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1639)三井不動産は予想売上高を達成出来なかった

 日本の不動産業者の雄の一つである三井不動産が、平成29年5月12日に、平成29年(2017年)3月期の決算を発表した。

 平成29年3月期の三井不動産の売上高は、1兆7044億円だった。

 期首の予想売上高は、1兆7500億円であった。

 決算売上高は、予想売上高に500億円弱届かなかった。

 およそ6ヶ月前の2016年11月14日に、鑑定コラム1566)「三井不動産今期売上高1.75兆円は大丈夫か」という記事を書いた。

 それは、1.75兆円の売上高達成は無理ではなかろうかという私の予測の記事であった。

 6月後の2017年5月12日に、29年3月期の決算の発表により、売上高1.75兆円達成は無理であったと分かった。

 とはいえ、決算内容は、500億円弱の予想売上高達成出来なかったということなど吹き飛ばす如くの過去最高の売上高であり、過去最高の営業利益を上げるという、すこぶる良いものであった。

 三井不動産の売上高の推移を見る。単位百万円

     平成17年3月     1,111,359
     平成18年3月     1,159,280
     平成19年3月     1,229,193
     平成20年3月     1,360,023
     平成21年3月     1,418,945
     平成22年3月     1,358,806
     平成23年3月     1,405,269
     平成24年3月     1,338,102
     平成25年3月     1,445,644
     平成26年3月     1,515,252
     平成27年3月     1,529,036
     平成28年3月     1,567,969
     平成29年3月     1,704,416

 売上高は前期に比して、1364億円の増加である。

 三井不動産にとって、平成28年4月〜平成29年3月までの1年間は、絶好調と云える年であった。

 予想売上高と実際の売上高を、下記に較べて記す。単位百万円。

                 29年3月予想       29年3月決算           増減率

  賃貸   544,000 536,518 ▲1.4% 分譲      525,000      488,710      ▲6.9% マネジメント 340,000      347,672      +2.3% 三井ホーム   249,000      247,195      ▲0.7% その他      92,000       84,320      ▲8.3% 全体     1,750,000     1,704,416      ▲2.6%

 予想売上高を大きく外れたのは、率で云えば「その他」の部門であるが、それの金額は大きくなく、外れた大きい原因と云えるものでは無い。

 予想売上高の金額が大きく外れた部門は、分譲部門である。金額で云えば▲363億円の予想減である。大きな売上高予想額見込み違いをした。

 分譲部門の売上高減を▲6.9%減で留めたのは、投資家向け分譲等の売上高によるものであった。

 分譲部門は、
     ・個人顧客向け分譲
     ・投資家向け分譲等
の2つに分かれているいるようである。

 この投資家向け分譲等の伸びが、個人向け分譲の不振をカバーしたようである。

 決算数値で比較すると、下記である。単位百万円。

                        29年3月期a      28年3月期b         a/b
  個人顧客向け          315,635        295,284          +6.9%
    投資家向け            173,074         96,293         +79.7%

 平成29年3月期のマンションの売上高の戸数は、5,200戸と記されている。

 そのマンションの契約状況は、下記である。

      期首契約済み  (戸)A           4,304
            期中契約    (戸)B           4,479
           計上戸数    (戸)C           5,200
            期末契約済み  (戸)A+B-C       3,583 
            完成在庫    (戸)              321
            新規発売    (戸)            4,309

(注)契約済み戸数、新規発売戸数には、次期以降に計上されている戸数も含まれています。

 上記のごとく戸数と(注)書きが発表されているが、私にはどうも戸数の計算が、良く分からない。

 例えば、期中の販売中の戸数は、D戸である。そのうち売れたのはE戸であるとする。

 そうすると、Eの金額が売上高でなかろうかと思うが、上記の如くゴチャゴチャ戸数が書かれているため、私には良く分からない。

 マンションの完成在庫が321戸と発表されている。過去の完成在庫を記すと下記である。

                 決算期               完成在庫数

平成15年3月期 485戸 平成16年3月期 455戸 平成17年3月期 490戸 平成18年3月期 235戸 平成19年3月期 267戸 平成20年3月期 453戸 平成21年3月期 826戸 平成22年3月期 872戸 平成23年3月期 638戸 平成24年3月期 380戸 平成25年3月期 223戸 平成26年3月期 170戸 平成27年3月期 83戸 平成28年3月期 88戸 平成29年3月期 321戸

 分譲マンション在庫数は、ここ5年間は大きく減少してきた。直近2年は100戸を切っていた。

 マンションは造れば飛ぶように売れていた。マンションブームである。

 それが29年3月期には、321戸の在庫であり、大幅に増加した。

 マンションが売れなくなった。

 マンションブームによる不動産好況に浮かれていたら、下を見たら地面がなかったと云うことであろう。

 平成29年3月期の在庫数は、平成19年〜20年の在庫数に匹敵する状態になった。平成19年から20年は、未だ記憶に新しい不動産ファンドバブルがはじけた時である。


  鑑定コラム1510)
「三井不動産は売上高1.75兆円を見込む」

  鑑定コラム1566)「三井不動産今期売上高1.75兆円は大丈夫か」

  鑑定コラム1779)「三井不動産予想売上高の足を引っ張った分譲部門(30年3月決算)」


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