○鑑定コラム
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三菱地所が発表した2017年(平成29年)3月期の決算書の附属説明書(FACT BOOK ファクトブック)によれば、三菱村と呼ばれる東京丸の内地区の平成29年3月期のビル賃料は、次のごとくの数値である。
延床面積 2,727千u
貸付有効面積 1,603千u
事務所空室率 2.42%
ビル賃貸売上高 216,673百万円
三菱地所の丸の内地区のビル賃料の年間収入は、2166億円である。
上記発表の数値より、下記算式で、賃料単価を求める。
ビル賃貸売上高÷12
────────────────
貸付有効面積×(1−空室率)
2017年3月期の前記した数値を、上記式に代入して求めると、
216,673,000,000÷12
───────────────
1,603,000×(1−0.0242)
= 11,543円/u(坪当り38,159円)
である。
1年前の2016年3月の賃料は、u当り11,661円であった。
1年間の賃料の変動率は、
11,543円
────── = 0.989
11,661円
▲1%の下落である。
丸の内地区の賃料は、僅か1%であるが、値下がりした。
空室率も1.37%から2.42%と増えた。
過去の丸の内地区のビル賃料は、下記である。
2002年3月 u当り 10,447円
2003年3月 u当り 10,570円
2004年3月 u当り 9,979円
2005年3月 u当り 8,968円
2006年3月 u当り 9,502円
2007年3月 u当り 9,845円
2008年3月 u当り 9,791円
2009年3月 u当り 10,283円
2010年3月 u当り 10,542円
2011年3月 u当り 11,738円
2012年3月 u当り 10,467円
2013年3月 u当り 10,331円
2014年3月 u当り 10,398円
2015年3月 u当り 10,956円
2016年3月 u当り 11,661円
2017年3月 u当り 11,543円
この丸の内地区の平均ビル賃料から、丸ビルの賃料を推測する。
分析推測の仕方は、2017年2月に発売された『改訂増補 賃料<地代・家賃>評価の実際』(プログレス)のP431〜469に論述されている「丸ビルの還元利回り」の分析方法で行っている分析と同じである。
その求め方は、鑑定コラム1380)「丸ビルの賃料の推測」にもで記している。
標準偏差は、変動係数を0.322として、次の如く求める。
丸の内地区の平均事務所賃料は、坪当り38,159円である。
標準偏差は、
38,159円×0.322=12,287
である。
丸ビルの立地、品等は、丸の内地区にあって100棟のビルにあって、優れた方の2.5%の範囲に入るビルと判断する。
賃料は人間生活の営みの中の一つの経済行為であり、正規分布に従うとすれば、2.5%の出現率のZ値は、1.96である。
38,159円+12,287×1.96=62,242円
平成29年3月の丸ビルの坪当り賃料を62,242円と推測する。
鑑定コラム1380)「丸ビルの賃料の推測」
鑑定コラム1644)「丸ビルの償却後還元利回りが2%割れしそうだ」
鑑定コラム1778)「丸ビルの賃料坪当り60,829円(30年3月)で、下がっている」
鑑定コラム1932)「丸ビルの賃料は坪当り61,546円(31年3月)」
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