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1778)丸ビルの賃料坪当り60,829円(30年3月)で、下がっている

 三菱地所が発表した2018年(平成30年)3月期の決算書の附属説明書(FACT BOOK ファクトブック)によれば、三菱村と呼ばれる東京丸の内地区の平成30年3月期のビル賃料は、次のごとくの数値である。

      延床面積       2,784千u 
            貸付有効面積     1,665千u
            事務所空室率           1.65%
            ビル賃貸売上高        221,674百万円

 三菱地所の丸の内地区のビル賃料の年間収入は、2216億円である。

 上記発表の数値より、下記算式で、賃料単価を求める。

         ビル賃貸売上高÷12
            ────────────────                        
            貸付有効面積×(1−空室率)

 2018年3月期の前記した数値を、上記式に代入して求めると、

             221,674,000,000÷12
          ───────────────                            
             1,665,000×(1−0.0165)

= 11,281円/u(坪当り37,293円)

である。

 1年前の2017年3月の賃料は、u当り11,543円であった。

 1年間の賃料の変動率は、

                 11,281円
              ──────  = 0.977                               
                 11,543円

▲2.3%の下落である。

 丸の内地区の賃料は、僅かであるが、値下がりした。

 私は、丸の内の賃料は、てっきり上がっていると思っていた。データ分析の結果、僅かu当り262円であるが値下がりしている。

 結果の数値を見て、「えっ !  これ本当 ? 」と思った。計算が間違っているのではないのかと見直してみた。計算、データの入力ミスは無いようである。

 三菱地所の平成30年3月期決算の発表を待っていたことの一つは、決算に伴い丸の内地区の賃料データの発表があり、それが知りたい為に、待っていたのである。

 まさか、発表を待っていた丸の内の賃料が下がっているとは。

 これには驚いた。

 丸の内地区の賃料が値下がりした。これは何故か。何かを暗示しているのか。それは、東京のビル賃料の下落、地価の下落、不動産業そして日本経済の・・・・等の先行きを暗示するのか。

 だが、丸の内賃料の値下がりから、それらを洞察する鋭い力は私には無い。

 一方、空室率は2.42%から1.65%と減った。

 空室率は下がった、賃料単価は下がった。この現実から考えると、空室を埋めるために、賃料単価を値下げして空室を埋めたと云うことも考えられる。

 とはいえ、空室率を0%にすることは困難である。

 何故賃料値下げしてまで空室率2.42%を下げなければならないのか。

 空室率を賃料値下がりの原因と考えると、三菱地所にとって、丸の内地区の空室率2.42%は、経営の重荷になる割合であろうかと云う疑問が生じる。

 過去の丸の内地区のビル賃料は、下記である。

               2002年3月     u当り  10,447円
               2003年3月     u当り  10,570円
               2004年3月     u当り   9,979円
               2005年3月     u当り   8,968円
               2006年3月     u当り   9,502円

2007年3月     u当り 9,845円 2008年3月     u当り 9,791円        2009年3月     u当り 10,283円         2010年3月     u当り 10,542円        2011年3月     u当り 11,738円
       2012年3月     u当り 10,467円        2013年3月     u当り 10,331円        2014年3月     u当り 10,398円        2015年3月     u当り 10,956円        2016年3月     u当り 11,661円
       2017年3月     u当り 11,543円        2018年3月     u当り 11,281円

 この丸の内地区の平均ビル賃料から、丸ビルの賃料を推測する。

 分析推測の仕方は、2017年2月に発売された『改訂増補 賃料<地代・家賃>評価の実際』(プログレス)のP431〜469に論述されている「丸ビルの還元利回り」の分析方法で行っている分析と同じである。

 その求め方は、鑑定コラム1380)「丸ビルの賃料の推測」にも記している。

 標準偏差は、変動係数を0.322として、次の如く求める。

 丸の内地区の平均事務所賃料は、坪当り37,293円である。

 標準偏差は、

             37,293円×0.322=12,008

である。

 丸ビルの立地、品等は、丸の内地区にあって100棟のビルにあって、優れた方の2.5%の範囲に入るビルと判断する。

 賃料は人間生活の営みの中の一つの経済行為であり、正規分布に従うとすれば、2.5%の出現率のZ値は、1.96である。

           37,293円+12,008×1.96=60,829円

 平成30年3月の丸ビルの坪当り賃料を60,829円と推測する。

 なお、この分析は不動産鑑定士田原拓治の分析によるものであり、丸ビルの賃料が実際に上記の賃料であると云うものでは無い。


  鑑定コラム1380)
「丸ビルの賃料の推測」

  鑑定コラム1643)「丸ビルの賃料坪当り62,242円(29年3月)」

  鑑定コラム1777)「三菱地所の賃貸ビル還元利回り(償却後)は2.4%」

  鑑定コラム1787)「不動産大手等5社の賃貸ビル総合還元利回り(償却後)は2.4%〜3.2%」

  鑑定コラム1791)「丸ビル賃料と日経調べ丸の内〜大手町のオフイス賃料」


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