○鑑定コラム
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企業の新工場建設、設備投資の活動が目につくようになった。
最近の日本経済新聞で報道された工場新設、設備投資の主なものをひろってみると次のごとくである。
2003.12.23 松下 1300億円のLSI工場投資
2003.12.31 住友重機械工業、 ガラス基板加工の設備投資
2003.12.31 三菱重工業 アルミ製大型装置の設備投資
2004.1.27 キャノン 3年間の設備投資7800億円のうち80%を国内投資に、薄型テレビパネル、デジタルカメラ新工場の建設
2004.2.5 富士フィルム 3年で5500億円投資、デジタルカメラやフィルム材料の開発に
2004.2.27 富士通 1600億円で半導体新工場
2004.3.8 富士通日立プラズマディスプレイ 750億円で新工場
2004.3.10 東レ 850億円の設備投資
2004.3.19 コニカミノルタ 3年で2300億円の設備投資
新工場、設備投資はデジタル家電の業界に多いが、これだけの大型の設備投資が行われるということは、日本の経済が立ち直ってきたという証拠であろう。
特にキャノンは、中国進出から、日本国内に工場の回帰をはかろうとしている。このキャノンの行動は何を暗示しているのであろうか。
新聞をにぎわすこれら大企業の新設工場の土地建物の鑑定依頼などは、私のごとく個人の不動産鑑定士には信用力がないためか、依頼はもちろん無い。
それに反し、合併で次々と名前が変わり、生き残りをかける金融機関の貸付金の不良債権処理のために、経営の苦しい中小企業工場の土地、建物の鑑定評価で、それら町工場の現地に立つのはしのびがたい。
大企業の新工場建設、新たな設備投資は、企業に利益が出てきた証拠であるが、その収益回復の為に経営の構造改善が行われたものである。
それには従業員の首切り、部品納入メーカーへの値引き要求等の犠牲によって成しとげられた部分もかなりあろう。
この大企業の新工場建設、設備投資を光とすれば、大企業の犠牲になって倒産しあるいは、不良債権処理の対象になっている中小企業の工場は影の部分である。
東京の蒲田・大森という町工場の多い地区を持つ大田区の工場の姿は次のごとくである。
工場数 従業員人 製品出荷額百万円
平成11年 3,104 47,654 1,112,359
平成13年 2,755 42,678 989,817
(工業統計調査、大田区役所HPより)
2年間で、工場数は11%減、従業員は10%減、製品出荷額は11%減である。これは平成13年の数字である。現在は数値はなお悪化しているであろう。
経営者の企業努力のほか社員の解雇、中小企業の犠牲を伴ったものの結果によるものであるかもしれないが、新工場、設備投資がされることは大変結構なことである。1つの産業が発展すれば、それの波及効果があり、他の産業にも影響する。全部ダメな状態と較べれば、希望の濃度が全く異なる。
しかし、ここで充分考えなければならないことがある。
景気回復だと云って、無茶な事業拡大方針をとらない様に注意する必要がある。
工場新設に当たって、工場の土地価格の購入限界は、工場の生産性からみてu当り4万円である。厳しく云えばu当り2.0万円以下で取得すること。
設備投資額は、売上高の20%以内であることを肝に銘じて行うことである。
新工場の土地、建物の価格の4〜5倍の売上高が見込めなかったら、工場の新設は取りやめるか、規模縮小することを勧める。
工場経営をやったこともないド素人が、何を生意気なことを云うかと、経営者から怒りを買うかもしれないが、経営に行きづまった工場企業を不動産鑑定の立場から分析して見ると、そうした結論に至るのである。
古くは山陽特殊鋼、サンウェーブ、新しくは新潟鐵工所、これらは何故倒産したのであろうか。
今をさまようカネボウは、何故そうなってしまったのであろうか。
鑑定コラム2005)「2019年度の設備投資は30.3兆円」
鑑定コラム2006)「GDP民間企業設備額に対する日経調査設備投資額の割合は32.3%」
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