           2012年   37,368円
           2013年   37,570円
           2014年   35,738円
           2015年   36,270円

 毎月発表されるデータで、この賃料の変動と近似する賃料はないものかといろいろ捜して見た。

 その中で、不動産仲介及び不動産情報提供会社の三鬼商事株式会社が、毎月発表している東京ビジネス区の既存ビルの事務所賃料と比較してみた。
 
 東京ビジネス区とは、千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区の5区を云う。都心5区とも云う。東京ビジネス区の表示文字数は多いから、以下「都心5区」の用語を使用する。

 両者の動きはぴったりと一致はしないが、似かよった変動をしていることが分かった。

 左縦軸に14大都市中心地域SC物販賃料をとり、右縦軸に都心5区既存事務所ビル賃料をとって、グラフで示すと下記である。



SC賃料


 一般社団法人日本ショッピングセンター協会発表の14大都市中心地域のショッピングセンター物販テナントの賃料は、1年に一回の発表である。

 1年に一回発表のデータより、半年後の現在の平成28年6月時点の賃料を推定するには、14大都市中心地域のSC物販賃料と相関度が高く、毎月発表される三鬼商事株式会社の都心5区既存事務所賃料データから推測すれば良い。

 そうして求められた賃料は、充分合理的根拠のある推測結果といえよう。

 現在(平成28年6月)の都心5区の既存事務所賃料が上昇傾向にあれば、14大都市中心地域のSC物販賃料も上昇しているであろうと判断出来る。

 上記グラフ右縦軸に採用した三鬼商事株式会社の都心5区の既存事務所ビル賃料のデータ数値は、下記に記載する。

 三鬼商事株式会社の都心5区の既存事務所ビル賃料の2015年1月〜12月の賃料は、次のとおりである。単位は坪当り円。

            2015年01月       16,827     
            2015年02月       16,941     
            2015年03月       16,944     
            2015年04月       17,006     
            2015年05月       17,075     
            2015年06月       17,178     
            2015年07月       17,275     
            2015年08月       17,306     
            2015年09月       17,407     
            2015年10月       17,440     
            2015年11月       17,444     
            2015年12月       17,497     
              平均                  17,195

 2015年(平成27年)の都心5区の平均賃料は、17,195円である。

 上記と同様な求め方によって、1999年以降の都心5区の既存事務所ビルの坪当り平均賃料は、次のとおりである。
 
              1999年        19,820
              2000年        19,686
              2001年        19,855
              2002年        19,453
              2003年        18,359
              2004年        17,444
              2005年        17,562
              2006年        18,467
              2007年        20,532
              2008年        22,190
              2009年        20,117
              2010年        17,829
              2011年        17,104
              2012年        16,578
              2013年        16,183
              2014年        16,402
              2015年        17,195

 上記分析賃料を見ると、2008年がピークとなっている。その後賃料は大巾に下落している。2008年の賃料が坪当り22,190円、2009年の賃料が坪当り20,117円となっている。

 2008年〜2009年の1年間の下落率は、

                       20,117円
                    ──────= 0.907                           
                       22,190円

9.3%下落している。1年に9%強下落している。

 2008年とは、平成20年である。リーマン・ブラザーズが倒産したのは、平成20年9月である。この賃料下落は、リーマンショックと呼ばれるリーマン・ブラザーズの倒産によるものである。

 リーマン・ブラザーズの倒産は、都心5区の翌々年の賃料下落にも影響を与えている。

 このリーマン・ブラザーズの倒産による賃料下落については、鑑定コラム1156)「リーマンショック、トヨタ赤字、東日本大震災の賃料影響」で述べている。

 安倍首相は、5月に開かれたG7の伊勢志摩サミットで、現在の経済の状況はリ−マン・ブラザーズの倒産前の状況に良く似ていると述べたと新聞等は伝えるが、それが世界経済のことなのか、日本経済のことなのか私には分からないが、日本経済においては、賃料の面から見れば、現在がリーマン・ブラザーズの倒産前の状態にあるとはいえない。但し、ここでは論じていないが、都心商業地の土地価格にはそれは云える。


  鑑定コラム1496)「14大都市中心地域のSCの物販テナント賃料は坪当り36,270円」

  鑑定コラム1497)「郊外及び中小都市のSCのテナント賃料」

  鑑定コラム1156)「リーマンショック、トヨタ赤字、東日本大震災の賃料影響」


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