本鑑定コラム2)
「都企業純収益の10%を賃料」
の記事について、仲介業務を長く兼務されている不動産鑑定士の方から、
「純収益の10%は安すぎるのでは無いか」
というご意見をいただいた。経験的に安すぎると認識されたようである。
「純収益の10%が賃料」は、都もそれなりの根拠があって決定したものと思われるが、この賃料水準は指摘された通り安すぎると私も思う。
都はベンチャー企業会社育成の政策上、安い水準の賃料を提示せざるを得なかったものと思う。
では、どれ程が適正か。
企業純収益を100%とする。
法人税等の税金を純収益の1/2、即ち50%とする。
資本に配分される平均利益率は純収益の13%である。
経営に配分される平均利益率は純収益の16%である。
不動産配分利益=企業純収益−(法人税等+資本配分利益+経営配分利益)
の公式に各値を代入する。
不動産配分利益=100−(50+13+16)
=21
不動産配分利益は純収益の21%である。(
『賃料<家賃>評価の実際』
p429 清文社)
機械装置の価格割合を20%とすると、
21%×(1-0.2)=16.8%
土地建物の配分利益、即ち賃料は純収益の16.8%といえる。
この割合より考えると、都の場合、
10%/16.8%≒0.6
4割減の賃料ということになる。
くだんの不動産鑑定士が、
「安すぎるのではないか」
と疑問を呈するのは当然である。
その不動産鑑定士の経験で培われた洞察力の鋭さに脱帽する。
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鑑定コラム32)「企業収益還元法」
鑑定コラム154)「不動産の利回り(割引率とターミナルレート)」